077(回復の兆し)
ガンドローンのトレーニング施設に警察が入ってきた後に、服部社長も来た。警察はどうやら、ガンドローンはテロリスト制圧の切り札として採用したいようだ。そのため、ガンドローン世界大会中止を要求してきた。これ以上、競技人口が増えるのはリスクが伴う。テロリストにもガンドローン技術が渡ってしまうと懸念している。世界に2000人の競技人口。日本人だけで1000人だ。警察はまだ間に合うと。これから東京オリンピック、パラリンピックもある。
服部飲料に国のカネが入った。ガンドローンのトレーニング施設を本物の銃弾に耐えれるように改修され、警察特殊部隊が訓練を受ける。ケーイチとゼニアが教官となり。今のところツインピークスの2人だ。
数日の訓練後、ドローンに搭載する銃の軽量化や発砲による反動の軽減の開発が本格的に始まった。
ケーイチはモチベーションを入れ替えた。ガンドローン世界大会は楽しみで中止になったのは切ないが、警察特殊部隊を訓練するのは楽しくてしょうがない。引き寄せの法則だ。
しかし、警察特殊部隊を訓練するのはいいが、ケーイチやゼニアほどの天才はいなかった。
ケーイチは今日もタクシーで帰る。酒が抜けない。リビングで20年物のウイスキーを開けてらっぱ飲みをする。美味いとか不味いとかじゃない。とにかく、酔っていたい。
ケーイチの携帯電話に洋介から着信が来た。ケーイチは電話に出る。
「もしもし、洋介さん。市子が目を覚ましました?」
「ケーイチ。よく聞け。市子の指が動いた。回復の兆しだ」
「マジですか」
「2年だ、2年。市子が戻ってくる」
「明日また行きます」
「そうしてくれ。それと、ケーイチはドリフト辞めたの? 全く走ってないよね。せっかく指定峠の制度が始まったのに」
「飲んでる方が楽なんで」
「身体に悪いぞ。せめて休肝日を設けろ」
「分かりました。善処します」
「もう1つ。ケーイチが参加表明していたガンドローン世界大会ってヤツ、ホームページが見れなくなった。どうなってるの?」
「ガンドローン世界大会は中止になりました。詳しくは言えません。社員は口止めされてます」
「そうか……。楽しみにしてたのにな」
「明日は通院日なんで市子の傍らにずっと」
「そうしてくれ。じゃあ明日な」
「はい、また明日。おやすみなさい」ピッ。




