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075(中卒のアホなんで)

 警察はケーイチの情報を信じて動く。――やはり、吉川が真犯人だった。証拠を固められ、起訴された。ケーイチは刑事裁判の証人になる。


 裁判は紛糾していた。ケーイチが、証人喚問に応じると、イオリが傍聴席でブーイングをする。1人で。


「静粛に! 静粛に! 退廷を命じますよ?」


 裁判官は堪らず、イオリをたしなめる。収まったところで検察側の証人尋問だ。


「瀬奈ケーイチさん。貴方は当時、田中マイさんと交際していましたね? 被告人に言いたい事はありますか?」

「極刑で」


 ケーイチは、マイの事を忘れ去っていたかった。いや、忘れ去りたい。統合失調症患者にはショッキングな別れ方だ。死別……。


 ケーイチは、この2年間で成長と伴に統合失調症が悪化している。今まで興味があったドリフトもしなくなった。途端に夢中になっていた事から興味がなくなるのは、精神疾患のサインだ。


 ケーイチは、この法廷に酒を飲んでタクシーで来ている。とてつもない罪悪感を覚えて。ケーイチは二十歳になり、酒を飲んでいい大義名分ができた。体から酒が抜けない。完全なアルコール依存症だ。とにかく、現実逃避をしていたかった。


 吉川は検察に厳しく叱責される。弁護士はお手上げだ。


 吉川は危険運転致死で実刑16年が言い渡された。


 マイの母親はケーイチに感謝する。精神錯乱は治まっていた。


「ありがとう、瀬奈君。民事裁判もお願いするわ」

「いくらくれんの? 先払い3000万円からだからな。中卒のアホはカネを貰えないと、やる気起きない」

「なんとかお願いできない? 20万円くらいしかあげられないわ。いろいろな諸経費がかかるの」

「俺、中卒のアホなんで。自力でなんとかしろ」


 ケーイチは、マイの母親にチクチクやり返す。刑事訴訟でマイの仇を討って気は晴れた。カネに焦点が当たる民事裁判には協力するつもりはサラサラない。


 ケーイチはウイスキーを飲みながらタクシーに乗り、服部飲料の本社へ行く。


 ガンドローンの競技人口は世界に約2000人まで増えた。服部社長は厳密なルールブックを作り、それをウェブで発表した。動画サイトで過激な戦闘シーンをアップしたりと、地道な布教活動を熱心に取り組んだ。


 ケーイチは服部飲料ガンドローンチームのエースとなった。だが、高橋もガンドローンのワークスを立ち上げて、ケーイチを引き抜こうとしていた。

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