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073(2年後)

 次の日の朝、ケーイチはまた、GTRを運転して病院へ行き、市子の病室を訪ねる。洋介が座っていた。


「ケーイチか。おはよう」

「おはようございます、洋介さん。市子の病状は?」

「未だに意識不明だよ。先生はすぐに治るような事を言ってたけど」

「そうですか…………。意識を取り戻したら、連絡して下さい」

「ああ、それは勿論。それより最近、走ってる? たまには行こうぜ。GTSも車検から戻ってきたし」

「昨日、5連コーナーに行ったんですが、ツブシ紛いの煽り野郎に挟まれまして」

「そりゃ災難だったな」

「ぶちギレて、十字レンチを投げてガラスをぶち壊してやりました」

「やるな、ケーイチ。ハハハ」

「ええ、ガツンとやってやりましたよ。アハハ」

「当分は近隣のドリフトスポットに行かない方がいいな。親玉が来るかもしれない」


――ケーイチは預金を切り崩して、市子の見舞い、ガンドローンのトレーニングと、ルーティンが決まっていた。そんな日々が続き、2年が過ぎた。市子はまだ目を覚まさない。


 ある日の夜、ケーイチは悪夢にうなされる。マイが車に轢き殺される場面だ。ケーイチは現場を見てないのに、生々しいリアルな夢。何度も脳内再生される。


『ケーイチ…………助けて』

「マイ! 俺は、どうしたら!」


 ケーイチは夢から覚め、飛び起きる。


「マイ…………」


 マイを轢き殺した犯人はまだ捕まってない。ケーイチは考える。マイはあの世で苦しんでる。なんとか成仏させてあげられないかと。目撃情報に報償金を出すと結論付けた。しかし、3年も前の事件だ。


「マイ。やれるだけやってみるよ。期待はしないでね」


『マイを跳ねたのは自転車よ』


「その声は…………市子? 意識を取り戻したか!」


 ケーイチは夢現だ。市子は霊界から交信をしている。


『ケーイチ、よく聞いて。マイは自動車には跳ねられてない。自転車よ。盲点。犯人は飲酒運転の発覚を恐れたのね』

「それで、警察も決め手を欠いてるのか」

『東地区5丁目の赤色の家に犯人が住んでる。60代のジイサンよ』

「分かった。すぐに警察に通報する。東地区5丁目の赤色の家だな?」

『任せたわよ』

「市子、電話ありがとう」


 ケーイチは、まだ夢現だ。枕元から携帯電話を取り、警察に電話をかける。

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