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072(チンパンジー)

 金城はFD3Sに乗り、家に帰っていった。


 ケーイチは軍手をはめてリアタイヤを交換する。シャコタンジャッキをデフに当て、スコスコとタイヤが接地するギリギリまでにジャッキアップする。次に十字レンチでナットを緩めて、ジャッキアップしてタイヤを浮かせる。それから、ナットを外し、丸坊主になったタイヤも外す。ハブを軍手で拭いてから、新しいタイヤに付け換える。ナットは対角線に締めていく。


 ケーイチは古いリアタイヤとシャコタンジャッキをトランクに入れて、十字レンチと軍手を助手席にポイして、帰路に着く。すると、突然、待避スペースから1台のコンパクトカーがケーイチのシルビアの前に飛び出してきた。ケーイチはクラクションを鳴らす。コンパクトカーは急ブレーキで止まり、危険な運転をする。もう1台のコンパクトカーが、ケーイチのシルビアの裏に着き、ヘッドライトをハイビームにして煽る。この2台のコンパクトカーはプロ市民だ。ドリフトの過激な刺激に影響を受け、抗議するチンパンジーみたいな連中だ。こういう事すれば、走り屋が居なくなると本気で盲信してるイタイ奴ら。ザ・ナードだ。


 数キロに渡り、一本道で危険な運転を繰り返す連中。ケーイチの怒りは頂点に達する。


 ケーイチは過放電してしまった。前のコンパクトカーが急ブレーキで止まった時に、ウインドウを下げて、十字レンチを投げ付ける。ガシャーン! コンパクトカーのリアガラスにヒットして割れた。


「ざまあ。ナードが」


 コンパクトカーのドライバーは堪らず、バスの停留所に逃げ込む。


「バーカ!」


 ケーイチは捨て台詞を吐き、アホな連中をしりぞける。


 ガラスを割られたコンパクトカーのドライバーは高松だった。シルビアの裏を走り、煽っていたのは遠山だった。高松と遠山はシルビアのドライバーがケーイチだと判っていた。そして、2人は反省会をする。


「遠山! だから、前は嫌だって言ったじゃん! 瀬奈が反撃してくるなんて想定外だよ!」

「俺の車のガラスだったら良かったのか!? 携帯電話で連携して攻撃してたんだからな! 高松のミスだ!」

「なんだと!? てめえ! 修理代は折半だからな!」

「嫌だよ! お前のミスだから!」


 こういう連中は自分達こそが正義で犯罪を犯してでも、目的を達成しようとする。しかも、真剣やってる。救いようがない。

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