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062(意識不明)

 ケーイチは電子レンジでペペロンチーノを温める。シルビアで行けば、コンビニでペペロンチーノを温めてもらうが、GTRで行った場合、そうはいかない。高級スポーツカーにニンニクの匂いは禁物だ。


 ケーイチはペペロンチーノを箸で啜る。


「美味い美味い」


『ケーイチ、久しぶり』


 ケーイチは絶句した。マイだ。マイの声が聞こえた。突然の事で驚いてる。


『どうしちゃったの〜?』

「マイ…………確りと耐えてるよ」

『偉い偉い。それより、大変。市子を助けてあげて』

「また、ホスピタル・ブレイクをしろと?」

『病院で火災だよ』

「何!?」

『市子はまだこっちに来ちゃダメ。お墓参り、ありがとう。人間合格になると良いね――――』

「マイ! マイ!」


 マイとの交信が途絶えた。


 ケーイチは急いでテレビを点けて、dボタンを押す。県内のニュースを見ると、市子が閉じ込められ、ケーイチが通院する病院で火事が起きたようだ。『5階から出火』の文字に、ケーイチは最悪のパターンを考える。市子は5階に閉じ込められていた。ケーイチは病院に電話をかける。電話恐怖症とか言ってられない。


 電話に出た医療事務員は慌ててる。どうやら、自傷行為を繰り返すホンモノが、百円ライターでカーテンに火を着けた。市子は巻き込まれ、頭部挫傷、意識不明で別の病棟に運ばれたそうだ。医療事務員は念を押す。「市子さんの意識不明は一時的なもの」だと。「必ず治る」と。


 ケーイチは、それを聞いて安心した。市子は命の別状がないと聞いたからだ。ペペロンチーノを平らげ、睡眠薬と向精神薬を水で胃に流し込み、ベッドで寝る。スーっと眠りに付く。


――次の日の朝。ケーイチは、ぐっすり眠れた事に感謝する。それから、昨日買ったおにぎりをムシャムシャと食べる。ドローンキットや財布、携帯電話、キーケースを持って、R35GTRの助手席に乗せる。次にシルビアのトランクからR32スカイラインGTRのシートを取り出して、R35GTRのトランクに積む。そして、病院へ向かう。


 病院はカオスだった。消防車、救急車、パトカーが数十台も停まっていた。ケーイチは道路を挟んだ第二駐車場にGTRを停める。


 病院の内外はてんやわんやだ。ホンモノの精神病患者が、数人脱走した。


 ケーイチは病院の外科病棟に入り、市子の病室を訪ねる。市子はまだ意識不明だ。

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