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061(火災発生)

 ケーイチの父親は杖で、税務署の男性の顔面をぶん殴った。丁度そこへ来た警察官。父親は傷害の容疑で現行犯逮捕された。


 ケーイチは外の様子を見る。男達の怒号が聞こえたからだ。


「お巡りさん、何事ですか?」

「瀬奈ケーイチさん。暴力団の1人が通路で暴れたので、逮捕しました。どうやら、税務署の方が被害者です」

「こんな所に税務署…………。監査ですね」

「では我々はこれで失礼します」


 ケーイチの父親は警察署で厳しい取り調べを受ける。


 ケーイチの自宅マンションに積載車が来て駐車場に停まった。R35GTRの修理が終わり、運搬してきてくれた。


 ケーイチは連絡を受けて駐車場に降りる。念のために高額当選証明書をポケットに入れて。まだ税務署の者がうろついてるかもしれない。


 ケーイチは板金屋のあんちゃんからGTRのキーを渡された。修理費は父親に請求する事にした。フロントガラスを割った犯人が弟のトウイチだと確信してるからだ。


 板金屋は帰っていった。すると、ケーイチは、スーツを着た男に声をかけられる。


「君、こんな良い車を所有してるの? その若さで」

「税務署の奴か?」

「ええ。カネの出所は?」

「これ見ろ」


 ケーイチはバシッと高額当選証を見せる。


「こっ…………これは。偽造じゃないよね」


 税務署の男は10億円の高額当選証を穴が空くほど、ジロジロ見た。


「これまで疑ったら、銀行の信用が根底から覆るよ」

「分かりました。我々は撤収致します」


 ケーイチは、GTRに乗って試運転がてらにコンビニへ行く。


 ケーイチは、おにぎり、ペペロンチーノ、コーラを買う。それから、ATMで10万円を口座から引き出して、帰宅する。R35GTRのエンジン、VR38DETTは官能的な音色を奏でる。


 普通車に乗ってる、普通の人々が、ケーイチの燦然と輝くR35GTRに憧れの眼差しを放っていた。統合失調症患者なら大体は他人からの視線に臆し、恐怖心を覚えるものだが、ケーイチは名刀GTRの一振りを身に纏い、精神状態はイケイケだ。18歳で最速のスポーツカー。今のところ事故も起こしてない。


『カンカンカン! 火災発生。火災発生。――――』


 防災無線だ。設備が古いのか、聴力が強くても聞き取りづらい。特に後半は何を言ってるか判らない。

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