表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/97

060(訪問者2、3)

 父親が居た。ケーイチに柔道の強制レールを敷いたバカだ。


「け、ケーイチ。済まなかった」

「何で謝る? 何について謝る?」

「なんだ、怒ってないなら、瀬奈建築に協力しろ」

「バカかてめえは。そういう態度が癪に障るんだよ」

「何様だ!? ゴホッ、ゴホッ」

「今度は逆ギレか」


 ケーイチと血が繋がっていようといまいと、家族はクズばかりだ。


「ケーイチ、よく聞け。父さんは…………末期の肺癌なんだ」

「今度は劇場型詐欺か」

「本当だ。ゴホッ、ゴホッ」

「バチが当たったんだよ、バーカ」

「ケーイチ、5000万円だ。それで手を打とう」

「そんな端金程度、要らねえよ」

「いやいや、お前が父さんに寄越すんだ」

「バカかてめえは。てめえが死んでも、遺産は限定承認するからな」


 ケーイチの父親は2000万円で瀬奈建築を畳み、3000万円を医療費に充てるつもりだ。上から目線でカネを無心するバカな父親。「誰のお陰で柔道クラブに通えたのよ!?」など、ケーイチの癪に障る事ばかり吠える。父親は、それで本当にカネが手に入ると思い込んでいた。バカだ。


 ケーイチはハッとした。何でコイツらに付き合わなきゃいけないんだと。ケーイチは父親に警告をする。これ以上居座るなら警察を呼ぶと。


 父親が出した答えは「呼べるものなら呼んでみろ」と言い放った。


 ケーイチはリビングに戻り、携帯電話で警察に通報する。


「もしもし、警察ですか?」

「はい、こちら警察です。事件ですか? 事故ですか?」

「事件です。暴力団に5000万円寄越せって、不当要求されました」

「ただ事ではなさそうですね。あなたのお名前は?」

「瀬奈ケーイチです」

「瀬奈……ケーイチ……さんね。また樋口関連ですか?」

「別の暴力団です。家のドアをドンドン叩いてます」

「緊急性が高いですね。すぐにマル暴を向かわせます」


 その時、別の訪問者がケーイチの部屋の前に来る。税務署の者だ。ケーイチの父親に話しかける。


「あなたが、瀬奈ケーイチさん? 良い車を買ったのに、証拠隠滅したの? 駐車場には1台しか停まってないけど」

「誰だ、お前は。俺は瀬奈ケーイチの父親だ」

「お父さん? カネの出所は? 真っ当に働いてから良い車を買いましょうよ。その年で納税の義務も知らないの?」


 バキッ! 父親は過放電してしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ