表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/97

057(スキゾフレニア)

 光トポグラフィー検査とは、目を閉じたところにパターンのある光の点滅を照射して、脳波の測定をするもの。装置は歯医者の処置に使うライトみたいな感じだ。


 ケーイチは、技師にベッドに仰向けで寝るよう指示をされる。頭の各所に冷たいジェルを塗られ、それから、電極を20個くらい付けられた。


「10分間ほどで終わりますので。指示があるまで絶対に目を開けないでください」

「分かりました」


 ケーイチは身構えながらも、返事をする。


「あまり固くならないように。それでは、始めます。目を閉じて〜」


 パッパパパパと、ケーイチは瞼に強い光の点滅を感じる。じんわり暖かい。


 10分間と言われたが、長く感じる。ケーイチはこれまた苦痛だ。


「まだか? まだ終わらない?」


 ケーイチは堪らず、心の声が漏れてしまった。


「お静かに。後2分です」


 技師がキレ気味に言う。


 ケーイチの脳波には、ある病気の特徴があった。それを上田は読み取る。


 パーッと、光の点滅が消える。光トポグラフィー検査が終わった。


「目を開けていいですよ」


 ケーイチは目を開けるとチカチカする。


「これで検査は全部終わり?」

「精神科の待合室でお待ちください。後は診察をして終わりです」


 ケーイチは頭に付けられた電極を外され、ジェルをペーパーで拭き取られる。


 ケーイチは待合室で待たされる。当たり前だが、待てば待つほど、病みそうだ。ケーイチはソーシャルゲームを始める。コンピューター相手の将棋を。飛車角金銀全部を取り、180手で詰むと、次はオセロをやる。


「瀬奈ケーイチさん、診察室へどうぞ」


 看護師に呼ばれ、ケーイチは診察室に入る。上田が座っていた。パソコンのキーボードをカタカタ打っている。


「どうぞ、お掛けになってください」

「はい」


 ケーイチはパイプ椅子に座る。


「上田先生、睡眠薬は処方してくれますか?」

「ええ。但し一度に30日分しか出せないので、月に1回は通院してもらいます」

「分かりました」


 ケーイチは、それくらい想定内だ。しかし、上田の表情から重苦しい空気が漂う。そして、上田は口を開く。


「病名ですが、よく聞いてください。統合失調症です」

「えっ? ただの不眠症じゃないんですか?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ