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054(検査開始)

 ケーイチは検査室に入る。そう広くはない部屋だ。若い女性臨床心理士が居た。


 上田は診察室に戻っていった。


「宜しくお願いします、瀬奈さん。私は臨床心理士の松本美鈴といいます」

「宜しくお願いします」


 ケーイチは美鈴に促され、椅子に座る。テーブルに1枚の紙とボールペンを差し出され、木を描けと言われた。ケーイチはなんとなくバオバブの木を紙のど真ん中に、大きく描く。


 次にケーイチは知能テストを受ける。美鈴が「スペインの首都は?」や「ライオンと犬の共通点は?」などの問題を口頭で出す。ケーイチはスペインの首都はマドリード。ライオンと犬の共通点は“ネコ目”と答えていく。ケーイチはネコ目という答えに強い自信を持っている。高等な答えだと心の中で自画自賛していた。20問ほど出題され、すべてに答える。


 次にケーイチに課せられたのは、数字を記号に変換して問題用紙に書くというものだ。時間は5分。ランダムに100問ある。美鈴がスタートと合図してストップウォッチの針を動かす。結果は、残り10問ほど残してタイムアップ。


 今日の最終検査はロールシャッハテストというヤツだ。左右対象の抽象画を見せられて、何に見えるか、何を感じ取るかを検査される。ケーイチは15枚くらい見せられ、適当に答える。


――検査一日目が終わり、ケーイチは窓口で実費を払う。数万円だ。10億円あるとしても、これは痛手だ。


 ケーイチは疲れ果てた。頭を使う事ばかりで。しかし、手応えはあった。痺れる脚も忘れて無我夢中で問題に答えた。ケーイチは知能を試されるのが好きだ。


 ケーイチはシルビアに乗り、家電量販店に寄る。ドローンの修理の進捗を確かめに。


 担当の店員が修理完了の電話を入れるところに丁度ケーイチが店を訪れた。店員はドローンを乱暴に扱うなと、ケーイチに念を押し、修理したドローンキットを渡す。


 ケーイチは薬局に寄り、睡眠導入剤を回収する。ふと、市子の事を思う。ホスピタル・ブレイクで叱責されてないかと。


 市子は叱責されたが、どこ吹く風。朝から就寝前までドローンを飛ばす。市子は場違いだ。精神は安定そのもの。ホンモノの精神病患者達が好奇な眼で市子を見る。市子はホンモノ達を無視して、ドローンの腕を鍛える。閉鎖病棟から解放されたら、ワークス加入だ。

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