043(お墓参り)
児童生徒の時にイケイケだった奴ほど、大人なると雑魚キャラになるものだ。当人は無自覚に。
ケーイチは悪党を成敗してから、体育館に備え付けられた電子レンジでペペロンチーノを温める。丁度お昼だ。
市子はまだ震えていた。
「大丈夫か? 成敗したからな」
「うっ、うん。戦ってくれてありがと」
「あんな雑魚キャラ、楽勝だよ。マジで貧乳だし。力士のがデカイ」
「フフフフ」
市子はケーイチの隣に座り、震えながら、サンドイッチの包装ビニールを破く。
ケーイチは痺れる脚を庇って床に座り、ペペロンチーノを割り箸でズルズル啜る。
「ねえ」
「なんだ?」
「マイのお墓参りしない? ドローンレースに参加できるのも、マイが居たからだし」
「そうだな。コースの仕様は大体掴めたし、午後は墓参りに行くか」
ケーイチと市子は食べ終え、ゴミをゴミ箱に捨てて、ドローンキット一式を持って、GTRに乗る。
ケーイチと市子は郊外の墓地へ行く。
お寺の駐車場には何台か車が停まっていた。
ケーイチはGTRを駐車場に停める。ケーイチと市子はGTRを降りて、田中家の墓を探す。
「瀬奈ケーイチ…………」
ケーイチは見知らぬオバサンに声をかけられた。
「どちら様?」
「マイの母親よ! 何しに来たの!? あなたには線香1本立てさせないわよ!」
「ババア…………恨むなら、轢き殺した奴を恨めよ」
「きっ……きーーー! マイは死んでない、マイは死んでない」
「イカれてる…………」
マイの母親は、精神錯乱になっていた。膝から崩れ落ちる。
ケーイチと市子は無視して、マイの墓前で手を合わせる。
「ありがとう…………マイ」
「何がありがとうよ!? 中卒のアホが!」
市子はケーイチの袖を引っ張る。
「帰ろ」
「ああ。マイは死んだ」
「キェーーー! マイは死んでない、マイは死んでない」
ケーイチと市子はマンションに帰る。
市子は夕飯を作り、ケーイチはソファーで横になりながらドローンのトレーニングをする。機体を輪に通すものだ。本コースの8の字が交差する所は、1メートル四方の穴を抜けなければいけない。市子は精密な操作でここに強い。ケーイチはドリフトが出来るから8の字のコーナーに強い。
ブー……ブー……ブー……。ケーイチの携帯電話に着信が来た。高橋からだ。




