040(敵チームオーダー)
ケーイチと市子は食べ終わる。市子は皿洗いまでしてくれる気立てがある。とても精神を病んでるとは思えない。どちらかというと、ケーイチのが病んでる。不眠症だ。
市子は皿洗いをしてる。ケーイチはソファーで横になる。
「なあ、市子」
「何?」
「夜、眠れない場合はやっぱり病院行きだよな?」
「そうね。寝付けない感じ? それとも、何度も目が覚めるとか?」
「両方」
「ケーイチもツラい体験をしてるから、精神科か心療内科に行くべきよ」
「ドローンレース大会が終わったら、病院へ行ってみる」
ケーイチは下手なプライドを捨てた。それは実際にうつ病となった市子と関わってるからだ。
「ケーイチは保険に入ってる?」
「入ってないよ。風邪は引かないし、15歳から働いてたけどアルバイトだから」
「親が保険料を払ってくれてるよ」
「あり得な〜い」
「家族と一度しっかり話し合ったら?」
「奴らは人擬きだから日本語が通じない」
ケーイチと市子は深夜までドローンのトレーニングを続ける。
「そろそろ寝よっか。市子はベッドルームを使っていいよ」
「ケーイチはソファーで寝るの?」
「こっちのが、腰に負担が少ないんだ」
「そう。ケーイチが腰を痛めてなかったら、エッチしてもよかったんだけどね」
「また今度な。ゴムを持ってないし」
「律儀ね。やっぱり、ケーイチは悪人になれないわ」
「おやすみ」
「おやすみなさい」
――次の日の朝、市子はシャワーを浴びてから着替える。それから、味噌汁を温め直す。米は昨日の夜に炊飯器のタイマーをセットしていた。
ケーイチも起きる。しかし、0時に寝て朝かと思ったら、1時間しか眠っていなかった。それから、腰痛と戦いながら、寝付いたのは4時頃だ。不眠症が悪化している。ケーイチはキッチンへ行く。
「おはよ」
「おはよう。朝は卵かけご飯と味噌汁ね。今井家秘伝のつゆを作ったから」
「おっ、良いねえ」
ケーイチと市子は朝ごはんを食べる。2人で話し合い、すぐにドローンレース大会の会場へ行く事にした。
ピンポーン。ケーイチの部屋の呼び鈴が鳴らされた。ケーイチは防犯モニターを見る。
守山だ。守山が立っていた。
「何の用だ、クズ」
「ケーイチ君、おはよー。折り入って相談が」
「帰れ、クズ」
「まあまあ。100万円くれたら、ドローンレースでわざと負けてやる」




