004(未来予知)
ケーイチは常にイライラしている。イジメの影響だ。ストレスの捌け口は弱い者イジメ、と負の連鎖を生んでいる。自宅にも、ケーイチの居場所はない。気違いのように、ケーイチを管理しようとする兄と、両親に溺愛される弟。
ケーイチは正直、うんざりしていた。
――次の日、また苦痛の学校。田舎の小学校など陰湿陰険で卑怯なイジメがスタンダードだ。ケーイチは早く中学生になりたかった。
登校中、ケーイチの前を市子が歩いていた。ケーイチは声を挨拶しようとした時、市子は校門を通らずに裏門へ走っていく。ケーイチには理解できなかった。遠回りなのにと。
校門には女イジメグループが検問をしていた。
ケーイチは女イジメグループを無視して校内に行こうとすると、顔をじろじろ見ては、クスクス笑ってくる。田舎の芋女のイジメ手口だ。ケーイチは無視を続けて歩いていくと、「バ〜カ」と捨て台詞を吐かれた。ケーイチはこの程度のイジメなら我慢できる。
ケーイチは不思議でならなかった。市子は、女イジメグループが検問してるのを知っていたのかと。ケーイチは昼休みに市子を問い詰めてやろうとしていた。
午前中の授業は隣の席の奴に、消しゴムのカスを頭にかけられるなど、ライトなものだった。周りは敵だらけ、ケーイチの頭の中には児童のランク付けがある。イケイケがイジメてきてもやり返さない。しかし、雑魚が調子に乗ってイジメてきたら、喉仏を掴んで捻ったり、得意の柔道技で関節を壊していた。
――そして、昼休み。ケーイチは市子の机の前に立つ。
「クズどもの検問を知ってたなら、教えてくれてもいいじゃん」
「ケーイチ君…………私、未来が見えるの」
「はぁ!? 何言ってんの?」
「シー! 声がデカイ。放課後になったら教えてあげる。午後はイジメられないよ」
ケーイチは訳が解らず、自分の机に戻る。
午後の授業は本当にイジメはなかった。隣の席の奴は足を捻挫して病院へ運ばれた。
――放課後、ケーイチは市子の元へ行く。
「市子、未来が見えるってどういう事?」
「正解な未来じゃないの。突然にフッと降りてくるの」
「意味が解らない」
「アマチュア無線の免許を取るのは、将来、マルチコプターが台頭する未来を見たの」
「マルチ…………コプター?」