036(変態宗教団体)
5分ほどしてラーメンと餃子が運ばれてくる。
「おまちどおさま」
ケーイチが頼んだ、いつものラーメンはチャーシュー麺大盛り油入りだ。
ケーイチは箸を2膳取り、1膳は市子に渡す。
「ありがと」
「いただきま〜す」
「いただきます」
ケーイチは熱々のラーメンをフーフーして啜る。市子は餃子から食べようとする。
「市子、餃子は熱々だ。後にしな」
「うん。ケーイチ、脚は大丈夫?」
「痺れてるよ」
「ごめん」
「別にいいさ。それより今はラーメンだ。食べて食べて」
チャーシュー麺大盛り油入りは、薄切りのチャーシューがどっさり山盛り。中太ストレート麺にコクのある醤油スープがよく絡む。
その頃、守山は自宅アパートでドローンの腕を磨いていた。窓からちょっと出しては、また戻す。
「居たぞー! アパートの中だー!」
怒号が守山に聞こえてきた。
「なんだ、なんだ? 俺は電波法を守ってるぞ。イカれた奴がアパートに居るのかな」
コンコンコン! 守山の部屋のドアを強くノックされた。
「誰だ、ウゼえな」
守山はドローンをちゃぶ台に着陸させて、ヘッドマウントディスプレイを外す。
コンコンコン!
「誰だ、今開ける」
守山は部屋のドアを開けると、看護師と樋口が居た。
「守山! 瀬奈ケーイチは10億円持ってる。盗ろうぜ」
「樋口、あの噂はマジなのか」
「ちょっと中を確認させてもらうよ〜」
ガタイの良い看護師が土足で守山の部屋に上がろうとした。
「待てよ、テメエら! なんなんだよ? 宗教団体か!?」
看護師達は守山の制止を無視して、市子を探す。
「警察だ! 貴様ら、何をやってる!?」
「お巡りさん、こっちこっち。変な宗教団体が部屋を荒らしてます」
この警察官は樋口を見落として、看護師達を止める。
「何をやってる!? やめなさい!」
「ドローンが飛んでました」
「それがなんだって言うんだ!? どこの団体か知らんが、住居不法侵入で逮捕だ」
樋口はその場から逃げ、看護師達は逮捕された。
「我々は看護師だ! 重症患者を探してる!」
「あんたらのが重症患者に見えるけどね。そういうプレイは人様に迷惑をかけないようにやらなきゃ。変態宗教団体が」
「だから! 本物の看護師なんですよ!」
「守山さん、ご迷惑おかけしました」
「重い刑に処してくださいよ」




