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028(強制入院)

 ケーイチの父親の会社、瀬奈建築は2000万円の借金を抱え、不渡りをいくつも出していた。粉飾決算で銀行から資金調達を繰り返し、経営はマグマの中。長男である、ユウイチが会社を継ぐ予定だったが、ユウイチは外貨獲得のために出稼ぎに行ってる。


 次の日の朝。ケーイチはぐっすり眠れなかった。ドリフトの刺激のせいと見せかけて、不眠症の始まりだ。


 ケーイチは眠たい眼で洗面所へ行き、顔を洗う。


「カー! 冷てえ! 目が覚めるぜ〜」


 ケーイチはタオルで顔を拭かず、シャワーを浴びる。


 ケーイチはバスルームから出て、タオルで体を拭いて、そのタオルとパンツ、パーカー、Tシャツを洗濯かごにダンクシュートする。デニムは洗わずに、使い回す。洗濯済みのパンツ、Tシャツ、パーカーを着て、デニムを穿く。


 ケーイチはドローンキットを箱から出す。中には、レース用ドローン本体、スティックタイプのプロポ、バッテリー、バッテリー充電器、ヘッドマウントディスプレイ等が入っていた。早速、バッテリーを充電する。


 その頃、市子はドローンを飛ばして遊んでいた。呑み込みが速く、手足のように操る。


「全速力!」


 市子はスティックを目一杯倒し、ドローンを加速させる。リンゴの樹をコーナーに見立てて曲がり、庭に着陸させる。


「スゴ〜い! 面白いな〜」


 市子はヘッドマウントディスプレイを外して、バッテリーを充電する。予備バッテリーをドローンに装着して、また飛ばす。


「市子! 市子! 遊んでないで、仕事に行きなさい」


 市子の母親だ。


「今日は休む。体調が優れないとでも言っておいて」

「元気そうじゃない」

「そのうちに宝くじを当ててあげるからさ」

「入院させるわね」

「はっ!? 何でよ!?」

「いいから、入院!」


 市子は強制的に精神科の閉鎖病棟に入れられた。携帯電話とドローンキットを持ち込めたのが、不幸中の幸いだ。


「何で院内は無料ワイファイがないのよ!? ギガ消費しちゃうじゃない! 先生なんとかしてよ!」

「病院は病気を治す所でしょ。携帯電話依存も問題ね」

「バカじゃないの!? ドローンレースがあるのよ。出してくれないなら、監禁罪で訴えるからね」


 市子は絶望に耐えながら、病室でドローンの腕を鍛える。精神がイカれた“ホンモノ”がドローンを操縦する市子を物珍しく見ていた。

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