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022(さよなら、マイ)

 ケーイチは携帯電話の充電器のコードで輪を作り、照明に引っ掛ける。椅子を真下に持ってきて、輪に首を通す。


「さよなら」

「ダメ!」

「…………マイ!? マイか!?」

「生きて。今を耐えれば、素晴らしい未来が待ってるわ。あの世で応援してる。生きて」

「…………マーーーイ!」


 ケーイチはまたボロボロと涙を流す。そして、自殺を思い止まる。マイはケーイチの中で生きている。それは時として幻聴幻覚となり。


「マイ! マイ! 耐えてやるよ! マイのためにも」


 ケーイチは次の日から車の運転免許を取るべく、猛勉強をする。ケーイチにはアドバンテージがある。15歳の時からサーキットでドリフトをしていた。運転技術なら車校の教官より上だ。道交法も原チャリの免許取得の時に勉強している。


 1週間後、ケーイチは原チャリで自動車教習所へ行く。18歳まで残り1ヶ月だ。


 受付で登録をして、授業代金を支払う。20万円だ。


 まずは学課から始まる。クラスには、高松や遠山、守山、女イジメグループのボスの吉川イオリ、その他の元クラスメートが居た。市子は居ない。


 ケーイチは後ろの席に座ると、高松と遠山が目を反らしながら、ニヤニヤ笑ってくる。イジメてるつもりだろうが、ケーイチの敵ではない。


 守山がケーイチの隣に座った。


「おい、瀬奈。お前のせいで右手の人差し指と中指が今でも疼く。どうしてくれるんだよ」

「自業自得だ、不細工」

「痔が切れるなよ、切れ痔」

「大人になれよ、クズ、ガキ、ナード、間抜け、デブ、ブタ」

「なっ、何だとー!? 俺、免許取ったらドリフトやるもんねー」

「俺は15歳からドリフトやってるけど」

「出たよ、嘘つき。15歳じゃ免許ないじゃん。バカはお前だ、アハハ」

「サーキットは私有地なんだけど」

「それが何だよ、バ〜カ」

「日本語が通じねえのかよ。人擬き」


 守山は思い出した。サーキットなら免許がなくても、運転出来るという事を。守山は段々涙目になり、教室を去った。


「悪は滅びろ」


 そのやり取りを聞いていた高松と遠山は、ケーイチにビビった。


「アイツ、あんな性格だっけ?」

「知らねえよ。とりあえず、関わらないようにしようぜ」


 ケーイチは新鮮な気持ちで授業を受ける。しかし、ケーイチは市子の事を心配している。市子は車校に来ていない。

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