表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/97

018(過小申告)

 土曜日の朝10時にケーイチは再び宝くじ売り場へ行く。


「当たってるか調べてください」


 ケーイチは財布からロト7の券を出す。


「はい。お預かりしますね」


 40代のオバチャン店員が対応した。


 ピー……カタン…………ビービービー。


「当たった?」

「お、お、お、おめでとうございます! 1等10億円の大当たりです!」

「やったぜ!」

「この当たり券をお近くのみずほ銀行へお持ちください」

「分かりました」


 ケーイチは券を返される。


「あの、随分とお若く見えますが、未成年の場合は保護者と一緒に銀行へお越しください」

「…………分かりました」


 ケーイチは自宅アパートに帰り、ベッドでじたばたする。


「嬉しいけど…………嬉しいけど…………親にバレる。あっ、市子にお礼をしなきゃな」


 ケーイチは市子にショートメールを送る。


『ありがとう。宝くじが当たったよ。いくらか分けようか?』

『要らない。マイと仲良くね』


 ケーイチは市子の素っ気ない態度が理解出来なかった。ケーイチは何度も市子に救われている。


 ケーイチは原チャリに乗り、実家に帰る。母親が玄関掃除をしていた。


「ただいま」

「会社をクビになってカネがないからって、無心しに来たの?」


 ケーイチはカチンと来たが、ぐっと我慢した。


「ちげーよ、クズ。宝くじが当たった」

「嘘。いくら? クズ?」

「10万円。未成年の場合は銀行に保護者が帯同しなきゃいけないって」


 ケーイチはちゃんと過小申告をする。


「仕方ないわね。着いていってあげるから20パーセント寄越しなさい」

「2万円ね。いいよ。じゃあ来週の月曜日に迎えに来るから」


 ケータイはS13シルビアを売却して銀行までのタクシー代を捻出する。売却価格は10万円程度。


 そして、月曜日の朝。ケーイチは印鑑や免許証を持ち、タクシーに乗り、自宅へ行く。玄関には、父親、母親、兄、弟が待っていた。


「お客さん、お出迎えですか? それとも、皆さん乗せてくの?」

「聞いてきます。待っていてください」


 ケーイチはタクシーを降りて、玄関に行く。


「何やってるの? 母さん、行くぞ」

「ケーイチ。父さん達も一緒に行く。社会勉強だ。いいな?」

「仕方ねえな。母さんだけタクシーに乗って、後は自家用車で着いてこい」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ