017(地獄の始まり)
ケーイチは休みの日にガソリン配達をしてもらい、S13シルビアに給油する。ナンバーは付いてないから運転免許を持ってる人に代行してもらう訳にもいかない。
ケーイチは原チャリの免許を取った。道交法の簡単な引っかけ問題とコースで試験だ。小学校のクラスメートだった、高松も一緒に試験を受けた。高松は原チャリをコントロール出来ず、暴走して事故っていた。
マイも原チャリの免許を取り、デートはもっぱらバイク移動だ。
ふと、ケーイチは市子が気になった。市子の携帯電話の番号は洋介から聞いていた。ケーイチは市子に電話をかける。
市子はケーイチからの電話に出なかった。市子は…………うつ病を発症していた。知らない番号からかかってくる電話が怖かった。市子は女イジメグループとの対立が激化して心身共に疲弊していた。ケーイチとマイがくっついた事がトドメとなり、不登校になる。
市子の兄である洋介はケーイチに敢えて病状を伝えてなかった。市子がストップをかけていた。
市子はA型事業所の僅かな収入で生活をしていた。A型事業所とは精神がイカれてしまった人や身体障害者の受け皿として、労働の場を設けた施設だ。
市子の病状も知らずに、ケーイチはセミナーとドリフトにのめり込む。ケーイチの腰痛は次第に和らいでいった。しかし、痺れはいまだに残る。
――ケーイチが17歳の時にアルバイトしていた会社の業績が傾き出した。ケーイチは整理された。いわゆる、リストラクチャリングというヤツだ。ケーイチの心にポッカリ穴が空いてしまった。
「この先どうしよう。他のアルバイトをする? いや、無理だ。洋介さんみたいな味方が居なきゃ、やっていけない」
ケーイチは新たなチャレンジが怖かった。
そんな時、ケーイチの携帯電話にショートメールが入った。差出人は市子だ。
『今週のロト7。291回。1、11、18、19、21、29、37』
市子はハッキリと降ってきた。しかし、ケーイチ1人が買わないと、未来が変わってしまう。
ケーイチは携帯電話のウェブでググり、キャリーオーバーしているか調べる。1等は10億円だ。
ケーイチは市子のお告げを信じる。宝くじ売り場へ行き、申込カードを1枚取り、メールにあった番号を鉛筆で塗りつぶしていく。残り4口は適当な番号を塗りつぶし、1500円を支払う。




