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013(理解か無理解か)

――ケーイチは中学二年生になり、柔道初段の試験をパスして懲役をしりぞいた。しかし、左の脚は痺れっぱなし。死に物狂いで形の相手を投げ飛ばした。この時から、もう一つの懲役、イジメから逃げる事を決意する。不登校だ。限界だった。


 ケーイチの親は理解出来ず、無理矢理、力ずくにでも中学校へ連れていく。「学校に行かん奴はうちの子じゃない!」と吠えながら。脅せば言うこと聞くと、歪んだ親心だ。


 ケーイチは親が去ったのを確認してから逃げる。そして、公園で時間を潰し、適当な時間に家へ帰る。母親が待ち構えていた。


「ケーイチ! 木原先生が、ケーイチは登校してないって。どういう事?」

「…………」

「何で学校に行かないの?」

「…………」

「イジメね?」

「えっ?」

「ケーイチが弱い者イジメに勤しんでる頃、イジメられてる子達は一所懸命に勉強をしてるわ」


 ケーイチは絶望した。やっぱり、家族は味方じゃない。日本語が通じない人擬きだと。


「2度と学校に行かない!」

「そう。遊んでなさい。今にイジメられた子達は、ケーイチを追い抜くわ」


 ケーイチは自室に籠り、新作レースゲームをやり込んだ。


 ケーイチの父親は遊んでるなら、働けと吠える。自分の工場でただ働きをさせようと、ケーイチの邪魔をする。学校に行くよりはマシだが、それでも、ストレスフリーとは無縁だ。


――ケーイチはそれから、1年間ほど無理解と暮らし、15歳になり、3月31日が過ぎた。市子の兄、洋介の紹介で自動車部品工場にアルバイトとして入社した。一人暮らしも始めた。携帯電話も買った。


 ケーイチの仕事内容は部品を30個に1個、ノギスで測定する。洋介は丁寧に仕事を教えてくれる。


 ケーイチが入った会社は200人規模の田舎では大きい方だ。食堂や医務室もある。


 ケーイチはまだ15歳だが、貯めたお金で中古のS13シルビアを買う。走行距離20万キロ超えの二束三文だ。サーキットまで積載車で送ってもらい、円書きをする。洋介が手取り足取り教えてくれた。それを妬んだのが、洋介の友人、近藤。


 近藤はケーイチにキツく当たる。近藤もモータースポーツに興味があったが、実際にやる度胸はなかった。もっぱら、ドリフトアニメを観ての自慰だ。だから、運転免許もないケーイチがドリフトするのが許せなかった。

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