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010(イカれた連中)

 ケーイチの中学校生活は順調だった。最初の1ヶ月ほどは。しかし、ケーイチは柔道クラブの稽古で、乱取り中に腰を怪我した。OBの男に内股で投げ飛ばされ、腰を捻って畳に叩き付けられた。座って左の脚を伸ばすと、痺れて感覚が乏しい。


 ケーイチはすぐに夜間病院に運ばれた。


 レントゲン撮影では以上なし。しかし、ケーイチの脚は痺れる。診断では3週間の安静と言われた。医師がヘラヘラ笑ってるように見えた。


 その日から、ケーイチは仰向けと右向きで眠れなくなった。腰を圧迫し、痺れて痛いからだ。常に左横にならないと、脚が痺れる。


 両親に柔道はもう辞めると、キッパリ言う。しかし、両親は聞く耳を持たない。壊れた機械のように「初段まで頑張りなさい、初段まで頑張りなさい。誰しもがぶつかる壁だ、誰しもがぶつかる壁だ」と、繰り返すだけだった。


 この頃に、ケーイチは前歯も痛いと訴えて歯科クリニックへ行く事になった。母親が調べて、よしとした歯医者へ。


 ケーイチは中学校の帰りに、歯科クリニックに寄る。そこの院長は神経を病んでいた。麻酔注射を痛がる子供の頬を平手打ちして、泣き止ませようとするが、当然、逆効果だ。


 泣きじゃくりながら、処置室から出てくる子供。それに対し院長は「泣くなー! 他の患者が不安になるだろ!」と叫ぶ。ケーイチは歯痛があったが、逃げてしまった。あんな大人とは関わりたくないと。


 ケーイチは家に帰り、母親に「別の歯科クリニックへ変えてくれ」と言う。母親は「ダメよ」と返してくる。ケーイチは「何で?」と更に聞き返すと、母親は「難しい事はよく解らないから」と意味不明な事をほざく。


 ケーイチは腰痛と歯痛に耐えながら、懲罰(柔道と学校)を受ける。敷かれたレールから逸脱が出来る子供は勇気がある証拠だ。ケーイチには、それがない。


 歯痛は波があり、次第に痛い時間は減っていった。腰痛は3週間過ぎても鈍痛が残る。そして、学校のトイレで雑魚キャラにいじられる。ケーイチは雑魚キャラの喉仏を掴んで捻って潰す。声が掠れる。


「ナメるなよ、雑魚」

「ゲホッ、ゲホッ…………おとなしくターゲットになれよ」


 ケーイチは怒りが頂点になり、雑魚キャラの顔面に左ストレートパンチをお見舞いする。雑魚キャラは口から泡を吹いて、ぶっ倒れた。


 ケーイチは新たに生徒のランク付けをした。雑魚には厳しく、イケイケには優しく。いつも通りに。

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