管理局
「こんな甘ったるいモンばっか食ってられるか」
「あら、随分と早いギブアップね」
「リアが凄すぎるだけだと思うよ…?」
確かに美味い。美味いが何個も何個も食うものじゃない。
俺とフィーネがギブアップする中、コーディリアはもう数えるのも面倒なくらいには食べている。
「すみません、いちごパフェとフルーツタルト一つずつお願いします」
「まだ食うのかよ。太るぞ」
「失礼ね。後でちゃんと頭脳労働するからいいのよ」
「フィーネはリアよりも少ないから太らないで済むね!」
「生意気な口をきいてくれるじゃない、フィーネ。後でとびきり難しい宿題を出してあげるから覚悟しなさい?」
「うぇ〜、言わなきゃ良かったぁ…」
「大人気ない。そもそもコーディリアは俺達が働いてる間何をしてたんだ?まさか寝てたわけじゃないよな?」
「そんな訳ないじゃない。この定域での魔術体系の調査と研究材料の調達を主にしてたわ。あと管理局の動向も慎重にではあるけれど探ってはいたわ」
「ほぅ、意外と動いてるじゃないか。それでその成果は?」
「まあまあね。前者は十分にデータも取れたし上出来よ。帰ったら試したい事が沢山出来たわ。逆に管理局の方は全く。あいつらコソコソしすぎなのよ。何か動いているような気もするのだけれど」
「…やっぱり狙っているのは俺達、というかお前ら2人なのか?」
「そうね。かなり目障りだと思うわよ。彼らの粛清対象でありながら生き延びているんだから。まあ私達以外にもいるとは思うけどね」
「他にはどんな奴がいるんだ?」
「うーん、皆が皆逃げ回ってたり隠れてたりするみたいだから殆ど知らないわね。定域渡行したときに噂で聞くくらいだしね」
「大体がお前らみたいな魔術師とか特殊な種族とかなんだよな」
「そうね。管理局が指定する禁止魔術、種族。多くは強大な力を持ち得るものよ」
「じゃあ俺が突然変な魔術研究始めたら俺も対象か」
「まあ見つかればそうだけど…何かするつもりなの?」
「いや、そんなつもりは無い。といってもいつまでもこの“言霊”だけじゃ厳しいだろうと思ってな」
「ところで、お兄ちゃんのそれって管理局の禁止魔術なの?」
「そういえば気にした事も無かったけれど、確か大丈夫だったはずよ。そもそも言霊って小物とかそよ風くらいしか生み出せないものだし、出来ても1分くらいしか保てないのよ。弱小魔術だけど珍しい、くらいのもの。貴方みたいに何でも作り出せるとか聞いたこともないわ。ほんとなんなの貴方」
「そういうな。こんな世界じゃどんな奴がいてもおかしくないだろう?」
「まあそうだけれど…」
「ねぇねぇ、フィーネ難しい話わかんないし、お腹いっぱいだからお土産見に行きたい!」
「フィーネの言う通りだ、今は落ち着いてるからそれでいいんだよ」
「うーん…まあいいわ。そのうちわかるでしょ。というかせめてこのケーキ食べ終えるまで置いて行かないで」
「仕方ないなぁ、リアは!ちょっとだけだよ!」
「なんでフィーネが偉そうなのよ…」
「ほら早く早くぅ」
「分かったから急かさないで」