表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Cursed Blood  作者: Shin
11/21

インビジブルスカア

不可視の矢が、右肩を、左足を、頬を削っていく。

至る所から鮮血が散る。

「…ってぇなおい!」

「大丈夫?!早く回復魔術を…!」

「これぐらい大丈夫だ、自分の事に集中しろ!」

僅かな隙をついては反撃しているが、ほとんど効果をあげていない。

そして鳴り止まない風の音。

攻防同時で敵は不可視というのはあまりに不利すぎる!

「あと30秒待って」

「…っ」

フィーネの呟きを聞き、2人で弾幕を厚く張る。

当たらなくていい、制圧射撃。

「禁忌を犯した反逆分子は随分と生き汚いな?そうまでして生き延びたいか、兇徒よ」

「誰が兇徒よ!誰も傷つけたりしてないでしょう!?」

「大虐殺」

「っ?!」

また俺の知らない現実。

この2人はどれ程のモノを抱えているというのか。

「存在そのものが不安を煽り、心を傷つけ、平穏を乱す。それが貴様らだ。これを兇徒と呼ばずしてなんと呼ぶ?或いは世界の癌、或いは生命の毒。あの忌まわしき力を宿しているという事実が、生きていることこそが人を不幸に陥れているんだよ貴様らは」

コーディリアの顔が大きく歪んだ。

「――っ!!何も知らずに偏った思想ばかり語って!どれほど…どれほど私達が苦しんだと思ってるのよ!貴方は何も知らない偽善者!無知のまま無意味な殺戮をする管理局の人形よ!」

「コーディリア今は抑えろ!矢を避けきれていない!」

彼女の何かに触れたのか、普段では想像もつかないほど荒れている。

2人をカバーしながらでは流石に厳しい…!

「殺戮人形?さてそれはどちらかな?私が願うのは平和な世界に平穏な生命。それ以外の何者でもない」

「ふざけてるの?!貴方達からだけはその言葉を聞きたくない!」

「リア、お兄ちゃん、伏せて!」

「頼んだ!」

周りが見えていないコーディリアを押し倒す。

まだ何か叫び続けている。

「"不可視を飲み込め、黒き獣よ。恨め、憎め、その穢れきった未練を大牙に塗りて。さあ目覚めよ、汝が供物は今ここに!"」

裏路地で見せた黒い何か。

今は、獣の形として認識できるくらいには安定していた。

黒獣は森、即ち魔術そのものを喰らっていた。

5体のそれを今度はある程度コントロール出来ているようだ。

「――魔術喰い(ルーンイーター)。死霊魔術を使えるようになっていたか。ますます正義とはかけ離れていくな。だが、まあこれだけ戦力情報が得られれば充分だ」

結界が消える。

逃げる気か!

「させるかよっ!!"振動波"!!」

フードが舞う。

斬撃はコートの端すら切り裂けない。

……早い!

「亜光速の衝撃波…ソニックブームか。随分と芸達者だな。また会おう反逆者。遺言でも考えておけよ?」

声と光と共に、黒いその姿はかき消えた。

1人の心に傷を残して。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ