出会い
完全に趣味です。そして記念すべき第一作目です。
まだまだ稚拙な文章だとは思いますが、脳内にある色んな想いを形にできたらと思います。
執筆速度は遅いですが、その分全力を込めて書いていきます。
ぜひ読んでいってくださいな。
「お兄ちゃん、大丈夫?気分わるいの?」
・・・?
「このままだと風邪ひいちゃうよ?」
・・・ああ。寝てたのか、俺は。
「ありがとう、大丈夫だ。お前こそこんな時間に公園で何してる?」
日はいつのまにか傾いて木を赤く染めていた。
「んーとねー、内緒!それよりお兄ちゃんについてきてほしいところがあるの!お兄ちゃんしかできないことなんだよ!」
こんな小さな女の子が何の用だと。
「どこに行くんだ?母親は?一緒じゃないのか?」
「そんなにいっぱい聞かないでよぅ。ついたらちゃんと教えてあげるから!」
・・・まあいいか。別にすることなんてないし。帰っても楽しいわけじゃないし。
「まあ別にいいが」
「やったあ!ほら、はやくはやく!」
「おい、そんなに引っ張るな。ちゃんとついていくから」
少女は嬉々として俺の手を掴んで歩きだした。
「・・・なぁ、あとどれくらいなんだ?」
何も考えずについてきたが、もう数十分ほどは歩いただろう。流石になにかおかしい気がするが。
「あと少しだよ、お兄ちゃん。ほら、もう、すぐそこに」
「・・・・・・え?」
さっきまで住宅街を歩いていたのに。
「何だよこの場所・・・。屋敷?」
ただ屋敷というには余りに古く、深く草が生い茂っていた。何より、暗すぎる。さっきまで夕方だったのに、まるで真夜中のように暗くなっていた。
「なあ、ここは・・・!?」
「あははははは!!やった、大成功だぁ!ようこそ、お兄ちゃん!素敵な、とっても素敵な場所でしょ!これでもうお友達だね!」
少女はいたって嬉しそうにしている。
「・・・!」
振り向くと、大きな門が音を立てて閉じるところだった。門の先には、赤い、夕陽。
「どこ行くの?逃げないでよ。お兄ちゃんはもう私のものなんだよ?・・・なんだか、お兄ちゃんには凄く惹かれるの。絶対に離さないよ?」
「・・・っつぅ・・!」
信じられない力で、俺の手を握りしめていた。普通の女の子の力じゃない。逃げ出すどころか痛すぎて一歩も動けない。
「いっ・・てぇ・・・!はなせ・・よ・・!」
「嫌だよ。離したら逃げるでしょ?お兄ちゃん。フィーネのお友達になってよ。ううん、もうお友達だったよね。だってもうここから出られないんだから。もうフィーネのものなんだから本当に絶対に離さないよ。全部、フィーネにちょうだい?」
目の前で、門が、世界が、閉じた。