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文化部怪談物語  作者: 文月一星
2/11

放送部編 part2

じょせい

後日、日が沈み、三日月が真上に上るころ、二人は学校に残った。ほかの部員は帰宅し、部活動の顧問は二人の実績、そして天草の熱意を信じてこれを許し、職員室にいた。

「真美先輩、放送室に行きましょう」

ふたりは最初からその場にいては変化が起きにくいと考え、わざと別の教室にて準備を整え、それから職員室へと向かった。

「ゴホッ、ごめんなさい」

真美は生憎体調を崩していた。それほど具合が悪いわけではないが、喉奥にタンが絡まりそれが真美の声色を低く変化させていた。

「大丈夫ですか先輩」

「ええ、調査となれば問題ないわ。それより放送室に入ったらなにかやっておくべきことはあるの?」

幽霊が出る条件。女性であること。このことから真美だけが放送室に入り、中でカメラを回す。天草がいては条件から外れてしまう恐れがあるため、ドアの外で待機し、カメラを回す。

「マイクの前で、私は放送部が大好きですと言うそうです」

「なにそれ」

「どうやら放送部に怨みがある霊だそうで」

放送室の扉を閉める。閉めるときのドアの隙間から風が吹いた。冷たかった。

「私は放送部が大好きです」

それ以降沈黙続く。度々発作として真美の喉元から出てくる咳の音だけが防音完備の放送室にだけ響き渡る。五分経った。何も起きなかった。

 一端、真美は外に出る。

「天草君。なにもないんだけど」

「相手は心霊現象ですから。時間がかかるのは無理ないかもです」

「とにかくあと五分経って何もなれば、今日は退散よ」

今夜、何も起きることはなく。ただUSBの残量とカメラのバッテリーを消費するだけであった。


 

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