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文化部怪談物語  作者: 文月一星
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放送部編

短編小説です。気軽に読んでください。

「ねえ知ってる?私たちの放送部」

「ああ、知ってる。なんか前の県大会で優勝したとか」

「そう、でもさぁ、意味わかんなくない」

「言えてる。だってピンとこないし。優勝って言ってもパッとしないよねー」


学校にまた理解のない言葉が蔓延る。真美はそれを見て、また軽蔑の眼差しを向ける。真子はこの学校の放送部に属しており、放送部であることを誇りに思っている。今回の県大会優勝という実績も真美の尽力なくしては敵わなかったといっても過言ではない。あのような浅い知恵で物事を発言するのはとても腹立たしい。しかし真美にはそれを正せるほどの発言力を持ち合わせていなかった。


放課後

真美はいつものように部活へ向かった。大きくはないが気に入った放送室である。

「じゃあ、今日も活動しよっか」

屋上での発声練習、戻って放送室での台本のコンペ、学内でのネタ集め。放送室の掃除。

大会が終わったばかりだったので通常通りの作業を行い。今日の活動を終える。


「真美先輩」

「どうしたの天草君」

一つ下の後輩天草。彼はとてもこの部に貢献してくれている。この前の大会でも作品一つを部門優勝まで導いた。

「さっきのネタ集めで聞いちゃったんですけれど。うちの部活に噂があるそうです」

「噂?」

「はい正確に言うと放送室の噂です」

「続けて」

「なんだかうちの部活には幽霊が出るそうです」

「幽霊ねぇ」

驚きはしなかった。この手の話は放送部に入ってから嫌というほど聞く。部室、音楽室、学校自体。真夜中になると、出るだとかなんとか。しかし、大会前になると放送部が夜中学校にいるのはよくあること。ついでに調べてみたこともあるが、そのようなことは一切起きた試しがない。ほとんどが出まかせだ。

「それでその幽霊ってはどんなの?」

今回はどのパターンなのか。

「声を奪うそうです」

「声を?」

「はい。」

「いかにも放送室らしいわね」

よく聞くパターンの一つだ。

「で、それを話して私にどうしろと?」

「このネタで作品を作ろうと思うんです」

「とても盛り上がりそうには思えないんだけど。」

「だって噂の中心がわが放送部ですよ。解明できれば、放送部にスポットを当てることができて、うちの部は安泰です」

一理ある。実際問題放送部の部員は減少傾向にあり、部員も二桁を切っていた。それに外部から噂話が始まったのだ。一定のオカルト好き以外にも食いつく人は存在するだろうし、解決すれば確実に知名度も上がり、入部者数も向上するだろう。

なにより先程聞いた部への陰口が真美には悔しくてならなかった。

「わかったわ。試してみようじゃない。」

「ほんとですか。ありがとうございます!」

「それで、その幽霊ってのはいつ出てくるっていうの?条件とかは?」

「えっと、放送部であること、夜に学校にいること、女性であることです」

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