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無貌のモノ

作者: 月香花

テスト投稿もこめて昔考えた絵本風の物語を投稿してみました。

少しでも気に入ってもらえると幸いです。

無数の生き物が共存する大地の片隅に

黒いモヤの様な形を保った

「無貌のモノ」が存在していました


無貌のモノは常に孤独でした

同じ姿形の生き物がいないため

恐がられ気味悪がれ

誰からも受け入れてもらえなかったのです


孤独に耐えきれない無貌のモノは一大決心をしました

「姿を変えて仲間を作ろう」

無貌のモノは、黒いモヤの様な色形を変えオオカミの姿になりました

そうしてオオカミの群れに近づきオオカミとして仲間になることに成功しました


オオカミの仲間になることに成功した無貌のモノは

今度はヒツジの姿に色形を変え

ヒツジ達の仲間になりました


ある時はオオカミ、ある時はヒツジとして過ごす事で

沢山の仲間を手に入れた無貌のモノは

孤独から解放されたと

心から幸せに浸っていました


幸せな心の端の方にある僅かな違和感に気づかないようにしながら…


そんなある日、オオカミの集会に寝坊してしまった無貌のモノは

慌てて姿を変え集会に向かいました

なんとか間に合ったのですが

オオカミ達から威嚇をされてしまいました

「なんだオマエは!」

「出て行けバケモノ!」

あまりに突然の事に無貌のモノは慌ててその場から逃げ出しました


傷ついた無貌のモノは

ヒツジの仲間のもとへと向かいました

「こっちの仲間は大丈夫」

そんな無貌のモノの思いを裏切るかのように

ヒツジ達も無貌のモノを恐がり威嚇したのです

「怪物だ!」

「あっち行け!」

何がなんだかわからない無貌のモノはまた慌てて逃げ出しました


必死に逃げた無貌のモノは

来たこともない森の奥深くまで来てしまいました

喉がカラカラになった無貌のモノは近くの湖を見つけ

水を飲もうと湖に顔を近づけ

ー水面に映る怪物に気づきましたー

その怪物は体の半分がオオカミでもう半分がヒツジの姿でした

無貌のモノは慌てて姿を変えたために中途半端な姿になってしまっていたのです

「これじゃあもう、皆の所に二度と行けない」

無貌のモノは絶望のあまり言葉をなくしその場に座り込んでしまいました

するとそこへ、どこから来たのか一羽の鷹が無貌のモノに声をかけたのです

「本当のオマエはナニモノだ?」

それだけ言い終えると鷹はすぐにどこかへ飛んで行ってしまいました

無貌のモノはその言葉を聞いて何かに気づいたようでした


しばらくして、無貌のモノは姿形を変える事なく

元の黒いモヤの形のまま生きていました

しかし、いままでのような孤独ではなく

様々な生き物達と仲良くしていました

作り物の仲間を作る事もなく違和感のない幸せな日々を手に入れたのです

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― 新着の感想 ―
[一言] 月香花さんの小説を拝見させていただきましたが、お話がすごく童話っぽくて私好みでした! これからも頑張ってください! かげながら応援してます。
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