6日目
幼女の言葉を考えるのって難しいです
ルナ「ていんにいにどうしたの?」
な、なんでもないです。
ゼフィト「何にもないから大丈夫だ、ナツミは後から来るそうだぞ」
そんなところで、今回も、ほら。
ルナ「どうぞ〜」\(`・ω・´)/
朝起きると横のベットにはルナが居なかった。出て行ったのだろうか?
ゼフィト「・・・楽しそうにしてたけどな」
やっぱり帰るべき場所、と言うのがあるのだろうか。と思っていた。
ゼフィト「ん?」
なんだ?俺の掛け布団の腹部の辺りがこんもりしている。中を見ると・・・居た、俺と同じ銀髪の少女。
ゼフィト「はあ、お前は甘えん坊の子供か・・・あ、子供だったか」
でも案外可愛く感じる。今度甘い物でも買ってやろうか。
ルナ「んー、おはよ」
ゼフィト「おはよう、今日はどこに行こうか」
ルナ「ゼフィトにいにが一緒ならどこでも良いよ」
ゼフィト「そうか」
俺はルナの頭を優しく撫でる。そういえば俺にも妹がいたっけか。確かあいつもこんな感じで俺に甘えてたか。
『兄貴のバカ!!』
あ、最後は喧嘩別れしたっけか。あいつは今どうしてんだろ。
俺はそんな事を考えながら出掛ける用意をしていた。
side夏美
2日目、ゼフィトの尻尾に触れないで過ごす2日目。やっぱりゼフィトがいないとダメだな、私。
sideゼフィト
んー、なんか、夏美に会いたくなってきた。扉に手を掛けようとすると。いきなり扉が叩かれる。
「開けろ!!ここにルナ様がいる事は分かっているんだ!!」
ゼフィト「!!」
そんな怒号が響く。背後を見ると不安そうに俺を見上げるルナがいた。私を放らないで、見捨てないで、と目から雫流れ落ちる。
ゼフィト「・・・ルナ、お前が決めるんだ、奴等と共に帰り、あの部屋でまた暮らすか、俺と一緒にこの国を出るか」
ルナ「!!」
ルナが目を見開く。自分の事はわかっている、竜神は竜族の希望の光、でも時に狂わせる。それが今だった。
ルナ「・・・たい・・」
ゼフィト「どうするんだ」
ルナ「・・い・・いき」
ルナは涙を滝のように流す。
ゼフィト「小さい声じゃ聞こえない!!」
ルナ「!!」
今も外から大声が聞こえる。
ゼフィト「お前の本心を曝け出せ、想いを叫べ、お前の願いは、叶う!!」
ルナ「ルナは、ルナは」
ルナは涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら遂に叫ぶ。
ルナ「ルナは!ゼフィトにいにと一緒に行きたい!!白いだけの狭い世界にいたくない!!ルナは、ルナは、もっと広い世界を知りたい!!!!」
ゼフィト「・・・その願い、聞き届けた、俺が、この四天王『白銀狼』のゼフィトがその願いを叶えてみせる!!」
俺は扉を蹴破り、雪崩れ込んでくる兵士どもを殺さないように蹴散らし、ルナを抱えて飛び出した。
ゼフィト「行くぞルナ、お前は自由になるんだ!!」
ルナ「!!」
その時、眩しい太陽にも勝るほど、ルナの笑顔は輝いていた。
俺は魔王城に向かっていった。が、竜族がそれを簡単に見逃すはずがない。俺の前に族長、竜王を含む兵隊が立ちはだかる。
「全く、魔王の名代が子供を誘拐とは、流石にやりすぎなのでは?」
ゼフィト「そちらこそ、自分達の欲望の為に子供を閉じ込めて調教しようとするなんて、趣味が悪いな」
「・・・話になりませんな、ルナ様を返していただしましょう、そしたら命は助けてあげますよ?」
ルナの手を握る力が強くなる。
「聞けば貴方、四天王最弱だそうじゃないですか、貴方を倒して四天王の座を手に入れるのも良さそうですねぇ」
大丈夫だ。
ルナ「ゼフィトにいに」
ゼフィト「ルナ、もう一度聞かせてくれ、どうしたい?」
ルナ「る、ルナは、にいにに死んでほしく「どうしたいかを聞いてるんだ、さっきは叫んでただろ」・・・うん、ルナは自由に生きたい!!」
なら、俺のやる事は一つだ。
ゼフィト「道を開けろ、でなきゃ、消すぞ」
軽く、ただ軽く殺気を洩らす。それだけでトカゲの兵隊どもは恐れおののく。
ゼフィト「俺が四天王最弱だと、取るに足らない存在だと思うなら、来い、消してやる」
更に強く殺気を放つ、残りの連中が膝をつく。
ゼフィト「おい、俺は三分の一も本気出してないんだが?おい、道を開ける」
ゼフィトの目が光る。竜族達は道を開けた。
ゼフィト「行こうルナ」
ルナ「うん!!」
ルナは自由の身となった。
魔王と話し合った結果、ルナは俺が引き取る事になった。
ルナを連れて屋敷の扉を開ける。
夏美「ゼフィト!!」
夏美がゼフィトに飛びついた。一緒に尻尾をモフる。
夏美「全くゼフィトもふもふ尻尾は最高だぜ!うおおおおぉぉぉぉ」
ゼフィト「ひゃ!?そ、そこはらめぇ!!」
夏美が落ち着くまで少々お待ちください。
夏美「ごめん、ゼフィトと離れている時間が寂しくて、つい暴発しちゃった」
そう言われたら怒れないじゃん。
夏美「それでその子は?」
ゼフィト「うちに引き取った子だ、名前はルナ、妹みたいに可愛がってくれ、ルナ、この人が俺の婚約者、ナツミだ」
ルナ「よろしくね!ナツミねえね」
夏美「か、可愛い」
こうしてまた一人家族が増えた。
side夏美
さっきゼフィトが連れて帰ってきた女の子、ルナちゃん。ゼフィトと同じ髪の色で撫でたら目を細めて頭を擦り付けてくる。猫みたいで可愛い。なんだか、こう、母性が湧いてくる。子供が出来たらこんな感じなのかな?ぜ、ゼフィトとの、子供・・・。
ルナ「ナツミねえね、どうしたの?顔赤いよ?」
ナツミ「な、なんでもないわよ、ほら、頭洗ってあげる」
ルナ「はーい!」\(^ω^)/
う、可愛すぎる。ゼフィトと髪の色が同じだから本当に自分達の子供のように思えてしまう。
side???
帰ってきた。いったい何年ぶりだろう、この地に帰ってくるのは・・・。あの人は未だ健在だろうか。今にでも会いに行きたいが、もう陽も落ちた。今出向くのは迷惑だろう。というより、今更会いに行く事自体が迷惑だろうか。僕は酒場に入っていった。
「お嬢ちゃん、ここはあんたみたいな若い子が入っていい場所じゃないぜ?」
「それなら大丈夫だ、僕は成人をしてから何千年と生きている」
「なるほどな、何を飲む?」
「この店にウォッカがあったでしょ?それをストレートで頂戴」
「ウォッカをストレート?それはちょっと強すぎるんじゃ?」
「いいから頂戴」
僕は昔からよくこの酒屋には来ていた。あの人は酒は苦手だったけど、今はどうかな。
「マスター、その酒、俺に奢らせてくれ」
すると一人の男性が僕の隣に座る。
「・・・誰?」
「俺はロック、つい可愛いお嬢さんがいたから声かけさせてもらった、構わなかったか?」
「ええ、いいわ、ところで、貴方人間のようだけど、この町に溶け込んでいるのね」
ロック「ああ、最近俺の仲間達は考え方を変えてな、俺達もこの町で住まわせてもらう事になったのさ、そういえば、聞いていなかったけど、君の名は?」
そう、人間にも物好きがいるんだな・・・。
「私はフィオナ、一応獣人の魔族よ」
ロック「美しい名前だ」
そこでウォッカが出て来た。彼は何かのカクテルだろうか。
ロック「乾杯」
フィオナ「乾杯」
数分後。
ロック「ふぃおなさん、ヒック、ほんとに、きれいだー」
フィオナ「貴方って酒弱かったのね」
「あー!見つけましたよロックさん!」
「いた!?また酒場にいたのね、まったく、懲りない男ね」
すると二人の女性が入り口から入って来た。
「ごめんなさい!うちのリーダーが迷惑をかけてしまって」
フィオナ「いえいえ、こちらこそ、酔わせ過ぎたようで」
彼女達がロックの言う仲間なのだろう、呆れてはいるものの、何処か信頼し合っているのを感じる。なんだか羨ましくなった。
フィオナ「貴方達、良いグループね」
「そ、そんな事ないですよ」
「そ、そうよ、もう少しこいつにもしっかりしてほしいわ」
フィオナ「良いじゃない、そう言う弱みを見せてくれた方が親しみやすいわ、こっちなんて完璧過ぎて何も文句言えないもの」
ええ、あの人は完璧過ぎる、もう少し弱みを見せてほしい。
彼女達とも親しくなった、少し口調が荒い子はエルザ、礼儀正しい子はミーナと名乗っていた。また何処かで会いそうだ。少し嬉しい気持ちで僕は宿の部屋で眠りについた。
sideゼフィト
困った、ルナが俺から離れない。一緒に寝る!と断固として離れない。
ゼフィト「・・・どうしよう」
ルナ「うう、にいに〜」
・・・流石にずっと一緒に寝るのは無理だよな・・・どうにかしないとな・・・あ、そうだ。
ゼフィト「セバス」
セバス「及びでしょうか」
ルナ「ふわ!?」∑(゜Д゜)
そういえば最初と比べてルナの表情がコロコロ変わるようになった。これも自由になった影響だろうか?
ゼフィト「ルナの為にぬいぐるみを作ってくれないか?」
セバス「これでどうでしょう?」
それは俺を見立てて作ったぬいぐるみだった。
ゼフィト「いつの間に」
セバス「こう言うことがあろうかと見越して、作っておきました」
何それこわい、セバスは時々未来予知でも出来るんじゃないかと思うぐらい先読みすることがある。
ぬいぐるみを渡すと一人でも寝れるようになった。俺の匂いがして安心するんだとか・・・セバス、マジで何者なんだ。
夏美「ただいま〜」
ルナ「ナツミねえねおかえり〜」
夏美「ルナちゃんただいま!今日はチョコ持ってきたからね!」
ルナ「チョコ!?チョコ!!」\(≧ω≦)/
ルナちゃん見てると癒されるね・・・。
ゼフィト「本当な、ほっこりするな」
・・・よ、よし、また次回もお楽しみに!!