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紫色の青春〜俺の青春は、少し血の混じった紫色だ〜  作者: ハルキカク


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第一章1 無色の青春

https://49440.mitemin.net/i1075936

挿絵(By みてみん)

「あなたの青春は何色だろうか。」

この窓の外に広がる空のような文字通り青色の青春だろうか、または、校庭で汗を流す爽やかなオレンジ、それとも、燃えるような恋愛の赤色だろうか。

 俺はそんな青春の物語の主人公ではないし、なりたくもない。

 俺――夏秋冬真白はるなし ましろの青春は、何も染めず、何も染められない無色がいい。

 

 ただガラス玉のように無機質な位置から、他人の青春を覗く傍観者でありたい。


 そう心のなかで嘯きながら、親指と人差し指を組み合わせ、小さな四角い枠を作っていた。

 現在、その中心に収まっているのは、教壇で教科書を開くクラス委員長、三角千春みすみちはるだ。

「……『いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに』……」

 教師に指名され、『若紫』の一節を朗読する彼女の声は、一点の濁りもない。

 知的な眼鏡から覗く凛とした瞳。白い肌に艶やかな黒髪。

 彼女のまるで聖女のような純白は、この熱病のような青春の色を中和してくれる。これは恋なんていう低俗なものではない。ただ、彼女という完成された「純白」を、遠くから静かに眺めていたいだけなのだ。

 ふと、隣の席からの視線を感じ、俺は慌てて即席で作った指のファインダーを崩した。

 一ヶ月前に転校してきた、春ヶ原沙紀かすがはらさき

 彼女は俺の動作を、月明かりが照らす夜桜のような毒を孕んだ「紫色」の瞳で見つめていた。

 ドクン、と嫌な音で心臓が跳ねる。

 

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