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5 魔狼フィーネはクール美少女

「勝手に【人化】させられた……? 私が……人に従う、だと……?」

 彼女は信じられない、といった表情で俺を見つめている。

「そういえば、ルシアの時も勝手に【人化】させられた、って言ってたよな」


「なんだ、知らなかったのか、主。テイムが成功した場合、我ら神獣は主の前でひとりでに【人化】してしまうのだ」

 と、ルシア。

「服従の証として、ありのままの姿をさらけだすのだ」

「へえ……」

 知らなかった。

 じゃあ、フェンリルもテイム成功したってことでよさそうだな。


「えっと……よろしく。俺の名前はアルク。お前の名前は?」

 俺は銀髪の美女に話しかけた。

「……フィーネ……それが、私の名だ」

 彼女――フィーネは静かな口調で名乗る。

「君が主……ということだな。よろしくお願いする」

 よし、主従契約成立ってことで、まずはステータス確認だ。

「【ステータスオープン】」




 名前:フィーネ

 種族:魔狼(神獣)Lv.1

 HP:700/700

 MP:400/400

 筋力:150

 体力:130

 敏捷:300

 魔力:80

 器用:100

 運:40

 スキル:【神速】Lv.1、【隠密】Lv.1、【爪撃】Lv.1、【氷雪】Lv.1、【月の加護】Lv.1、【鑑定妨害】Lv.MAX、【人化】

 称号:伝説の魔狼




「すごい……! 特に敏捷がとんでもないな!」

 ルシアとはまた違うタイプの超高速アタッカーだ。

 頼りになりそうだった。

「ふん、我の方が魔力は上だがな」

 ルシアが対抗するように言ってくる。

 負けん気強いなぁ。

 俺は苦笑した。

 それからフィーネに向き直り、


「まずはその怪我を治さないとな」

 彼女の足にはまだ罠が食い込んでいて、痛々しい。

「でもフィーネは神獣だろ? こんな罠にかかるなんて――何か特殊な罠なのか?」

 見た感じ、普通の狩猟罠である。

「私は……とある敵と戦い、呪いを受けたんだ」

 フィーネが言った。

「敵?」

「正体は分からない……闇の中から攻撃してきた、謎の獣……」

 フィーネは唇をかみしめた。

「そいつの呪いを受けて、私は『罠に対する耐性』がゼロになってしまった。

だから、こんな簡単な罠にも引っかかってダメージを受けてしまうんだ」

 悔しげに語るフィーネ。


「神獣であるお前に、呪いを――」

「正体は分からないけど、あれは尋常な敵じゃない」

 フィーネが言った。

「君たちも気を付けろ。あれは――もしかしたら、私たち神獣を狙っているかもしれない」




『あれ』の正体はフィーネにも、それ以上の情報がないようだった。

「じゃあ、そいつのことは気を付けるとして、まずはその怪我を治さないとな」

 俺はフィーネの足元に屈みこんだ。

 金属製の罠は人化した後も彼女の足に食い込んだままだ。

 傷が痛々しい。


「ルシア、これ外せるか?」

「やってみよう」

 彼女が罠に手をかける。

「無理だ。私にも壊せなかった」

 と、フィーネ。

「ぐぬぬぬぬぬ……」

 ルシアが力を込めて、罠を手で引き裂こうとしているがビクともしない。


「がんばれ……!」

 俺も一緒に罠に力をかけた。

 やっぱりビクともしない。

 目の前にはフィーネの痛々しい傷や、罠が食い込んで破れた肌がある。

 このままじゃ、かわいそう過ぎる。

 なんとか、俺が――。


 ぐぐぐぐっ!


 さらに力を込める。

「……むっ?」

 と、ルシアがハッとした顔になった。

「どうした?」

「力が、湧いてくる――」


 ばきばきばきっ……!


 ルシアはすさまじい怪力で罠を左右に引き裂いた。

「信じられない……神獣である私でさえ破壊できなかったのに」

 驚きで目を丸くしているフィーネ。

「むう……」

 ルシアも自分の両手を見下ろし、目をぱちぱちとさせ、


「今のは――主が力をくれたのかもしれない」

「俺が……?」

「主のおかげで我の力が増したような感覚があったのだ」

「俺に……そんな力があるのかな……?」

 いちおう手持ちスキルとしては神獣限定のテイムしかないはずだけど……そのスキルに派生効果でもついてるんだろうか?

「まあ、その辺はおいおい検証するか……まずフィーネの治療をしよう」

 といっても、メンバーの誰も治癒スキルなんて持っていない。


「治療用のポーションがあるから、かけてもいいかな?」

 俺はフィーネにたずねた。

 こくん、とうなずくフィーネ。

 俺は荷袋からポーションを取り出し(冒険者用の装備として準備していたのだ)、彼女の傷口に振りかけた。


 ポウッ……。


 淡い光が立ち上り、傷が治癒していく。

「おお、けっこう効きがいいな、このポーション」

「いや、それはフィーネの神獣としての回復能力のおかげだろう」

 ルシアが言った。

「通常のポーションにそこまでの効果はないはずだ」


「確かに……それもそうか」

「ん……楽になった」

 フィーネが小さく笑う。

「私の回復能力が高いのは確かだけど、ポーションの効果もちゃんとあったよ。ありがとう、主」


「どういたしまして」

 俺はにっこりと笑顔でうなずく。

「それから、ルシア……だったか? 君は罠を壊してくれた。ありがとう」

「ふん、礼を言われるほどのことではない」

 ルシアは尊大にふんぞり返った。

 フィーネは俺たち二人を見て、微笑を浮かべている。

 まだ戸惑いは残っているみたいだけど、少なくとも敵意は完全に消えたみたいだな。

 うん、よかった。


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