24 光と闇の決着
「ふん、ワシに立ち向かうか……愚か者が」
ゾルダンがゆっくりと右手を差し出す。
どおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!
轟音とともにすさまじい衝撃波が吹き荒れた。
「ここはわたくしが!」
リリナが前に出て防御スキル【太陽の加護】を発動する。
けれど、ゾルダンの放った黒い衝撃波は、いともたやすくリリナの防御を撃ち抜き、彼女の華奢な体を吹き飛ばした。
「きゃあ!」
リリナは地面に叩きつけられ、苦痛に顔を歪めている。すぐに再生の炎が彼女を包み、ダメージを回復するものの、すぐには全回復しないようだ。
「大丈夫か、リリナ!?」
「『闇の獣』から受けたダメージは簡単には治癒しないようです……」
心配になって声をかけると、リリナが苦しげな顔で立ち上がる。
「おのれ……【火炎ブレス】!」
今度はルシアだ。
最大級の炎がゾルダンを飲み込む――。
「無駄だ」
ゾルダンは片手を振るうだけで、そのブレスをかき消してしまった。
「なっ……!?」
神獣のブレスを、あんなに簡単に……。
「なら直接攻撃で――」
フィーネが神速で肉薄し、鋭い爪撃を叩き込む。
「遅い遅い
しかし、ゾルダンは身のこなしも異常なほどに増強されていた。
フィーネの攻撃を余裕で回避し、逆にカウンターの一撃を放つ。
「がっ……!」
フィーネもまた、吹き飛ばされて地面を転がった。
ルシアの破壊力を簡単にいなし、フィーネのスピードをあっさりと上回る――こいつ、めちゃくちゃ強いぞ!
「これが破壊神様と同化したワシの力よ! 貴様らごとき、赤子の手をひねるよりたやすいわ!」
ゾルダンが高らかに哄笑し、さらに強力な衝撃波を放った。
ごおおおおおおおおおおんっ!
俺たちは全員、なすすべもなく吹き飛ばされた。
あっという間に防戦一方になった。
神獣四人がそろっているのに、まるで歯が立たない。
ジュディスやカインも加勢するが、簡単に吹き飛ばされる。
もちろん俺だって例の【神獣能力借用】で立ち向かったけど、ダメージすら与えられない。
これが『闇の獣』の――破壊神の力なのか。
「……まずいぞ。想定以上に、神獣たちとの力の差がありすぎる……!}
みんな、殺される――!
そう感じた瞬間、俺の胸の奥から熱い感情が湧き上がってきた。
ルシアたちを失いたくない。
大切なんだ、みんな……俺にとって、かけがえのない仲間なんだ――。
出会ってからの時間は短くても、いくつもの戦いを経て、絆を深めてきた。
思い返せば、前世でここまで誰かを大事に想ったことなんてなかった。
ルシアたちは生まれて初めて出会った――『仲間』なんだ。
「っ……!」
湧き上がる熱い感情は、今や実際に『熱』となって体中に行き渡っていた。
「これは――力だ」
力が湧いてくるのを感じる。
そうだ、以前も何度かあった。
が仲間を強く想ったとき、彼女たちの力が断片的に強化される現象が。
「あの力を……今こそ、意図的に使う!」
俺は強く念じた。
彼女たちを守りたい。
彼女たちと一緒に勝ちたい。
彼女たちと、これからも生きていきたい、と。
「受け取れ、みんなっ!」
俺の体から、まばゆい黄金の光があふれ出し、ルシア、フィーネ、リリナ、ライムの体を包みこんだ。
「これは……主の力……!?」
ルシアが目を見開く。
「力がみなぎる……!」
フィーネが立ち上がる。
「主、ありがとうございます!」
リリナの傷が癒えていく。
「すごい……! 力が湧いてくるよ~!」
ライムが拳を握る。
「頼む、みんな! すべての力を結集して、奴を討て!」
俺の言葉に四人が力強くうなずく。
「「「「はああああああああああああああああああああああああああああっ!」」」」
真紅の炎が、神速の爪撃が、聖なる光の槍が、青く輝く激流が――ゾルダンに殺到する。
「な、なんだと……この力は……ありえん……ぐあああああああああっ!!」
破壊神の力を得たはずのゾルダンが、初めて焦りの表情を見せ、そして神獣たちの同時攻撃に飲み込まれていく。
断末魔の叫びが広間に響き渡る。
そして――。
静寂が、訪れた。
ゾルダンの体は消滅し、祭壇の残骸だけが残っていた。
「やった……のか……?」
俺は呆然とつぶやく。
「主! やったぞ!」
「ええ、やった!」
「主様のおかげですわ!」
「勝ったんだね~!」
神獣たちが、満面の笑みで俺に駆け寄ってくる。
そうだ……俺たちは勝ったんだ。
圧倒的な力を持つゾルダンを打ち破り、大勝利を手にしたんだ――!
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