20 敵襲
「な、なんだ!?」
「敵襲か!?」
謁見の間に緊張が走った。
「――来たか、『黒の爪』」
俺はすぐに悟った。
神獣たちとジュディスもそれぞれ身構えている。
「アルク殿、一緒に来てくれ。敵襲ならば迎撃せねばならん」
カインが言った。
「お前たちはここに残れ。陛下や宰相閣下をお守りするのだ」
と、部下に命じ、カインは俺に言った。
「さあ、行こう」
外に出ると、すでに城は混乱状態だった。
騎士たちが慌ただしく走り回り、あちこちで悲鳴や剣戟の音が聞こえる。
「報告! 西翼の宝物庫が襲撃されています!」
「敵は黒装束の集団! かなりの手練れです!」
伝令の騎士が叫ぶ。
黒装束の集団――やっぱり『鉄の爪』だろうか?
そう思ってジュディスを見ると、彼女はその通りだと言わんばかりにコクンとうなずいた。
「宝物庫だと!? まさか、狙いは……!」
カインの顔色が変わる。
「……宝物庫には、王家に伝わる古代のアーティファクトが保管されている。アルク殿、走るぞ」
「了解。フィーネは一足早く、全速で宝物庫に向かってくれ。カインさん、宝物庫の場所の指示を」
「宝物庫はここから真っすぐに行き、庭園の前で左に曲がればいい。その先にある巨大な倉庫がそれだ」
「じゃあ、行ってくる。敵がいたら倒す」
言って、フィーネの姿が消える。
視認できないほどの超速移動だ。
「私も行く」
と、ジュディス。
彼女は『闇の獣』由来の力を授けられており、フィーネに匹敵するほどの神速を誇るのだ。
「分かった。ジュディスも行ってくれ。ただし無茶はしないように」
「分かってる」
言って、彼女の姿も消えた。
フィーネ同様に超速で走り出したのだ。
そして俺も、他の神獣やカインと一緒に宝物庫へ向かった。
庭園の前で左に曲がった瞬間――、
「そこまでだ、王国の者ども!」
黒装束の集団が行く手を阻むように現れた。
その数、およそ20。
全員が異様な仮面をつけ、全身が黒いオーラに包まれている。
あれは――『闇の獣』由来の力か!?
っていうことは、こいつらが『黒の爪』!
「我らが悲願成就のため、アーティファクトは頂戴する!」
黒装束の一人が言った。
「ええい、控えろ!」
と、ルシアが【竜の威圧】を放った。
普通の相手なら、これ一発で精神に打撃を受けて戦意喪失するだろう。
けれど、
「効かぬわ!」
黒装束たちが叫ぶ。
「ちいっ、あの瘴気のせいか!」
ルシアが顔をしかめる。
黒い瘴気――おそらく『闇の獣』の加護――は、ルシアの【竜の威圧】でさえ跳ねのけてしまうらしい。
「なら、直接戦闘で無力化する! みんな、頼む!」
「……む」
ルシアがためらうような仕草を見せた。
「どうした?」
「我の攻撃は少し威力が強すぎる。人間相手だと、あっさり全滅させてしまうぞ?」
「……うーん」
人間相手、だしなぁ。
「リリナはヒーラーだし、ライムは……」
「あたしも同じね。水流で吹っ飛ばすことはできるけど、人間相手だと全員死んじゃいそう」
「なら――肉弾戦でいけるか?」
「苦手」
ルシア、リリナ、ライムが同時に言った。
「たぶん手加減できずにブッ飛ばして、やっぱり相手は死ぬな」
「同じく、ですわ」
「同じくよ~」
うーん……どうするか。
と、
「相手は邪教集団だ、容赦なく倒せ!」
カインが叫んだ。
その彼はすでに黒装束たちと剣を交えている。
一人、また一人と斬り倒し、そのたびに血まみれの死体が地面に転がる。
「うっ……」
やっぱり人間相手の殺し合いは、あんまり見たくないな。
いくら敵でも――。
そう思った瞬間、
ポウッ……!
俺の体から黄金の光が立ち上った――。
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