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2 竜神ルシアはツンデレ美少女


 やけに尊大な態度だけど――【テイム】は本当に成功してるんだよな?

 俺のことを『主』って呼んだから、成功してるんだろう、きっと。


「我は竜神の眷属。名をルシアという。人間ごときに仕えるのは複雑な気分ではあるが――契約は契約だ。貴様のしもべとなることを誓おう」

 と、彼女……ルシアが宣言した。

「じゃあ、よろしく。ルシア、俺の名前はアルクだ」

 自己紹介をする俺。

 そうだ、とりあえず彼女の能力を把握しておこう。

「【ステータスオープン】」




 名前:ルシア

 種族:竜神(幼体) Lv.1

 HP:500/500

 MP:1000/1000

 筋力:80

 体力:70

 敏捷:120

 魔力:250

 器用:90

 運:50

 スキル:【竜の威圧】Lv.1、【竜鱗】Lv.1、【火炎ブレス】Lv.1、【鑑定妨害】Lv.MAX、【人化】

 称号:竜神の末裔




「な、なんだこのステータス!?」

 レベル1なのに、俺の何倍の数字があるんだろう。

 特に魔法関係は数値がめちゃくちゃ高いし、スキルも強力なものがそろっている。

 さすがは神獣クラス。

 そこいらのモンスターとは完全に一線を画する強さだ――!


「これならいけるぞ……」

 右も左も分からない異世界生活だけど、早々にルシアと出会えたことで展望が開けてきた。

「なんだ、我をジロジロと見て? 惚れたか?」

「いや、可愛いなって思って」

 俺は反射的に本音を口走っていた。

 いや、本当にかわいいんだよな、ルシアって。

 これから俺の仲間だと思うと、なおさら可愛いと思えてくる。


「かっ……!? な、何を言っている! いきなり、ええい……この女たらしめ!」

「えっ? いや、別にそんなつもりは――」

 確かにルシアは可愛いけど、幼すぎるからな……。

 なんというか、恋愛対象として見る感じじゃない。

 もっと、こう――たとえるなら愛玩動物を愛でる感覚だろうか。

 が、ルシアの方は照れてしまったのか、顔が真っ赤だった。

 うん、最初の尊大な態度とのギャップも可愛いな。


「よろしく、ルシア」

「うううう……わ、我は……我はデレてなどいないんだからねっ!」

 いや、それツンデレのテンプレ台詞――。




 神獣ルシアを【テイム】した翌日。

「おい、主。いつまで寝ておるのだ。さっさと朝食の準備をせい」

 と、彼女に起こされた。

「んん……」

 まだ日が昇ったばかりの時間帯。

 午前五時台だろう。

「眠い……」


「ええい、日の出とともに起き、日の入りとともに眠る! 我ら竜族のように規則正しい生活をせんか」

「さすがにそれは無理……むにゃむにゃ……」

 俺は二度寝モードに入った。

「起きろー! 起きるのだー!」

 どこから取り出したのか、フライパンみたいな道具をガンガンと叩きだすルシア。

 俺の耳元で。


「あと五分……あと五分……」

 俺は夢うつつで答えながら、なおも抵抗していた。

 こいつ、見た目は可憐で純情無垢な乙女って感じだけど、態度はデカいし、けっこう強引な性格をしているようだ。

 まあ【絶対服従】スキルがあるから、最終的には俺の言うことを聞くんだが。

 昨晩は俺にやたら命令してきたり、反抗的な態度を取ったり――。

 で、今朝は今朝でこのありさまだった。


「むぅ……主のくせに生意気だぞ! 我はおなかがすいたのだ! 朝食を要求する!」

 薄目を開けると、ぷーっと頬を膨らませているルシアが目に入った。

 うっ、かなり可愛いかも……。

「仕方ない、起きるか」

 ルシアにこの顔をされたら、俺の負けだ。




「……これだけ?」

 ルシアは険しい表情で食卓を見ている。

 朝食は、質素な黒パンと小さな干し肉だけだった。

「俺は底辺のテイマーだし、稼ぎもほとんどないからな……」

 その日食っていくのが精一杯だし、それだってこんな貧相な食事だ。

 ――と、ここまでが俺がアルクの記憶を覗き見て知った現況だった。


「でも、このままじゃ食うに困るし、食い扶持が二人になったからな……」

 よし、決めたぞ。

「ルシア、食事を終えたら、俺と一緒に来てくれ」

「ん? 何かやるのか?」

「冒険者になる」

 俺は宣言した。

「そして金を稼いで、二人で腹いっぱい食べられるようになろう」


「ほう! それは魅力的な提案だ」

 ルシアが立ち上がった。

「いいだろう。この我がいれば、すぐに冒険者ランキングの最上位まで行けるはずだぞ」

 確かに、俺は神獣を従えたテイマーだもんな。

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