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19 騎士団長カイン


 その後、俺たちは今後の対策会議に移った。

「アルクたちからの貴重な情報のおかげで、近々『黒の爪』が全世界規模で破壊活動を行う可能性が高いことが判明した。当然、我が国としてもそれに対する防備をせねばならぬ」

「私はアルク殿に騎士団との共闘を要請したい」

 騎士団長――カインと名乗った――は俺にそう言った。

 ちなみにこの国の騎士団長は三人いて、そのうちの一人だそうだ。

 当然、レオナもその一人なので、彼女はかなり高い地位にある。

「貴殿の噂は以前からかねがね――先日は我が騎士団の団長の一人であるレオナを救っていただいたとか」

「ええ、その節はどうも……」

 一礼する俺。

「神獣を四体も従えているという最強のテイマー……が、その力が我々王国に益となるか、害となるか……」

「これ、カイン」

「いえ、陛下。言わせていただきます」

 王の制止にもカインは止まらない。

「確かに神獣は強大な力を持っている。が、その力は人の制御下にあってこそ、だ。貴殿は神獣を今後も確実に己の支配下におけるのか?」

 カインが続ける。

「もし暴走でもした場合――それこそ『闇の獣』とやらのように、破壊をまき散らしはしないか?」

『闇の獣』のように……か。

 その時、俺はふと思った。

 もしかして『闇の獣』って――。

 神獣が闇堕ちして、暴走状態になったってことはないかな?

 アニメやマンガだとよくある設定だが――。

 ゲームには『闇の獣』なんて出てこなかったから、そこは分からない。

「カイン、言葉が過ぎるぞ」

 国王がたしなめるが、カインは意に介さない様子だ。

「陛下。しかし、事実です。これほど強大な力が野放しにされている現状は看過できませぬ」

 俺は黙ってカインの言葉を聞いていた。

 確かに彼の言葉には一理ある。

 実際、神獣を制御できなくなったら――そんなことは考えていなかったけど、絶対ないとは言いきれない。

 その時、ルシアたちはどうなるんだろう?

 俺はチラリと四人を見つめる。

 ……暴走して破壊行動とかはしなさそうだよな、絶対。

「まあ、待て、カイン。今は『黒の爪』という共通の敵がおるのだ。内輪揉めをしている場合ではあるまい」

 宰相が間に入る。

「お主が先ほど申した通り、共闘するという方針は変わらぬであろう? ならば、ことさらに彼との関係を悪化させるような発言は慎むべきでは?」

「むしろ逆です。彼との良好な関係を築くためにも、懸念点はここで洗い出しておきたい」

 カインが言った。

 本音は俺への不信感があるけど、状況的に仕方なく共闘する――。

 たぶん、それが彼の本音だろう。

 そしてカインはそれを隠そうともしない。

「カインさんは俺を完全に信頼しきれない、ということですよね?」

「……無礼な物言いは謝罪させていただく。が、ありていに申し上げれば、そういうことだ」

 カインが俺に頭を下げた。

「私は騎士団長として王国の民を守る責務がある。だからこそ、この国に危害をもたらす可能性があるものは見過ごせない。『黒の爪』と『闇の獣』しかり、そして――」

「俺も、ですよね」

「その通りだ」

 俺をまっすぐに見つめ、答えるカイン。

 別に悪人というわけじゃない。

 むしろ王国を守りたいという気持ちが強いからこそ、俺に対する疑念を向けるんだろう。

 なら――問題はない。

「では、こうしたらどうでしょう?」

 俺はカインに一つの提案をする。

「俺はカインさんが率いる騎士団の指揮下に入る。近くにいれば、カインさんも俺を監視しやすいはず。俺としても、戦いの素人なので……カインさんの指揮を受けた方が戦いやすい」

「――いいでしょう」

 カインがうなずいた。

「陛下、いかがでしょうか?」

「いいだろう」

 王は快諾した。

「では、共闘という基本方針が決まったところで、次は具体的な作戦について――」

 宰相がそう言って会議を始めようとしたときだった。

 どごおおおおおおおおおおんっ!

 すさまじい爆発音とともに、王城全体が激しく揺れた。

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