18 王都に帰還
暗殺者ジュディスを仲間に加え、邪教集団『黒の爪』の情報を手に入れた俺たちは、王への報告のために謁見の間にやって来た。
国王と宰相、そして騎士鎧姿の男たちが数人いる。
いずれも歴戦の勇士といった雰囲気で、騎士団の中でも精鋭たちであることが察せられた。
特に中央に立つ、白銀の鎧に身を包んだ壮年の男からは、ただならぬ圧力を感じる。
こいつもレオナと同じ騎士団長みたいだな。
というか、どうせなら彼女がいてくれたら、もっと気が楽なのに。
騎士たちからの威圧感は、なんとも居心地が悪い。
「よく来てくれた、アルク」
国王が労いの言葉をかけてくれる。
「『黒の爪』なる邪教集団の情報を仕入れたとのこと。概要は既に聞いているが――情報共有の意味も兼ね、ここであらためて報告してくれぬか」
「はっ、では報告させていただきます――」
俺は暗殺者に襲われたことや、『闇の獣』について知っていることを明かした。
いちおうジュディスが教団の暗殺者だったことは伏せてある。
「『黒の爪』と『闇の獣』は我が国を襲うと思うか、アルク?」
王がたずねた。
「現状で、彼らが狙っているのは俺や神獣たちです。ただ、その先に――王国が彼らのターゲットにならないとは限りません」
俺は言った。
「俺が仕入れた情報によれば、『黒の爪』の教義の根底にあるのは『破壊』だそうです」
「破壊……とな」
「はい――ジュディス、お前から説明を」
「分かった」
俺に促され、ジュディスが口を開いた。
「まず最初に言っておきます。私は教団の関係者です」
「……!」
王たちの表情が険しくなる。
「彼らの呪術により教団から抜ければ死ぬ――そういった状況にいました。それを救ってくれたのがアルク様です」
と、ジュディス。
「彼に報いるために、私は彼に従うことを決めました。ですから、関係者として知っている情報をお伝えします」
「ふむ、聞かせてくれ」
王が促した。
「『黒の爪』は『闇の獣』を信仰し、太古の昔から存在していた邪教集団です」
ジュディスが説明を始める。
「その教義は『破壊』。原初、世界は『無』であった。しかるに現在、世界にはありとあらゆる不純物がまぎれている。これらを『無』に帰して、新たな理想郷を生み出す……そのためにいったん世界の全てを『破壊』し、『無』の状態に戻す――それが彼らの目的です」
「つまり、世界中で破壊工作を続ける、と?」
「その通りです。『闇の獣』の力はここ数年で活性化し、いよいよ彼らは世界中に『破壊』をまき散らす準備を始めたという段階です」
「これから世界は『黒の爪』の脅威にさらされるだろう、というのが彼女の予測です」
俺がジュディスの説明を引き継ぎ、そう締めくくった。
「つまりは――世界の危機、ということか。
王の表情がいっそう険しくなった。
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