13 海の神獣ライムはおっとり美少女
きゅおおおおおおおおおんっ。
【リヴァイアサン】が俺たちを威嚇するように鳴き声を上げた。
それだけで海がさらに荒れる。
空が曇り、稲妻が落ちる。
「天候すら操る……ってか。頼もしいよ」
俺はニヤリとした。
神獣相手なら、俺には絶対的なアドバンテージがある。
恐怖はない。
むしろ、これほど圧倒的な力を持つ神獣をこれから『しもべ』にできるかと思うとワクワクする。
しかも他の三人とは違う海棲タイプだからな。
属性やタイプが違うのは助かる。
「【テイム】!」
俺は高らかに叫んだ。
【リヴァイアサン】の巨体が、陸に打ち上げられた魚のようにビクンビクンと跳ね、その体がまばゆい光に包まれる。
光は船の甲板まで移動し、そこで弾けた。
澄んだ海を思わせる長くて青い髪
きわどい水着みたいなデザインの衣装は、豊満な体つきやまぶしい白い肌が惜しげもなくさらされている。
おっとりした童顔とグラマラスな体つきのアンバランスさが、すごくエッチだ……。
その瞳は凶暴な【リヴァイアサン】とは思えないほど穏やかな光をたたえていた。
「あらあら~? あたし、勝手に【人化】しちゃった……?」
彼女はキョトンと首を傾げている。
よし、四人目の神獣美少女を仲間にしたぞ――!
「俺はアルクだ。お前をテイムさせてもらった」
と、自己紹介をする俺。
「アルクさん、ね。あたしはライムといいます。よろしくね~」
彼女――ライムはおっとりした外見通りの柔らかな口調で名乗った。
「あたしを【狂乱】から救ってくれたのは、あなたねぇ? 感謝するわ~」
「【狂乱】? お前が暴れていたのは、何か理由があったのか?」
「そうなのよ~。少し前に突然、不気味なモンスターに襲われたの。あたしの生息地に侵入した『敵集団』とゴタゴタがあって……闇の中から現れたアレは……そうね、『闇の獣』といったところかしら~」
「……!」
また『闇の獣』か。
これで三度目――。
やっぱり神獣を狙う敵なのか?
モンテマにそんな敵モンスターは出てこなかったと思うけど――。
ゲームには存在しない、未知の敵。
「その攻撃……状態異常系の魔法を受けたみたいで、あたしは自分でも止まれなくなってしまったの~。近くの町にもすごく迷惑をかけて……ああ」
と、そこでライムの朗らかな表情が歪んだ。
涙がこぼれおちる。
嗚咽となり、止まらなくなった。
「ライム……」
俺は彼女の肩に手を置いた。
「大変な思いをしていたんだな。でも、状態異常魔法をかけられていたなら、悪いのはそいつだ。憎むべきはそいつだよ」
「……うん、でも」
「『闇の獣』とやら……いずれ倒さなければならんな、主」
ルシアが言った。
「私も傷を受けた借りがある」
「わたくしも瀕死の重傷を負わされましたわ」
フィーネとリリナが言った。
「俺たちと一緒に戦おう、ライム」
俺は彼女に語り掛けた。
半ばなし崩しとはいえ、いずれ戦わなきゃいけない相手なのは確かだろう。
何よりも俺の仲間たちを傷つけ、泣かせたことは許せない。
「これからは俺たちが一緒だ」
「……うん。みんな、よろしくね」
ライムは顔を上げ、涙に腫れた顔で微笑んだ。
「そうだ、ステータスを確認させてくれ」
「うん、どうぞ~」
というわけで、恒例の【ステータスオープン】!
名前:ライム
種族:海竜神 Lv.1
HP:1200/1200
MP:2000/2000
筋力:200
体力:250
敏捷:100
魔力:400
器用:80
運:45
スキル:【大海嘯】Lv.1、【水流操作】Lv.1、【深淵の渦】Lv.1、【海の加護】Lv.1、【鑑定妨害】Lv.MAX、【人化】
称号:深淵の海竜神
「おお……! 体力と魔力が半端ないな!」
ルシアが高火力・高魔力タイプ、フィーネが超高速アタッカー、リリナがヒーラーだとすると、ライムは圧倒的な耐久力と水系魔法を得意とする重戦車兼魔法タイプか。
安心して前衛を任せられそうだ。
神獣パーティもかなりバランスが良くなってきた。
「アルクさん? あたしの体をそんなにじろじろ見つめられると……さすがに恥ずかしいかな~」
ライムが頬を赤く染め、体をくねらせた。
それだけでたわわな胸が、たゆん、と揺れる。
こ、これは破壊力抜群だ――。
「わ、悪い、つい見とれて……」
「主」
「主」
「主……」
うわっ、ルシア、フィーネ、リリナから同時にジト目で見られた!
「と、とにかく引き返すぞ。領主のところに報告だ」
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