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11 王の依頼

 俺の名声は王都でも高まりつつあった。

 どうやらルシアたちが神獣だということは周囲も薄々察していたみたいで、騎士団長でもあるレオナと知り合ったことで、そこから話が広がっていったようだ。

 まあ、レオナはノワールドラゴンとの一件を報告しただろうし、広がるのは仕方がない。

 いわく、神獣を三体も従える規格外のテイマー。

 しかも、その神獣がみんな超絶美少女とくれば、噂にならない方がおかしいか。

 おかげで、ギルドに行けば、羨望と嫉妬の視線は以前とは比べ物にならないほど強くなった。

 目立つのは好きじゃないけど……そんなに悪い気はしないな。

 特に、受付嬢のセリアさんは、前にも増して俺に好意的になった。

 神獣三人に受付嬢を加えた四人のハーレム……って気分に浸るのは、調子に乗り過ぎだろうか?

 そんなある日、俺たちは王城に呼び出された。

 噂の神獣テイマーに会ってみたい、という王からのお達しである。




 ――というわけで、俺はルシアたち三人とともに王城までやって来た。

 なんだか緊張するな……。

 謁見の間に通されると、いかめしい顔つきの国王が玉座に座っている。

 隣には宰相らしき人物も控えていた。

「よく来てくれた、神獣テイマー・アルク」

 国王の声が響く。

「お召しにより参上いたしました」

 俺は恭しく一礼した。

 俺の背後ではルシアたち三人がたたずんでいる。

「ふわ……」

「ここが王城……なるほど魔法防御が何重にも敷かれている……」

「お招きいただいて光栄ですわ」

 退屈そうにあくびをするルシア、興味深そうに王城の構造を解析しているフィーネ、あくまで礼儀正しいリリナ。

 神獣三人娘はそれぞれ三者三様の態度だった。

「そなたの活躍は聞き及んでいる。度重なる活躍は見事である。我が騎士団の団長を救ってくれたことも礼を言うぞ」

「もったいなきお言葉」

 俺は一礼した。

「そなたの実力を見込み、ぜひ頼みたいことがある」

 王がわずかに声をひそめた。

 ……ん?

 てっきり噂になっている俺に会いたいだけかと思ったけど、そういうわけじゃなさそうだ。

 まあ、考えてみれば、王様稼業なんてそんな暇じゃないだろうしな。

「実は、最近厄介ごとが持ち上がっておってな――」

 王が話し始めた。




 ――話によると、最近、南の大きな港町マリーネルで謎の海棲巨大生物による被害が続出しているらしい。

 漁船や商船が襲われ、海の交通が麻痺しかけているレベルだとか。

 騎士団や魔法師団、腕利きの冒険者を派遣しても、まったく歯が立たないということだった。

「そこで、神獣を従えるそなたの力を借りたい。強大なモンスターが相手なら神獣の力こそもっとも有効であろう? ただ、表向きは原因調査ということにしておきたい」

「原因調査?」

 ああ、要するに騎士団や魔法師団では歯が立たなかった相手を、一介の冒険者である俺が解決してしまった場合、色々と面子的なアレがあるってことだな。

 しかし――謎の海棲巨大生物か。

 モンテマの中で海棲系の強モンスターといえば、リヴァイアサンとかクラーケン、あるいはシーサーペントあたりだろうか。

 特に前者二つは神獣である。

 もしかしたら――四体目の神獣に出会えるかもしれないな。

「……これはテイムチャンスか」

 俺はニヤリとした。

「陛下、その依頼――謹んでお受けいたします」


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