10 第三の神獣
「【フェニックス】だと……!」
「こんなところに……?」
ルシアとフィーネも驚いているようすだ。
「けど様子がおかしいな。かなり弱っているように見える……」
俺は眉根を寄せた。
見れば、【フェニックス】の体にはいくつもの傷があり、しかも体を覆うように不気味な黒いモヤが漂っていた。
「戦闘でのダメージ……? だけど――」
神獣である【フェニックス】をここまで打ちのめせる奴がいるのか?
そう考えたところで、ハッとなった。
「そういえば、フィーネも強敵と戦って呪いを受けたんだったよな?」
「ああ。この黒いモヤ――奴がまとっていた瘴気によく似ている」
と、フィーネ。
じゃあ、【フェニックス】もその強敵――『闇の獣』にやられたのか?
「そうだ、モンテマの設定だと【フェニックス】って自らの炎で生まれ変われるんだよな? それ、できないのか、お前?」
俺は【フェニックス】に呼びかけてみた。
「うう……わたくし、力が尽きかけていて……無理です……」
と、弱々しく語る【フェニックス】。
「力が尽きかけて――」
「主、それなら【テイム】したらどうだ?」
ルシアが提案した。
「えっ?」
「我もお前の【テイム】を受け、力が増したことがある。覚えておろう?」
ああ、そういえば――。
フィーネの罠を壊したとき、ルシアは普段以上のパワーを発揮した。
あれが俺の【テイム】下にいるから起きた現象だと仮定するなら――。
「よし、【フェニックス】。今から、お前を【テイム】する。それによって、お前は一時的にパワーアップできるかもしれない」
俺は目の前の神獣に呼びかけた。
「それを利用して、なんとか『炎による生まれ変わり』を実行できないかな?」
「【テイム】……? 神獣であるわたくしを、あなたが――?」
【フェニックス】は疑わしそうにつぶやく。
まあ、普通の反応はそうだよな。
たかが人間が神獣を従えられるはずがない。
本来は神が従えるべき神聖な獣なんだから。
だけど、俺には【絶対服従(神獣限定)】がある。
「【テイム】!」
俺は【フェニックス】に向かって右手をかざした。
ぱあああああああ……っ!
同時に【フェニックス】の全身から、今までとは比べ物にならないほどまばゆい黄金の光が立ち上った。
その光は炎のように揺らめき、【フェニックス】の体を溶かし、また同じ形に復元していく。
炎による生まれ変わり――。
ほどなくして【フェニックス】の全身から先ほどまでの傷が消え去り、黒いモヤ――瘴気も完全に霧散した。
「すごい……全回復したのか」
と、【フェニックス】の体を覆う光が徐々に弱まり、同時にその姿が揺らめきながら変化した。
美しい鳥から、スラリとした長身の美少女の姿に。
黄金に輝く長い髪、慈愛に満ちた笑顔、そして豊満な胸。
背中からは炎でかたどられたような翼が生えている。
「あなたのおかげで、わたくしは生まれ変わることができました。お礼申し上げます、我が主様」
彼女は俺の前に跪いた。
ルシアやフィーネと比べて、やたらと恭しい態度だ。
まさに『しもべ』という感じだった。
「よろしくな。俺はアルク。お前の名前は?」
「わたくしはリリナと申します。以後、お見知りおきを」
優雅に一礼する【フェニックス】あらためリリナ。
「じゃあ、さっそくお前の力を確認させてもらうよ――【ステータスオープン】!」
名前:リリナ
種族:不死鳥(神獣) Lv.1
HP:800/800
MP:1500/1500
筋力:50
体力:100
敏捷:150
魔力:300
器用:120
運:60
スキル:【再生の炎】Lv.1、【聖なる光】Lv.1、【祝福の風】Lv.1、【太陽の加護】Lv.1、【鑑定妨害】Lv.MAX、【人化】
称号:生命を司る不死鳥
「これって、確か治癒系とバフ系のスキルだよな? じゃあヒーラー&バッファーだ」
俺はニヤリとした。
ルシアもフィーネも攻撃に偏ったタイプである。
もちろんパーティにおいてアタッカーは重要なんだけど、回復役であるヒーラーや支援役であるバッファーも重要だ。
これで戦力のバランスが取れてきたぞ。
「むむ……また綺麗な女が仲間になったか」
ルシアはなぜか不満げだ。
「女ばかり従える主……」
フィーネはジト目だ。
いや、別に意図して美少女軍団をしもべにしてるわけじゃないからな?
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