表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/21

サブ章:群像劇 ― 灯の行方

サブ章:群像劇 ― 灯の行方


※この章ではケビは前面に出ません。

彼が育て、送り出した人々が、それぞれの道で“社会の変化”を起こしていく群像劇形式です。


登場人物たち

◆ ユーナ=リス(元娼館出身/福祉資格取得)


現在:北医区の介護施設「ほほえみ庵」副主任

性格:冷静で実務型。内心に深い怒りと母性を併せ持つ。


物語:

かつて売られた少女たちが、年老いて居場所を失っていた。

ユーナは施設で、彼女たちを「労働者として」ではなく、「人間として」扱う場所を築いた。

ケビの言葉を覚えている。


「奪われた者ほど、“返す”ことができる」


彼女は、やがて“福祉の革命児”と呼ばれる存在になる。

◆ オルド=ゼッツ(元傭兵/簿記・不動産資格取得)


現在:東工区の貧民街で、元冒険者向けの共同住宅を管理

性格:粗野で実直。酒好き。だが人望がある。


物語:

元冒険者は、足を折れば捨てられる。

剣を握れぬ者には家も仕事もない――それが王都の現実だった。

オルドは自分の“数字の力”で、傭兵仲間を集め、小さな“住宅連帯”を作る。


「ケビが言ってたんだ。“知識で生き直せ”ってな」


税も払う。契約も守る。暴力も使わない。

だが誰も、オルドの仲間を“いらない者”とは言えなくなっていった。

◆ カリュス=ディエル(貴族の庶子/秘書検定取得)


現在:第三王子派の残党貴族家に仕官

性格:冷徹・論理型。表向きは従順だが、内面には炎。


物語:

カリュスは最初から知っていた。資格屋を出た者に、王家は警戒の目を向けている。

だが、だからこそ“内側”から変えると誓った。


「革命は、まず報告書の中に潜むのだ」


彼は、腐敗貴族の帳簿から不正を暴き、冷静に敵の信用を崩していく。

誰も気づかぬ形で、王都の“常識”が変わっていく。

◆ ティミア(元浮浪児/精密部品製作免許取得)


現在:魔導時計職人見習い→独立

性格:明るくひょうひょうとした天才肌。だが「物」には本気。


物語:

ケビが配った教科書の最後にこう書いてあった。


「世界は変えられない。でも“時計”なら、お前にも作れる」


ティミアは真似から始めた。だが、独自の仕組みを持つ“潮時計”を作り出し、

やがて王都ギルドの制式時間計測に採用されるまでになる。


それは――“浮浪児が王都の時間を刻む”ということだった。

ケビの逃げ道


一方、主人公ケビは――

王都の政治戦にも、英雄の立場にも乗らなかった。


サジとネヘミヤに全運営を委ねたあと、王都を一時離れている。

表向きは調査遠征。だがそれは“表舞台から降りる”という意思でもあった。


リアは彼に問うた。


「なぜ、あんなにもったいないことをするの?」


ケビは笑って言った。


「俺が道を示す者なら、どこかでその道を“自分で選ぶ奴”が出てきてほしいんだ。

……その時、俺は道端にいればいい。指差さずに」


最後に


「逃げた」と言う者もいた。

だが、残った者たちは口々に言う。


「違う、“灯”を持ったまま去っただけだ。

戻ってくる時、俺たちがどこまで光を繋げられるか――

きっと、それを見に来るんだよ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ