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サブ章:資格屋日記 ― ネヘミヤの密録

サブ章:資格屋日記 ― ネヘミヤの密録


《機密報告記録No.77》

提出者:ネヘミヤ=マス・アル・グラウド

件名:対象人物ケビ・ユーンソンの活動に関する裏社会の反応観察記録


王都・ラプラス地区 地下6階「穢れの会堂」


ここは、王都セイレムでも最も汚れた場所。


街に名はなく、地図にもない。

通称「穢れの会堂」。

王都の闇の根が交差する場所。


そこに集まっていたのは、以下の面々。

● 〈鉛の眼〉ガラン・ドゥーグ(闇ギルド旧派長)


「やけに人が集まると思ったら、“学び屋”だとよ。貧民に簿記を教えてるだと? 馬鹿馬鹿しい……だが、潰せとは言えん」


● 〈女狐〉メリル・クロス(偽印・密輸商)


「あの施設、税務文書の作成法まで教えてるらしいのよ。下手に触れば、王宮の文官に連なるわ。今のうちに“生徒”囲い込んでおいた方がいいわね」


● 〈夜語〉ボルゾイ神父(裏教団・忌禁教義者)


「義肢を作り、身体を補うだと? 神を侮辱する行為だ……だが、技術が欲しい。奴らの工房に我らの目を忍ばせよう」


● 〈風切〉タバス(スパイ請負連盟・実動隊長)


「“宿の亭主”サジ・ベルネッド……あれは只者じゃない。管理職という皮をかぶった戦略兵器。情報遮断域に魔力制御網、戦闘用魔導式。……あれ一人で支部潰せるぞ」


会議の結論:


「今は“監視”にとどめる。

ケビの意図は利潤ではない。布教と浸透だ。

問題は、“信じる者が生まれること”だ。

組織を倒すには金が要るが、“信念”には剣も毒も通じぬ。

……警戒は最大級にせよ」


ネヘミヤの記録(密録ページ末)


……それが奴らの結論だ。

面白い。あの腐りきった連中が、“簿記”や“福祉”に怯えている。

ケビは剣を抜かずに、王都を削っている。

だが、これは同時に警告でもある。


一度でも、信頼を裏切れば――

奴らは牙をむく。


資格屋は、光の砦ではなく、

光が生まれる可能性そのものなのだ。


裏の動き(予兆)


闇ギルドが資格屋の講師1名に接触(スカウト?スパイ?)


精密部品課の卒業生1名が暗殺事件に巻き込まれ消息不明


偽印屋が資格証の複製に成功との噂


秘書検定男性クラスに貴族派の少年が潜入中


ネヘミヤはペンを置いた。


「さて、ケビ。君はここからどう動く?」


外は静かだが、王都の闇はすでに資格屋を“次の勢力”と見なしている。

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