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第03話-2 女子バスケ部の練習試合2

 誰?あ、体育の先生か。男バスの顧問やってる。

 もう結構歳がいった古株の、この学校の生き字引とか言われてる先生だ。私の両親が学生だった頃もここの先生だったって。

 そんなに同じ学校にいられるものなの?


「そうです。服部英子さんのことです」

「それなら正しいぞ。

 服部の両親と宮崎の母親は俺が担任だったし、宮崎の父親も同じ学年だった。お互いの両親が親友で、服部が小さい頃には2人を結婚させるんだって手紙が来てたよ」

「先生、教え子と連絡取ってるんですか?」

「面倒をかけられた一部の教え子とな。あいつの父親は成績は良かったんだが、教室で母親とイチャコラしやがってな回りの男子に迷惑をかけてたんだよ」

「「なんですか、それ?羨ましい」」


 本当に羨ましい。私も彼氏が欲しい。

 両親公認で自分達も好きなら幸せだよね。家でもイチャイチャ出来そうだし。羨ましいぃぃ。

 服部さん、いいなぁ。


「両親はスポーツが得意なんですか?」

「父親の方はサッカーとバスケが上手かったな。2年3年の球技大会でサッカー、野球でMVP取ったし、3年の時はクラスの全チーム優勝させたしな」

「服部さん、結構サラブレッド?」

「でも部活はやってなかったぞ。いつも母親の方の家に入り浸って料理してたらしいな。頻繁に泊まってもいたらしいぞ」


 彼氏が家に泊まりに来るって絶対父さんが許可しない、普通。怒るだろ。

 どうなってるの?服部のお母さんの家。


 隣で相手校の鈴木がかなり羨ましそうな顔をしてるんだが。

 もしかして彼氏がいるのか?いるのかぁぁ?羨ましいぞ。


「「凄い、どういう両親なんだ。母親の両親も何も言わないの?」」

「三者面談で母親の方の母親がもう息子になるって決まってるとか言ってたしな」

「「うわぁぁ」」


 服部さんの事でかなり長々と話をしてしまった。

 いろいろ興味深い話が本人とその両親にいっぱいあったから試合に集中できず、雑談に集中してしまった。

 もう第3クォーターもだいぶ進んでた。なんとかなりの点差をつけてうちが勝ってる。隣にいる鈴木が信じられないという顔をしてる。実は私も信じられない。私が1年の頃からも勝った事がないのに。

 やったぁぁぁ!


◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁




 最後の第4クォーター、まだこちらの方が15点をリードしてる。

 先輩のスタミナもまだまだとかなんなりそう。美亜ちゃんも私はまだ全然大丈夫。逆に相手校の選手はレギュラー戦のうちのチームみたいにかなりバテてる。こっちの1年2年には仕込んでなかったのかな?


「ねえ、美亜ちゃん……」

「うん、英子。居るね……」


 残り時間、こちらはゴール下を支配しつつ、中からも外からもシュートが決まり更に突き放した。

 最後の最後まで力を緩めず攻める!攻める!攻める!!


 ……試合終了!


 勝った勝った!

 美亜ちゃんや先輩とハイタッチして喜んだ。先輩は更に私の頭をなでなでして褒めてくれた。他の先輩からも揉みくちゃにされながら。

 勝ったのが凄く嬉しいみたい。新人同士の試合なんだから勝ったり負けたりなんじゃない?


「服部、いいゲームメイクだったよ。動きやすかった」

「そうそう、フル出場したのに思ったより疲れてないし」

「三条も3Pシュートが結構決まってたのは凄いよ」

「ありがとうございます。先輩達がゴール下で頑張ってくれたから心配なく撃てたからですよ」

「美亜ちゃん、いつもより決まってたね。私の方も先輩がいいポジションにいてくれてパスしやすかったです」


 先輩から褒められて嬉しい。それに中学時代に負けたチームの選手に勝てて嬉しい。

 それに思ってたように試合運びが出来て良かった。元々相手校がやってた作戦のはずだから崩してくるかと思ったんだけどね。



 ……後どういうわけかコート上に、多分私と美亜ちゃんしか見えない子がいたんだよね。

 最初は気にしないようにしてたんだけど、途中からなぜかパスコースを指示し始めた。まあ、自分も同じコースにパスしようと思ってたからいいんだけど。

 美亜ちゃんもそれを見て動いてる時もあったなぁ。ちょっとずるしてるような気になる。

 先輩達や相手校の選手には見えなかったから気づいてなかったと思うけど、何か相手校と縁があった人なのかな?


 試合中コートにいたけど、試合が終わった途端スッと消えちゃった。


『向こうのチームに勝つために頑張ってた奴じゃろう。多分勝つ前に未練を残して死んでしまったのかのう。英子達が勝ったから満足したみたいじゃな』

「レギュラーじゃないんだよ?勝ったの。レギュラーに勝ってから成仏した方が……」

『レギュラーじゃなくても勝った事で満足したんじゃろ』

「ならいいけどね」



 ベンチに戻って顧問の先生から絶賛された。レギュラーどころか1年2年でも勝てた事が何年もなかったかららしい。

 レギュラーの先輩からも私と美亜ちゃんが頭を撫でられながら褒められた。嬉しいけど恥ずかしい。

 他の2年からも揉みくちゃにされて、1年からはお疲れって。


 向こうにいる対戦相手は顧問の先生に怒られてた。自分とこのレギュラーの作戦をそのまま使って返されたから。流石に対戦相手の1年が即興で同じような事をするとは思わないよね。

 その上、かなり体力面も鍛えてきたはずなのにバテてるから、レギュラーだけじゃなく1年2年ももっと体力面で鍛え直すと告げられげんなりしてるようだった。

 その後突然こっちに顧問の先生が走ってきて「うちに転校してきて」って誘ってきたり。うちの顧問とキャプテンが「だめぇ。絶対あげません」だって。

 回りにいたみんなが大笑いしてた。




 この練習試合の後は毎回親睦会となるらしい。

 先生達が買い込んできたお菓子とジュースをいただきながら、私と美亜ちゃんがいろいろ質問攻めにあった。


 中学時代に戦った子達からは、前よりスタミナがついたことについて聞かれた。それは「引退して受験勉強をしてたけど、運動不足解消で三条さんの家の神社の階段を単語帳片手に走って御百度参りしてたらついた」と答えたら呆れられた。

 両校のキャプテンからは私に「婚約者がいるんだって?男バスの子」と言って直くんを指差して聞かれた。「はい」って答えたらみんながきゃあきゃあ言って盛り上がった。直くんを見て「あんなイケメンの彼氏欲しい」とか言うし。でも、イケメンだから好きなんじゃないよ?

 他にもキャプテンが男バスの顧問からパパの逸話をいろいろ聞いたらしく、それを披露してなぜか盛り上がった。確かに球技大会で男女全チーム優勝させたとか言われると凄いと思う。

 でも、ママと学校でもイチャイチャしてたとか聞くと恥ずかしいよ。


 親睦会も終わり、相手校の生徒達が帰って行くのを見送った。

 顧問の先生からは、今日の1年2年のチームを使ってレギュラーを鍛えるという話をされた。場合によっては総入れ替えもあるからって、とんでもない事を言ってきた。

 う〜〜ん、そうなったら私が恨まれそうなんで嫌なんですけど。




 後日……

 あの私と美亜ちゃんにしか見えない子は成仏していなかった。チーム内の紅白戦や練習試合に時々出てくるようになった。

 負けた悔しさが未練になってたのが、勝つ喜び目覚めてしまったらしい。彼女のパスの指示を無視したら、私に文句を言ってくるようになった。


 私的には戦術面で勉強にはなるんだけど……でも、みんなのいる所で言い合うことが出来ないから体育館裏で話す。ただ、みんなからは上手くいかなくて悔しくて泣いてるんじゃないかと思われ、キャプテンからは「相談にのるよ?」って言われてしまった……


出てくる体育館の幽霊については地縛霊ではなく、元々練習相手の高校の誰かに憑いていた幽霊です。

練習試合で来た所で英子達対戦相手の1年2年が勝ったので乗り換えた感じです。

最終目的は練習相手の強豪校のレギュラーメンバーが負けるところを見ることです。

現状英子に憑いている様な状態で、大会などにも一緒に憑いてくることになります。いずれは勝って成仏してくれる予定ではいます。


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