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第14話-9 女子バスケ部合宿奇譚9 2日目 レギュラーの練習試合

 いろいろと質問攻めにあったお昼休憩。

 自分のパパとママの恥ずかしい逸話のことまで知っちゃった……みんなとしては面白かったり羨ましかったりってことではあったけど。

 朝ご飯の残りのフレンチトーストとウ賃のパウンドケーキは練習試合の学校の子にも好評だった。




 さて、午後になり今度はレギュラーの練習試合になる。

 私と美亜ちゃんはレギュラーチームのベンチに入ってる。1年では私達2人だけ。他の1年は午前の試合で疲れているようなのもあるけどね。

 2年の先輩もスタメンで出ている人以外は第1クォーターで一緒にプレイした3人だけ。


 スタメンがコートに散ってジャンプボールでゲームが始まる。

 レギュラーチームはこちらがジャンプボールを取り、タップしてうちのスモールフォワードにボールが回る。すぐさまゴールまで向かうけど、相手チームの反応も早い。もうセンターがゴール下まで戻ってる。

 ドリブルで3Pエリア内に入ったけど、流石に更にパワーフォワードまでが戻って来た所に突っ込むなんて自殺行為。

 一旦回りの様子を確認してフリーのシューティングガードにパスを回す。

 パスを受け取った次の瞬間ジャンプシュートを撃った。丁度うちのセンターとパワーフォワードもゴール下に着いたタイミングだった。流石先輩、よく見てる。

 ボールは山なりの軌道でリングの内側に当たりそのまま得点となった!


「よしっ!」


 しかし、今度は対戦相手のカウンター。

 こっちもすぐに戻り、うちの基本ゾーンディフェンスを敷く。3Pシュートへの対応が難しいけど先ずは様子見。

 レギュラーの方はミドルレンジからのシュートのみはなく、ゴール下にも入ってきてうちのセンター達とポジション争いをしている。うちも身体の大きい先輩なので簡単には負けていない。ゴール下で押し合いし合いしてる。

 その間に今度は対戦相手のシューティングガードがジャンプシュート!

 でも、ボールはリングに嫌われ弾かれた。

 そのボールを追って両チームのセンターとパワーフォワードが飛びつく。4本の手がボールに伸びるが誰かの指に当たり、また上に上がりリングを越え得点されてしまう……


 その後も点を取ったり取られたり。うちが4点先行しているだけですぐにひっくり返されてもそうおかしくない状態だ。

 後半第3クオーターから私と美亜ちゃんの2人が交代して出る。私がポイントガードに、美亜ちゃんがシューティングガードで入る。


「服部、三条、調整とかいらないからな。全力で頼む」

「頑張ります。でも、私がポイントガードでいいんですか?ね?美亜ちゃん」

「英子が出るならポイントガードが1番向いてるから」

「ああ、服部で大丈夫。よろしくな」


 午前中の試合にフル出場していたけどスタミナは全然残ってる。まだまだ全力でやれるよ。それに私にゲームメイクを任された以上頑張らないとね。

 さあ、行こうか。


 前のクォーターでは速攻で攻めたけど、逆にゆっくりと攻める。

 もう相手は自分のコートに戻ってるけど気にしない。向こうもゾーンディフェンスで守ってるけど、こちらは私を起点に速いパス回しをしてディフェンスを撹乱する。

 中でこっちのパス回しに相手の選手の意識を向けたところに、3Pラインの外にまで移動していた美亜ちゃんにパスが回った。


「美亜ちゃん、よろしく」

「いくよ!」


 パスを受けた次の瞬間シュートを放った。

 ボールは綺麗な放物線を描いてリングに吸い込まれた。


「ナイス!三条」


 相手ボールでスタートし速攻を狙うけど、私はすぐにボールを持った選手に張り付いて自分のコートまで運ぶのを邪魔する。パスコースには美亜ちゃんがいる。

 前に進ませず、パスコースも潰す……相手も焦れて雑なパスを出した。

 それを美亜ちゃんがすかさずスティールし、私はすぐにゴール下に向かいパスを受けレイアップでシュートし得点した。


 うちのベンチの方から歓声が上がる。


「ナイスシュー、服部」


 向こうでキャプテン同士が「あの子達凄すぎるだろ、やっぱり」とか話してるのが聞こえた。

 今度は慎重に攻めることにしたようでゆっくり進んでくる。

 先輩達はゴール下でトライアングルを作って守りを固め、私と美亜ちゃんがボールを追いつつ3Pを撃たせないようにディフェンスをしていった。

 相手はゴール下から締め出され、ミドルレンジからのシュートを外したら相手ボールになるため無闇にシュートも撃てない。その上、私達がボールを取りに来るため慎重に狙ってシュートが撃てなくなっている。

 どんどん時間が過ぎ24秒を超えてシュートが出来ず、うちのボールとなった。


 攻めては中からも外からもシュートをしていくため、相手チームはディフェンスが分散されてこちらを止められない。守っては相手チームがシュートする隙を作らないため24秒を超え、ヴァイオレーションとなり攻められなくした。

 最終的にはこちらのチームがかなりの点差で勝った。

 全然点を取られなかったわけじゃないよ?普通にジャンプシュートとかが直接入ったりもするし。


「ああ、やっぱり負けた。1年の2人上手過ぎ。でも面白かった」

「まあね。1年2年のチームとはいえあそこに勝ったしな、向こうのレギュラーがやってた戦い方を真似て」

「は?それ聞いてないんだけど?いきなり真似られんの?そんなの」

「真似てたんだから仕方ないだろ」

「でもいいな、期待出来る後輩がいて。うちはもっと鍛えなきゃって思うだけだよ」

「あははは」


 そのままクールダウンして休憩を取る。

 そしたらまた質問攻めにあっちゃった。でも今度は試合中のプレーのことで。

 どういう風にゲームメイクをしようって考えてるのかとか、どうやってそんなにスタミナがついたのかとか、いろいろと。

 それらについて回答していくけど、スタミナのつけ方についてはあまりお勧めしないと前置きしておいた。




 その後は体育館の掃除をして宿泊施設に戻る。同じ道を帰る人もいたので一緒にランニングして帰った。

 そして中を見せてほしいと言われ、宿泊施設の中に一緒に入っている。

 一緒に来た人はオカルト好きなのかな?


 まだ明るい時間だからか、廊下で誰かが歩いて軋んだ音がしたりはしない。

 大広間に案内し、昨日作ったバルーンアートがそのまま残っているのを見せた。

 ただ、エアコンや扇風機を使ってないのに、いくつものバルーンアートが勝手に動いているのが見える。


「……アレ、動いてるんだけど……今、室内に風は吹いてないよね?」

「うん、昨日からずっと動いてるよ。女の子の幽霊が楽しんでるみたいなんだよね」

「……そうなんだ。でも、いずれしぼんじゃうよね?」

「そこが問題なんだよね。本当はぬいぐるみとかの方が永く喜んでくれると思うんだけどなぁ」

「それならうちにあるのを持ってこようか?

 あっ、でも、ずっと置いておくことは出来ないよね?」

「そこはうちの顧問の先生が交渉中。上手くいけば、ぬいぐるみやバルーンアートを置いていって寂しくないように出来ると思うんだよ」


 練習試合の相手の子達も協力してくれるみたい。悪い子じゃないから出来れば寂しい思いはしないようにしてあげたいところ。

 でも、自分の家じゃないからどうしても許可を取らないといけない。うちの先生がその辺の交渉術が旨い人ならいいんだけど……


「でも、聞いてたほど怖いところじゃないんだね?」

「「「「え?」」」」

「「「え?」」」

「昨日撮ってた映像だけどご覧下さい」


 咲良ちゃんが満を持して出してきた一番怖かったであろう時の映像を見せてあげていた。

 あれは始めて体験すると怖いと思うよ?

 照明がしばらく点滅してから完全に消え、凄まじい形相の着物姿の老婆が現れた日には怖いだろう。

 そこには私と美亜ちゃんにしか見えていなかった女の子の幽霊も映っていた、はっきりとではないけど。


「「「ひぃぃぃぃ」」」

「やっぱり怖いよね?」


### 続く ###


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