第10話-4 フットサル4
今回もこちらのボールから始まる。大ちゃんから直くんにパスしてドリブルで進んでいく。私と美亜ちゃんもゴール前を目指して斜め内側に向かって走る。
直くんには輪くんが付いたけどすぐに私にパスを出し、私はトラップせずダイレクトに美亜ちゃんにパスを回した。途中ポジションを左右入れ替えながら、壁パスをしつつゴール前に。
途中大戸さんがゴール前にディフェンスに入ってたんだけど、壁パスで抜くつもりだったけどインターセプトされちゃった。
大戸さんはボールを取ったらすぐに自分のチームの左アラにロングパスを出しカウンターを狙う。そして輪くんと一緒に前に出ていく。
私も美亜ちゃんも前に出すぎてすぐには戻れなさそう。大ちゃんがボールを持ってる左アラに向かい、直くんが中央に入ってくる輪くんと大戸さんのマークに入る。
大ちゃんが左アラに付く前にボールはセンタリングされ、それを大戸さんがトラップして前にドリブルしていく。そこに直くんがフォローに入ったけど、股下を抜かれて輪くんにパスが回りシュートを決められちゃった。
輪くんがこれでもかと直くんを挑発するように喜んでて、大戸さんが輪くんの頭を軽く小突いて止めさせてた。
「ごめん、前に出すぎた」
「仕方ないだろ。大戸さんを抜けなかった時点でカウンターを狙われる可能性は高かったしな」
「そうだね。僕と大輝が止められなかったのもあるしね。次、点を取ろう」
「「うん」」
「英子、美亜、頑張って点を取ってね!」
咲良ちゃんにも言われちゃったしっかり点を取らないとね。
また私達のボールからスタート。今度はじっくり点を取りに行く。
パスコースを2つ以上確保する様なポジション取りをしながらパスを回しつつ前に進む。マークがすぐ付くから、あまり持ちすぎないでどんどんパスを回し自分も動いていく。
私も美亜ちゃんもスタミナがあるけど、直くんも大ちゃんも受験勉強の時同じことをしてたから私達以上にスタミナがある。だから、どんどん動き回り輪くんや大戸さん達を置き去りにして、更にパスを回していく。
シュートチャンスを伺いつつすぐにシュートはせずパスを回して、相手チームのメンバーを走らせる。輪くんはまだ動けてるけど、大戸さんやアラの2人は徐々に動きが悪くなっていった。
「大ちゃん、そろそろいくよ!」
「おお、直樹、輪を引き付けとけよ」
「分かった、大輝」
4人のフィールダーの内3人がバテてきてるならいくらでも攻められる。
更にパス回しを速く、どんどん動き回る。ついにゴール前に最接近したらシュート!
ゴーール!
「くっそー、点とられた!」
「輪くん、もっと点を取ってくからね。負けるつもりはないよ」
「俺も負けないよ、英子ちゃん」
よしっ、美亜ちゃん、直くん、大ちゃん、もっと点を取るよぉ。
その後、大戸さんはアラを1人交代させて試合を続けるけど、交代した人も私達の動きについていけず割とすぐにバテた。輪くんも大戸さん達をフォローすべく更に動き回った結果とうとうバテちゃって、直くんや大ちゃんの動きについて来れなくなった。
後はもう入れ食い状態でシュートしまくって、最終的には結構な得点差で勝った!
「英子、最初に点を取られて以降暇だったよ」
「ごめんごめん。向こうのスタミナ削る作戦になったからあまりこっちにボールが来なかったもんね。
次はポジションチェンジする?」
「いいね。私もフォワードやりたい」
「ピヴォね。直くんにゴレイロに入ってもらおうか」
大戸さんとこのチームにはちょっとやり過ぎた感はあるけどね。
輪くんが得点して直くんを挑発してたから、なんか頭に血が昇っちゃったみたい。大人気なかったかな。
「服部さん、三条さん、凄かったよ。よくあんなに動けるね、服部くんも宮崎くんもだけど。
フットサルってチャラい人がやってるゆるいサッカーなんだと思ってたけど、結構ハードなスポーツなんだね」
「バスケもそうだけ、コートが小さいからマークされやすいし動かないとマークを外せないから結構ハードだよ」
「そうなんだ。あれだけ動けるからバスケの方もレギュラーに入ったんだね?」
「アレは受験勉強の憂さ晴らしに走ってた成果なだけだよ」
「へぇ〜」
小林さんは感心してくれたみたいだけど、ある程度運動してないと身体がムズムズする脳筋なところがあるだけだけどね。
しかし、フットサルをする人への偏見がすごいなぁ。ちゃんとまじめにやってる人の方が多いと思うよ?確かにモテそうでやってる人がいなかったわけじゃないよ?
またそのうちフットサルをするから見に来てくれるといいね。ついでに参加してくれるようになるともっといいけど。女子だけでチームを作って対戦してみたい。
こっちで女子で話してたけど、向こうで直くんと大ちゃんが輪くんと大戸さんと話てる。
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直樹Side
大戸さんのチームとは結構な点数差で勝てた。英子ちゃんがいっぱい走らせようって言うから、みんなそれに乗ってパス回しで大戸さん達を引っ掻き回して走らせたけど……
「大輝くん、直樹くん、随分スタミナ付いてるな?なにやったんだ?」
「それはですね……受験勉強中部活も引退してたし運動不足でもう我慢できないって英子ちゃんが言うから、勉強しながら三条さんの家の神社の階段を走って上り下りしてたんですよ」
「はあ?それ、頭に入るのかよ?」
「元々ちゃんと勉強してましたしね。運動不足を解消させて勉強した方が良かったんでしょう。
ちゃんと合格しましたしね」
「輪はちゃんと勉強しろよ。英子ちゃん達みたいに成績良くないんだから」
「分かってるよ、父さん」
相変わらず僕を睨んでるけど、お父さんの言うことは素直に聞くんだね。
まあ、英子ちゃんが絡んでるから僕が睨まれてるんだけどさ。英子ちゃんが好きだから恋敵の僕が気に入らないのは仕方ないけど。
その辺は大輝も大戸さんも分かってるから、あんまり酷くない限り輪くんに何も言わない。僕や大輝、大戸さんも男心が分かるから。特に大戸さんは京子おばさんを好きだったけど、しばらく諦められなかったって話だし。
輪くんもモテるみたいだからその内他の女の子に気が向くと思うよ。
でも……
「次は絶てぇ負けないからな!これ以上ないくらいに負かして泣かす」
「ああ、頑張れよ」
「くっそー、ほんとに負かしてやるからな!」
「輪、俺達はそんなに動けないからな?やるなら自分でチームを作れよ?」
「え?」
そりゃあそうでしょう。大戸さんはアラフォーだし、他の人達も20代30代も人達だよ?
今更英子ちゃん達並に動けるようになんてそう簡単に出来ないって。
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その後のパパ達と知り合いの人達のチームの対戦は、パパ達が2点差で勝った。
さらにその後はパパ達と大戸さんのチームの対戦。パパ達は連戦だけど大戸さんのとこはまだ疲れたままだったから、大戸さんのチームがボロ負け。輪くん1人じゃどうにもならず、パパに抑えられて点が取れなかった。
最後に私達と知り合いの人達のチームの対戦は普通に戦ったよ。大戸さんとこみたいにスタミナを削るような戦法は使ってない。
咲良ちゃんの好セーブで失点は思ったより抑えられたし、うちは私と美亜ちゃんがメインで左右からのシュートでゴレイロを振り回して得点してった。
最終的に1点差で勝った。
パパのチームが全勝で1位、私達のチームが1敗で2位。知り合いのチームが全敗で最下位ってなった。
大戸さんとこが3位になって、もっと勝つつもりだった輪くんが荒れてた。
流石にお父さんの大戸さんが「そんなことで荒れるとかまだ子供だな」って言ってなだめて落ち着いたけど。
それでも輪くんは悔しい顔のまま直くんを睨んでるのは最後まで変わらなかったな。
今回は前作でもあったフットサル回です。オカルトに関係ありません。
前作ではスポットで英子の父 正直は参加してましたが、時間が出来たので本格的に参加するようになりました。
他にもバスケなんかもしてるので、そちらもいずれ。




