第10話-2 フットサル2
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英子Side
ユニフォームとシューズに履き替えて、フットサルのコートに出る。
久しぶりのフットサル。
美亜ちゃんは3回目かな。バスケが出来るからポジション取りとかは問題なくて結構上手い。大ちゃんとのパスワークもなかなかいい連携が取れてるんだよね。
咲良ちゃんはどうなんだろう?まだ学校の体育では球技はやってない。100mより400mとか長い距離の方が速いから持久力はあると思うんだけど、ボールの脚裁きはまだ見たことがない。
着替え終わってコートで直くんや大ちゃん達と合流して話をしてると、向こうに大戸さんの息子の輪くんがいてこっちをチラチラ見てる。どうしたのかな?
前は何も言わないでもこっちに来るんだけど、中学生になってからは恥ずかしがってかなかなか近寄ってこないんだよね。それとも、初めて見る咲良ちゃんや委員長がいるから近寄れないのかな?
チラチラ見てるだけでこっちに来ない輪くんに、来い来いと手を振って誘ってみた。
気付いたようでこっちに小走りで駆けてくる。後ろにぶんぶんと振る大きな尻尾が見えるようだ。
近付いてくる輪くんに直くんが気付いたようで、何か注意の視線を向けてるみたい。どうしたのかな?
「輪くん、久しぶりだね。ごめんね、受験や高校が始まったばかりであまり来れなくてさ」
「いえ、学校が忙しいなら仕方ないですよ」
「そう?そうだ、友達2人紹介するね。咲良ちゃんと委員長」
「橋本 咲良って言うのよろしくね」
「服部さん、委員長はクラスの役職名だけど……河合 潤です。大輝と同じサッカー部だ、よろしくな」
「よろしくお願いします」
大ちゃんの方は見てたけど、直くんの方は無視してる。いつものことなんだけど。何でだろ?
美亜ちゃんは呆れたような顔をしてるなぁ。直くんとこそこそ話し始めたけど。
『宮崎くん、大戸くんは英子のことを好きなんだよね?』
『やっぱり分かる?でも、英子ちゃんは分かってないんだよね。何でなんだろう?』
『英子は自分のことには疎いからなぁ。宮崎くん以外の男子の好意には』
『英子ちゃんのお母さんと同じだからね』
『そうなの?』
『京子さんも大戸さんに好かれてたそうだけど、気付いてなかったみたい。それで今の奥さんの橋渡しを手伝ったらしいよ』
『うわぁ』
どうしたのかな?美亜ちゃん。そんな可哀想な人を見るような感じで。
まあ、いいけど。
「輪くん、中学生活はどう?サッカー部なんでしょ?」
「レギュラーになったんだよ。しかもフォワード。結構点取ってるよ」
「すごいね。2年でレギュラーで点取ってるなら学校でモテるでしょ?」
「え?モテないよ。先輩の方がモテるし」
「え〜、ほんと?モテてるでしょ?彼女は?うりうり」
「本当にモテてないから、本当に」
う〜〜ん、小さい頃からフットサルに参加してたから上手くなってたし、中学校でもサッカー部なら当然レギュラーだよね~。それで点取ってるなら女子にモテまくりだよ。
姉貴分としては自慢の弟分だから。良かった良かった。
向こうで美亜ちゃんと直くんが『あ〜〜あ』って言って呆れたような顔してる。なんだろうな?
輪くんもなんか気落ちしたような顔してる。ん?
大戸さんのチームも知り合いのとこのチームもメンバーが全員揃ったので試合を始めることに。
大戸さんとこと知り合いのとこの男の人達が「JKと試合が出来る」とか言ってて、キャプテンとか女性プレーヤーに小突かれてた。
さて、4チームいるのでリーグ戦で各チーム3試合する。
最初はパパ達大人と英子達高校生の対戦。いつもは直くんのお父さん達が参加しない事が多かったからパパ達と同じチームだったんだけど、初めて別チームで対戦することになった。
パパと大ちゃんがフィクソ、直くんのお父さんと直くんがピヴォ、ママと私が左アラ、直くんのお母さんと美亜ちゃんが右アラ、キャプテンと咲良ちゃんがゴレイロで対決。
ちょっとした親子対決みたいな状態になっちゃった。
ボールはこちらからスタート。直くんから大ちゃんにパス。
私と美亜ちゃんが、ママと直くんのお母さんを置き去りにして一気にゴール前に走った。
大ちゃんがゴール前にボールを上げてくれる。
ママも直くんのお母さんも私達に追いつけず、美亜ちゃんは追いかけてくる2人を邪魔するように立ち、私はジャンプしてヘディングシュートした。
ゴーーール
私達が先制点を取った!
へへへ、パパ達が戻ってこないうちに速攻で決めちゃいました。
何度も通用する手じゃないけどね。
その後はパパとマッチアップした直くんではなかなか止められず、大ちゃんも直くんのお父さんをかわしきれなくてチャンスメイク出来なかった。両方のアラのママと直くんのお母さんは私と美亜ちゃんで止められたけど。
そして、その分咲良ちゃんがゴレイロで活躍した。信じられないほどの反射神経でボールを弾く弾く。失点はあったけどほとんどゴールを割らせなかったよ。
途中、委員長と直くんを交代させて変化を起こさせた。
始めて対戦する委員長の行動が読めないパパと意外に上手かった委員長は、互角に近い勝負を勝負を繰り広げてた。ナイス、委員長。
それでもスタメンで取られた失点を挽回出来ず、1点差で負けちゃった。
勝てると思ったのになぁ。
「くそぅ、父さん達に勝つつもりだったのに……」
「やっぱり僕らのクセが分かってるから難しいよ」
「大輝、直樹、まだまだ負けないからな」
「そうだ。まだ父親に勝てると思うなよ」
「「くそぅ」」
父親と息子対決はまだ簡単に勝たせてくれないらしいね。
母親と娘対決はスタミナもある娘側が勝利したけどね。
「英子ちゃん、サッカー部じゃないのに上手いよね。それに可愛いし。早くうちの娘になって欲しいわ」
「美亜ちゃんも運動不足の私じゃあ追いつけなかったわ。早く大輝を堕としてうちにお嫁に来て欲しいわね」
「えへへ」
「……ありがとうございます」
こっちは仲のいい嫁姑みたいな感じだけど。
「咲良ちゃん、ゴレイロ……キーパーすごく上手かったけど、サッカーやってたの?」
「学校の授業でやったくらいだよ」
「でも、ほとんどのシュートに反応出来てたけど、何で?」
「小さい頃、超能力者やニュータイプを目指して心の眼を鍛えてたからかな?」
「あははは、何それ」
「いや、本当に目をつむってたよ、シュートする瞬間まで……」
「「「「…………」」」」
咲良ちゃんのオカルト好きも小さい頃からの筋金入りって奴なのかな。でもどうやって心の眼を鍛えられるんだろ?
でもニュータイプって心の眼というより思考の共感なんじゃないの?それでシュートの方向やタイミングを相手が教えてくれたって?
コートから出てベンチの方でみんな雑談を始めてる間に、大戸さん達と知り合いのチームの対戦が始まった。
輪くんはピヴォで大戸さんはフィクソのポジションに入ってる。
こちらは相手ボールでスタートしたけど、すぐに輪くんがボールを持ってるフィクソに詰めていった。
相手も輪くんは小さい頃から知ってる人だから手加減はしないつもりでいるけど、やっぱりまだ中学性となると無意識に手加減してしまってるかな。
輪くんもそこを狙ってボールを取りに行ってるわけで、隙を狙ってボールを取った。ナイス!輪くん。
すぐに右アラが前に飛び出し、そこに輪くんのパスが通りダイレクトシュートで得点となった。
輪くんがこっちを見てポーズを決めてる。そんなに得点できて嬉しかったんだね。
でも美亜ちゃんが「英子に褒めてもらいたいんじゃ……」とか言ってたけど、チームが得点できて嬉しいんだよね?
その後も輪くんが得点に絡むプレーが多く、部活のサッカー部での活躍が想像できるような結果だった。
自分でも得点を上げて、フィクソの大戸さんの代わりにゲームメイクをしたりしてチームを引っ張って行ってた。
でも、ちょっとスタミナ不足かな。後半動きが悪くなって、ボールを取られたりパスの精度が落ちてたかな。まぁ、中学生だしこれからこれから。
輪くんが褒めてもらいたそうにこっちに来た。
「英子ちゃん、点取ったよ!」
「凄いね。ゲームメイクもしてたし頑張ってるんだね。えらいえらい」
「……」
何だろう?輪くんがこれじゃないって感じの顔になってるんだけど?
### 続く ###




