第08話-2 1学期中間試験勉強2
勉強会も順調に進み、もう少しでお昼になるくらいの時間、そろそろお昼ご飯の準備をすることに。
今回は大ちゃんと美亜ちゃんがお昼ご飯の担当。何を作るのかは聞いてないけどね。
「昼ご飯はナポリタンかカルボナーラを作るけどどっちがいい?」
「服部くん、カルボナーラ出来るの?」
「ああ、出来るよ。そんなに難しくはないだろ?
火加減が難しかったら、茹でたパスタの熱でとろみをつければいいし」
「そんなことを言われてもそれも難しいんですよ」
「「「「うんうん」」」」
そんなもんかな?何回か作れば覚えちゃうけどね。
私も直くんも大ちゃんもそうやって作れるようになったけど、最初から出来なかったよ。
練習、練習……練習だよ。
ナポリタンとカルボナーラは半半だったから、多めに作って余りは分けて食べればいいことになった。
ということで美亜ちゃんと大ちゃんを勉強を中断して買い物に送り出した。
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美亜Side
大輝くんと2人でいつものスーパーに買い出し。文化祭の振替休日もだけど2人で出かけられて嬉しい。
2人並んで歩くけど、手を繋いだりはしてない。でも、いつかは手を繋いで歩ける関係になりたいなぁ。英子も応援してくれてるんだし。
でも……勉強の方は大輝くんが他の女子に教えてるのを見るのはちょっと嫌だけど、今はちゃんと勉強する気になってるから仕方ないと思ってる。普段は私が独占的に教えてもらってるから。
回りの人から見たら仲が良さそうに見えるかな?
一緒にスーパーに入ったら、回りにちらほら知ってる顔の人がいて生暖かい目で私と大輝くんを見てた。付き合ってる風に見えているといいなぁ。
スーパーではベーコン、ピーマン、玉ねぎ、卵、生クリーム、パスタを買っていく。大輝くんがぱぱっと選んでカゴに入れてしまう。
もう少しゆっくり選んでくれると2人だけの時間が長くなるんだけどなぁ。
「三条さん、スイーツを買っていく?一応父さんがパウンドケーキを作ってくれてるけど」
「それなら必要ないかな。大輝くんのお父さんのパウンドケーキはいつも美味しいし。追加するならホイップクリームをパウンドケーキと一緒にってくらいじゃないかな?」
「それいいね。チューブに入ったのを買っていくか」
「うん」
いつの放課後買い物に来た時に会うレジのおばさんがいた。
会計しながらいつも軽く話してるけど……
「今日は大輝くんと買い物デートかしら?いいわね」
「いいえ、ただの勉強会のお昼ご飯の買い出しですから」
「そうなの?大輝くんのお父さんとお母さんも勉強会の時でも、こんな感じでデートしてたわよ。懐かしいわ」
「そうなんですか……」
顔が赤くなってるみたい。やっぱりデートに見えるのかな?
私としては本当にデートなら嬉しいけど、まだ恥ずかしくて素直になれない。
英子は大丈夫って言うけど、大輝くんがどう思ってるかも分からないし。
そんなことを思ってたら店長さんに会った。
「おや、大輝くん、ラブラブ新婚カップルだねぇ」
「店長、うるせぇ」
やっぱりからかわれた。
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英子Side
美亜ちゃんと大ちゃんが買い物に出かけてしばらくは勉強してたけど、もう休憩でいいんじゃない?
おとなしく待っててくれたクロと遊ぶことに。
今日はお客さんがたくさん来てるからクロが興奮してるみたい。いつもより部屋の中を駆け回ってる。そんな様子を「可愛い〜」とか咲良ちゃん達が言って見守ってる。
少し落ち着いたのか咲良ちゃんや他の女子の方に行って、匂いを嗅いだり膝の上に乗ったりしながら渡り歩いてく。みんな身体を撫でて楽しんでる。モフモフの毛皮の手触りが気持ちいいよね。
でも……委員長の膝には乗らない。近付いて警戒するように匂いを嗅いだりしてるけど、それ以上は近付かない。何で?
直くんの膝には乗るんだけどなぁ。男嫌いってわけではないみたいだけど。
人懐っこいからおじいちゃん達や直くんのお父さんにもくっついたりしてるんだけど。
「服部さん、大丈夫だから。うちの家系は母さんやおばあさん以外はみな動物に嫌われてるから。
家族で動物園に行った時はひどかったね。ゴリラが糞を何個も投げつけてきてさ。その時はガラスがあって被害はなかったけど、ゴリラが見れなくなったんだよね」
「それすごくない?うちはその逆でパパと私達にはいっぱい近寄ってくるけど」
『アレは呪いじゃな。だいぶ薄れてはきとるが動物に嫌われるようになっとるな。あと2世代ぐらいすれば消えると思うぞ』
「多分孫くらいになると大丈夫になるって。いつからかは知らないけど呪われてるらしいよ」
「「「「「「えっ??」」」」」」
委員長の何代前か分からないけど動物に何かしたか、他の人の嫌がらせなのか呪われてるみたい。
動物に嫌われる程度だから気付かなかったのかも。でも大昔なら農家に動物は何かしらいたと思うから、それらに嫌われてたりすると大変だったかもね。
呪った人はそういうことを見越して呪ったのかもしれないけど、現代ではそんなに困んないかな。子供が動物を飼いたかったりすると困ったりするか。
「噂には聞いてはいたけど……服部さんてそういうのが分かる人なんだ?」
「英子ちゃん自身が直接分かるわけじゃないけどね?そばに見えたりとか助言をくれる存在がいるんだよ」
「へぇ~。宮崎はよく知ってるんだな?」
「0歳からの付き合いだからね」
直くんがそんな事を言うと、女子が昔の写真が見たいとか言い始めた。まぁ遊びにきた女子にはよく言われる。
私達の写真はパパが全部自前のファイルサーバーに保存して管理してるから、タブレットを持ってきて写真を表示させる。
最初に標示させたのは赤ちゃんの頃の写真。私と大ちゃん、直くんの3人が床に転がってる写真を映し出す。テレビにも表示させて、みんながきゃあきゃあ言い始めた。
「本当に0歳の頃から一緒なんだ。しかし、可愛いなぁ、これ」
「三つ子みたいだよね。みんな可愛いなぁ」
そのまま他の写真も表示してみんなで赤ちゃんの頃の写真で盛り上がる。私も直くんもちょっと恥ずかしいけどね。
明日、咲良ちゃん達も今度赤ちゃんの頃の写真を持ってきて、見せっこする事になったからちょっと楽しみ。
と、そこへ大ちゃんと美亜ちゃんが帰ってきた、ちょうど大ちゃんがアップになっている写真の時に。
「ああ、英子、なんでそんな写真見せてんだよ」
「え~、可愛いでしょ?美亜ちゃんも見たいよね?」
「うん、見たい」
「え?……三条さんが見たいっていうなら……くっ。
もうキッチンで昼ご飯作ってるからな。みんな、適当な所で降りて来いよ」
美亜ちゃんが見たいって言うと黙っちゃうんだ、大ちゃん。
美亜ちゃんももっと見たそうに目がキラキラしてるだけど、キッチンでお昼の手伝いがあるからどっちに行こうか悩んでる。
「美亜ちゃん、後でもっと見せてあげるから。大ちゃんの恥ずかしい写真も」
「「「「「えっ?私達も見たい」」」」」
「それはちょっとね。大ちゃんの許可が下りないから」
それでやっと安心したようで、美亜ちゃんはキッチンの方に向かった。
咲良ちゃんたちは今ある写真からその恥ずかしい写真がないか探し始めたけど、それは隠しフォルダに入れてあるから見れないよ、家族専用だから。
直くんと委員長がその様子を見て笑ってる。
そして、直くんは委員長がクロを触るとどうなるか試してるみたい。クロが触らせないようにシャーとか鳴きながら猫パンチしてて、2人ともそれを見て笑ってる。
大ちゃんが先にキッチンに入って準備を始めてる。少し遅れて美亜ちゃんがエプロンを着けながらキッチンに入っていった。
私は咲良ちゃん達の要望で料理を作ってるところを見に来た。
美亜ちゃんも大ちゃんもママが買ってきた色違いのエプロンを着けてちょっと新婚の夫婦っぽい感じ。
みんなが「いいなぁ、いい雰囲気で」ってこそこそ話してる。
「でも、ここのキッチン、すごくない?勉強部屋もだけど」
「おじいちゃんがここもこだわったからね。パパが料理を私達に教えてたからコンロも業務用で口数が多いの。並んで炒め物が出来るようになってるよ」
「いや〜、このアイランドキッチンいいよね。
コンロだけじゃなくて上の天板が広いし。将来こんなキッチンで料理したいね」
「でも、結構掃除が大変でね。回りに油が飛んだりで、出来た当初はママが床がズルズル滑るって怒ってたんだよ。
その後コンロ回りにフェンスを取り付けたりしたんだよ」
「意外にアイランドキッチンも良くないところがあるんだ」
うちはパパを筆頭に料理好きだから、キッチンは設計の時からパパが関わってたんだけどね。ママの希望でアイランドキッチンにしたのにママが怒ってたことを思い出した。
新しい家になっていろいろ変わって面白かったっけ。
大ちゃんと美亜ちゃんが一緒に料理を作ってる。
ベーコン、ピーマン、玉ねぎを2人で切っているところは「もう夫婦か」って咲良ちゃんが言い始めた。私もそんな風に思うよ。
美亜ちゃんもの顔が赤くなリながら玉ねぎのスライスを刻んでる。大ちゃんも照れくさそうにしながらベーコンを厚い短冊切りにしてた。その後、ピーマンを輪切りに。
食材を切り終えたら、パスタを茹でつつ食材を炒める。ナポリタンは美亜ちゃんが、カルボナーラは大ちゃんが担当。
咲良ちゃん達はカルボナーラの作り方のコツを覚えようと、最後のソースをパスタに混ぜ合わせるところを食い入るように見ていた。咲良ちゃんが「ダマになってボソボソするんだよねえ」って。
「それにしても、美亜のエプロンが置いてあるんだ」
「うん、晩ごはんはうちでよく食べてるからね。美亜ちゃんはママの手伝いをして一緒に料理してるから。
それでママが買ってきたんだよ」
「仲のいい嫁姑って感じだなぁ」
うん、ママは美亜ちゃんをうちの子にしたいって言ってた。だから大ちゃんにしっかりしなさいってよく言ってる。
大ちゃんの気持ちに気付いてるからみたいだし、ママ自体が美亜ちゃんを気に入ってるからね。
「服部家の味を伝授してるって?」
「それだったらパパが教えてるよ。ママは一緒に作るのを楽しんでるだけ」
「パパの味が家庭の味ってどうよ?普通母親から伝えて行くんじゃね?」
「あははは。うちはおばあちゃんも教えてるけど、パパがママに味付けとかを教えてたって話だから」
「釣り堀の時もそうだったけど、服部パパはすごいなぁ」
### 続く ###