第07話-4 デート4 映画の後
英子Side
映画を見終わってファミレスでお昼ご飯を食べる。映画の感想を話しながら直くんとあ〜〜んってお互いの料理を食べさせあった。
いつもは大ちゃんや美亜ちゃんもいるから特になんともなかったけど、2人でだと回りの人が見てたりでちょっと恥ずかしいかも。
その後はゲームセンターや本屋なんかに入り、途中ペットショップを見つけたので入って猫ちゃんやワンコを眺める。
可愛いけどケージに入って見世物になってるみたいでちょっとかわいそう。
猫を飼いたいとは思うけど、パパやママの許可が必要だし勝手に飼えない。
「猫、飼いたいなぁ」
「英子ちゃん、猫好きだもんね。マンガの影響かな?」
「うん、大きくなって料理とか掃除をしてくれるような猫がいたらいいなぁって思うよ。でも、別にヒロインみたいに何も出来ないわけじゃないいからね?」
「それは知ってる」
『いいのう、英子、猫を飼おう。わしの使い魔にするのじゃ』
「いやいや、そんなことにはしないから。それに神ちゃん、パパやママに許可をもらわないとダメだから」
「ははは。また神様が妙なことを言ったんだ?」
神ちゃんと話をしてると独り言を言ってるみたいなイタい人に見られてしまう。
うちの家族や直くん、美亜ちゃんは神ちゃんのことを知ってるから普通に接してくれるけど、小さい頃神ちゃんといろいろ喋ってたから変な子と思われてた。今でもタイミング悪いと独り言が多い子って思われることがある。
それで嫌われたりはなかったけど、妖怪や幽霊が見えるあのマンガの主人公の気持ちがよく分かる。もしかしたら私もああなってたかもしれない。
大ちゃんや直くんがフォローしてくれてたからこうしていられるし、中学生の頃からは霊感少女って噂されるようになってからそうでもなくなった。
別に他の人に迷惑をかけてるわけじゃないから個性と思ってくれるようになったからかな。直くんは私が可愛いからもあるって言ってはいたけどね。
いつの間にか幽霊とか祓ってくれると噂になってるらしいし、霊感がある美亜ちゃんやオカルト好きな咲良ちゃんとか普通に接してくれる人が増えたからいいもんね。
「また、猫を飼って使い魔にしようって。ペットショップに来るといつも言ってるけどね」
「ははは、相変わらずだね。神様は。
それならうちの猫カフェのキャストから選べばいいんじゃない?英子ちゃんによく懐いてるし」
「ん~~、1匹だけを選んでお迎えするのは気が引けるなぁ」
『それなら皆使い魔にしてしまえ』
「そんなにたくさんお迎え出来ないよ」
「それだとうちの猫カフェが困るけどね」
「ここの猫ちゃんをお迎えするには小遣いも足りないから我慢してね、神ちゃん」
『むう〜』
もう話してる言葉で直くんも大体のことは察してくれるようになってる。
今のところ簡単に使い魔をうちに召喚出来そうにないなぁ。
とりあえず神ちゃんにはいつも通り諦めてもらって、服を買うためにファストファッションのお店に行くことにした。
でも……神ちゃんの場合、本当に諦めてくれてるかは分からない。パパによると神ちゃんの力で都合のいいように縁が歪められることがあるんだって。
気を付けないとね。
駅に近い所にファストファッションのお店がある。よく服を買いに行くお店の一つ。
他にも学生だとバスで行く事になるけどショッピングモールが少し離れたところにもある。そこはまたそのうち。
今日はお互いに似合いそうなコーデを選んで試着してみようってことになったので、私は直くんの夏向けコーデをセレクトしてみる。あまり自信はないんだけどね。
直くんのボトムスは……ジーンズだったりスラックスだったり?バスケで動いて脚の筋肉も綺麗だがら短パンでも可?
トップスの方はTシャツやシャツ、ポロシャツのみか、更に上に七分袖の薄手のパーカーを追加?
パーカーはパパも好きだから結構持ってるのを見るけど……よしっ、膝丈のデニムの短パンに白のTシャツ、それにスカイブルーの七分袖の薄手のパーカーでどうだ?
直くんの方はボトムスはデニムのショートパンツだったり、ゆったり目のストレートパンツだったり、ミニのプリーツスカートだったり。
トップスもフレンチスリーブのブラウスやTシャツだったり、膝上丈のスカートが隠れそうな大きなシャツだったり、私がパーカーを選んでたのでそれに合わせて上にパーカーやベストを併せてみたり。
他にもガーリーなワンピもセレクトしてた。
「直くんのセレクトはいつもいい感じだなぁ。それに引き換え私の方は……短パン以外は直くんがいつも着てるのと変わらない」
「短パンは持ってないから1つくらいあってもいいと思うから。それにパーカーは僕も好きだよ
メンズは上も下もあまり種類はないから仕方ないと思うよ?特に夏物は。
パンツにしても多少形状や素材の違いはあっても、女子みたいにスカートとパンツぐらいに見た目が違わないからどれを選んでも大きく違わないんだよ。仕方がないって」
「うう、直くんの気遣いが心に染みる……」
直くんのセレクトはボトムスとトップス組み合わせを替えてもいい感じになってる。コーデのセンスはやっぱり直くんの方が私よりかなりいいよ。
ママに一度教えてもらおう。美亜ちゃんと一緒に女子だけで買い物に行ってどういう風にセレクトしてるのかご教授願おう。
それで直くんのコーデをまたセレクトしてみたい。今度こそ今度こそ直くんに似合うコーデを。
今選んでくれたトップス・ボトムスを3種類ずつ買っていく。直くんも私セレクトのセットを買うことにしたらしい。まとめてうちでお支払いする。
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美亜Side
映画を見終わって本屋に来た。
マンガの新刊と参考書を買うつもり。大輝くんに参考書の相談をしながら参考書の棚の前で話して選んでもらった。
その後マンガの新刊コーナーに移動中、回りを見ると視界の隅に咲良達がいるのが見えた。映画館からつけてきたみたい。
「三条さん……橋本さん達がついて来てるから早く次に行こう」
大輝くんも気付いて早々に本を買って、猫カフェに向かった。
「気付かれたか……もう少し楽しめそうだったのに」
「いいなぁ、服部くんとデート。私もしたい」
「2人は付き合ってるの?橋下さん」
「しっかり付き合ってるとは聞いてないね。でも、美亜は英子の家にいつも行ってるし、お母さんに料理を教えてもらってるみたいだよ」
「だから文化祭も手際良かったんだ。私ら家で料理なんか親に教わってないもんね」
「でも、服部くんのお母さんなら教わりたい」
「「「確かに」」」
咲良の尾行をかわして、宮崎くんのお父さんが経営してる猫カフェに来た。
咲良達はついてきていないよね?
ここは英子達と何回か来たことがあるお店。
保護猫達がキャストで私達を癒してくれるの。英子と来ると、英子に猫が群がるのよね。そこに小さい子が集まって一緒に可愛がるのがいつもの流れ。
今日は英子もいないし、平日なのでお客も少なくてガラガラ。猫と遊び放題かな。
「三条さん、までお昼を食べてないし、何食べる?」
「先ずはパンケーキセットで」
「先ずはって、この後も何か食べるの?まあいっぱい食べてよ。母さんからも三条さんと食べて来なさいって軍資金もらってるから」
「いいのかな?」
「いいのいいの。母さんの要望だから」
本当にいいのかな?
でも、ここで断るのも英子のお母さんの好意を無にするみたいで嫌だし。ほどほどならいいのかな。
「ご注文を伺います。おや、大輝くん、デートだったかい?」
「映画を観に行ったついでですよ。デートとか言ったら三条さんに迷惑だから」
「……いえ、迷惑ではないですよ」
「良かったね。大輝くん」
「うるさいですよ。はいはい、注文注文」
店員さんも馴染みの人なんで気安い感じで話しかけてきた。大輝くんを近所の弟分くらいに思ってるみたい。
私はパンケーキセットを紅茶で、大輝くんはチキンライス、後は猫用のおやつにチューブ入のアレを頼んでしばらく待っている。
その間に猫達がこちらに近付いて来た。英子ほどではないけど、大輝くんにも猫が集まってくる。
そのおかげで私も遊んでくれる。今日ももう膝の上に乗っかって、モフモフの毛を撫でている。
「三条さん、ごめんな。あの人、いつも俺をからかうから」
「大丈夫だよ。本当に迷惑じゃないから。それにもう何度も言われてるし」
「迷惑に思うようなら言ってくれ。宮崎のおじさんに言っておくから」
大輝くんはいつもこう言ってくれるけど、本当に迷惑じゃないから。でも、恥ずかしくないわけじゃないけど。
大輝くんが好きだから付き合えたらと思うけど、自分から告白するのは恥ずかしくて勇気が足りない。
英子のお母さんがお父さんに告白したっていうのを聞くと尊敬してしまう。
英子は大丈夫とは言うけど、やっぱり大輝くんの気持ちがはっきり分かってないから怖い。断られるかもって考えてしまう。
自分に霊感があって前に怖がられたりしてたから。
そんな気持ちを見透かされたのか、膝の上の猫が私を見て鳴いた。注文した猫のおやつを手の甲に乗せて舐めさせる。
ちょっとザリザリとする舌の感触が気持ちを落ち着かせてくれる。可愛いね、君は。
そのまま映画の感想を話しながらパンケーキを食べる。猫用のおやつがなくなり猫が私のパンケーキに手を出そうとするからそれを阻止しつつ……
大輝くんと2人だけで話すのは楽しいし、猫達も可愛い。パンケーキやその後頼んだパフェも美味しかった。
ここは天国だ。長くここに居たい。それは無理だけどまた2人で来たいなぁ。
### 続く ###