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第07話-3 デート3 映画

▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷

美亜Side

 今日は大輝くんが迎えに来てくれる。

 いつもは英子や宮崎くんも一緒に迎えに来てくれてたから特に恥ずかしくなかったけど、大輝くんと2人っきりとなると恥ずかしい。

 出かけて大丈夫かな?私。


  ピンポ〜ン


 大輝くんが来たみたい。ポーチを持って玄関に急ぐ。

 なぜかお父さんが玄関に来て大輝くんと話をしてる。


「おはよう、大輝くん。今日は娘をよろしくね。

 申し訳ないけど、今夜も忙しいから美亜がそちらでお世話になるよ」

「大丈夫ですよ。うちの家族は三条さんのことを気に入ってますし、父さん達の頃も両親が忙しい友達を預かってたらしいので気にしないでくださいって言ってました」

「そうかい?大輝くんもうちの美亜をよろしくね、将来的に」

「え?」

「大輝くんが美亜と結婚してくれると私の心配がなくなるんだがね。どうだろう?」


 なんかお父さんが大輝くんに恥ずかしいことを言ってる。

 そりゃあ大輝くんと結婚出来れば嬉しいけど……って何を言ってるんだろう、私。


「お父さん、何を話してるの?」

「いや、大したことじゃないよ。大輝くん、美亜をよろしくね。」

「はい、お預かりします」

「大輝くん、ごめんね。お父さんが何か変なことを言わなかった?」

「特に変なことは言ってないよ。じゃあ、行こうか」


 お父さんが変なことを言ったのは聞こえてるんだけど、大輝くんも誤魔化したいみたい。顔が真っ赤になってる。

 早くここを離れた方がいいよね。

 いつものように大輝くんの横に並んで歩き始めた。




◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁◁

英子Side

 映画館に到着。パパとママの初デートの映画館だって。

 リニューアルされてしばらく経ってるけど、中はまだ綺麗。

 チケットの発券をしてもらって、入場にはまだしばらく時間があるからポップコーンと飲み物を買ってく。私は抹茶とミルクティー、直くんがキャラメルとカフェオレ。

 もうすぐ入場出来るらしいからベンチに座って話を始めた。


「さっきの人達に可愛いって言われたけど……私って可愛いの?

 今までパパやおじいちゃん達には可愛いって言われてたけど、多分意味が違うよね?」

「美亜ちゃんはすっごく可愛いよ。今日だってちょっとボーイッシュな感じだけどすごく可愛くまとまってるし。それにショートパンツにニーソとか絶対領域が刺激的すぎて、出来れば隠してしまいたい。」

「あははは、パパも同じようなことを言ってたよ」

「そりゃあ正直さんは師匠だし、好みもよく似てるよ。だから、英子ちゃんの今日の格好はちょっと目の毒です」

「あははは」


 今日のコーデが直くんの好みに合ってて良かったよ。かなり時間をかけて選んだ甲斐があったってもんだよ。

 いつもより興奮気味に可愛いって言ってくれてる。嬉しいね。


 時間になったので中に入って席について話すことにした。

 今日の映画は……


 ある日、目が覚めたら女になっていた。性別が男女が入れ替わっていて、売れっ子漫画家が売れず女編集者になっていた。

 付き合っていた彼女は男になっていて、売れず小さいスタジオでライブしてた彼女が武道館ライブが出来るほどアイドルになっていた。

 これまで普通に付き合えていたのに彼女が男性アイドルになってしまったため隠れて付き合うことになり、更に彼女だった男はいろんな女性にちょっかいかけられるしで……でも最後には結婚に辿り着く波乱万丈の恋愛コメディって話。

 お互い元の性別の時の記憶があって、現状とのギャップや男女が入れ替わっての恋愛模様が面白いと評判になってる。


「この映画、観たかったんだよね。美亜ちゃんは別のが観たかったからどうしようかと思ってたんだけど」

「そうなんだ。なら良かったよ。

 英子ちゃんと恋愛ものを観に行ったことないし、コメディ要素が強いけどどうなのかなって心配してたんだ」

「直くんとならコメディ要素のない恋愛ものでもいいよ。でも、途中で寝ちゃったらごめんだけど」

「僕も寝ちゃいそうだけどね」


 と、話してたら映画が始まった。

 最初はポップコーンをパクパク食べながら観てたけど、途中私の手に直くんの手が重なってドキッとしたんだ。普段手を繋いだりしてるけど、映画を観ながらはなかったから。

 横を見ると直くんが意外にも赤くなってプルプルしてた。可愛い。


 そのまま映画を楽しんでからファミレスに移動して、昼ご飯を食べながら映画の話をした。




▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷

美亜Side

 今日はバスで大輝くんとお出かけ。映画を観て、本屋に寄って、猫カフェで猫と戯れる予定。

 いつもは駅前の映画館だけど、今日は街の東側の昔再開発され駅前より栄えてる今の繁華街にある。

 今はバスに乗って話をしながら移動中。


「さっき私のお父さんと何を話してたの?」

「今日も夜は忙しいからうちで食べていってもらうことになるから申し訳ないって。

 うちは父さん達の頃から同じように両親が忙しい友達を世話してたって話だから特に問題は無いんだけど。

 じいさんの事務所の葛西さんも真琴おばさんの友達で、同じように勉強して夕飯を食べて帰っていってたって話だし」

「そうなんだ。でも、私もお父さんもお世話になりっぱなしで、出かける時も呼んでもらって申し訳ない感じで」

「母さんは三条さんに料理を教えたりするのが楽しいから、来てくれて嬉しいみたいだよ」

「私は料理の勉強をさせてもらえてすごく嬉しいんだけど」


 英子のお母さんは先生というより本当のお母さんという感じで教えてくれる。

 実のお母さんが生きていればお母さんに教わるんだけど、今はもういないから……だから英子のお母さんが本当の娘みたいに扱ってくれてすごく嬉しい。

 高校の間、いろいろ教えてもらえるといいなぁ。


「英子は父さんに教わったから母さんに教わることはないからなぁ。

 その点では三条さんは娘代わりにちょうど良かったって感じなんだけど」

「それでも私は嬉しいですよ」

「ならいいけどね。大丈夫だと思うけど母さんがやりすぎるようなら言ってくれ。止めるから」

「うん、ありがとう」


 じゃあ、料理を教わるのに英子のお母さんを独占出来るんだ。いいのかな?

 英子は多分何も言わないよね。どちらかというと喜んでくれるわね。


 話が弾んですぐに映画館前のバス停に到着してしまった。

 今日は平日だから映画館には人があまり来ていなかった。席は英子達と同じように席を予約したけど、必要なかったかも。

 チケットを大輝くんに発券してもらって、中に入るまで少し時間があるからポップコーンと飲み物を買いに行く。

 何がいいかな。いちごミルクにロイヤルミルクティーがいいかな。大輝くんはスタンダードなのに抹茶ラテにしてた。


 注文した物を大輝くんが受け取ってくれて、中に入るのに横を見たら……咲良がいた。いや、咲良達がいた。


「おやおや、美亜くん。大輝くんとデートかな?」

「咲良。何でここに?」

「こっちはみんなで映画を観に来ただけだよ?そっちは?」

「こっちも映画を観たり、本屋に行ったり、猫カフェに行ったりの予定だよ」

「デートだろ、それ」

「「「いいなぁ、服部くんとデートなんて」」」


 こんな所で他の人に見られるなんて恥ずかしい。大輝くんもなんか恥ずかしがってる感じ。私と一緒なのが恥ずかしいのかな?

 咲良の方はニヤニヤしてるし、他の人達はきゃあゃあ言ったりああ~って落ち込りしてる。

 咲良にこれ以上からかわれる前に中に入ろう。


「もう入場出来るようになったけど。三条さん、中に入ろうか」

「はい。咲良、また後でね」

「ほい。こっちも飲み物とか買っていくから、じゃあね」




 私は大輝くんと二人で席の方に移動した。

 選んでおいた席は観やすい所で、前後左右回りに広く席が空いてるから邪魔されずゆっくり観れそう。

 咲良達は私達よりかなり後ろの方に席を取ったみたい。でも……私達のことが見えちゃうんだけど。


 今日観る映画は……

 たまたまスカウトされアイドルユニットを結成して活動を始めたヒロインは実は霊感があった。

 あまり本気を出さずアイドル活動していたが、ある日突然事故で亡くなった絶大な人気だった男性アイドルの幽霊に取り憑かれてしまう。

 その幽霊にダメ出しされながら練習させられ、時には身体を乗っ取られてステージに立ったりしながらアイドルの頂点を目指させられることになってしまうコメディアニメ。

 一部の熱狂的なファンの飲み会シーンも笑えて、なかなか評判のいい作品。


 私は好きな作品だったけど大輝くんはどうなのかな?

 チラッと横を見るとクスクス笑っていたし、時々大笑いしてたから楽しんでもらえたみたい。こういうコメディ系は好きなんだ。

 流石に後ろの方で咲良が見てるから手を繋いだりはないので、緊張を紛らわせるためポップコーンをパクパク食べながら映画を観た。

 多分後ろの方で咲良がこの状況を見ながらニヤニヤしてるんだろうなぁ。


 映画もエンドロールまで観て、明るくなってから席を立つ。大輝くんが手を差し出してくれたので、手を取って立ち上がる。

 チラッと後ろを見るとやっぱり咲良がニヤニヤしてた。明日になるとクラスでこの話が広まってそうね。クラスの女子に何か言われそう。


「この後は本屋だっけ?そこまでは邪魔しないから楽しんできてね」

「う〜〜、本当につけてきたりしないよね?」

「しないって。他の子達も抑えとくから。あんまりやると英子に怒られるしね」

「信用するからね」

「猫カフェについては明日にでも教えてよ。今度行ってみたいし」

「それなら宮崎くんに聞いた方が詳しいよ。宮崎くんのお父さんが経営してるお店だから」

「へえ〜。でも美亜から聞きたいからさ」


 そう言って咲良は他の子達と一緒に映画館を出ていった。

 そして、私と大輝くんも本屋の方へ歩いていく。


### 続く ###


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