第07話-2 デート2 前日〜デート当日
「私達の話も長くなったからここらで終わりにしようか……
で、大輝は明日どうするんだ?暇だろ?」
「大ちゃん、暇なら美亜ちゃんと出かけてくれば?」
「はあ?三条さんと?なんで?」
「いいわね。大輝、美亜ちゃんをエスコートして出かけて来なさい」
「三条さんが困ってるだろ。無茶言うなよ」
美麻ちゃんが顔を真っ赤にしてちょっと下を向いてプルプル震えてる。
多分恥ずかしいんだろうな。嫌なはずはないんだけど。
「困ってはないよ。でも、大輝くんに迷惑をかけちゃうから」
「嫌、俺も迷惑じゃない……なら、明日どこかに出かけようか?」
「いいの?」
「ああ、暇だし、三条さんが嫌じゃなければ」
「嫌じゃないです。じゃあ……」
これで明日は美麻ちゃんも出かけることが決定だね。家で独りにさせることはないね。
よしっ!大ちゃんが一緒なら問題ないか。どこに行くのかは大ちゃん達にお任せ。
それよりも私達も映画以外どこに行くか話をしないと。
食後にそれぞれ分かれて話をする。
私と直くんは大福や団子を食べながら、大ちゃんと美亜ちゃんはケーキを食べながら話をする。美亜ちゃんは自分の好きなケーキが出てきて嬉しそうだ。
さて、私たちの方は映画の後どうするかな?
映画の後は食事して、駅前を散歩しながらゲーセンや本屋とかかな。
「英子、夏服買って来なさい。直樹くん、いいのを選んであげて」
「まだ早くない?それに今あるので十分だよ」
「もう英子は。高校生になったんだし、大きくなって着れなくなってるのもあるでしょ」
「分かりました。いいのを選んできます」
「直樹くんのも買っていいからね。英子、選んであげなさい」
「は〜〜い」
服かぁ。いつもはママに任せっきりだったもんね。
直くんに選んでもらうのかぁ。どんな風になるかな?
大ちゃんの方は美亜ちゃんとどこに行くか決めようと話してるけど、顔を真っ赤にしてボソボソしゃべってる大ちゃんがちょっと情けない。
パパに「大輝、もっとしっかりしろよ」とか言われてる。
「三条さん、どこに行きたい?」
「え〜っと、本屋に。探してる本があるから」
「本屋といえば正直くんと行った時に、正直くんがエロ本を買おうとしてたのよ」
「いやいや、買ってないでしょ、京子さん」
「……それは、わざとでしょう、正直さんなら」
「そうだな。絶対にからかっただけだ。父さんならそうするよな」
あははは、パパがママと一緒の時にエロ本なんて買うわけがないのはみんな分かってるよ。からかったんだよね。
デートでママを楽しませてたんだろうな、ちょっと意地悪だけど。
そんな話をしてたけど大ちゃんと美亜ちゃんの方も行くところが決まったみたい。
駅前じゃない街の東側にある映画館で映画を見て、それから本屋に行って、その後猫カフェに行くみたい。
これなら美亜ちゃんも楽しめそうだね。
これで2組とも明日の予定が決まって今日は解散。
直くんはこのまま帰っていく。
「直くん、明日は駅前で待ち合わせね」
「大丈夫なの?変な奴が寄ってくるんじゃない?」
「大丈夫大丈夫。私ってそんなに綺麗じゃないし」
「……(英子ちゃんは自分がどれだけ美少女か分かってないんだから)……」
「え?」
デートなんだからやっぱり待ち合わせからだと思うんだよね。
直くんがボソボソと何か言ってたみたいだけど、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。美亜ちゃんならともかく。
明日が楽しみだ。
大ちゃんの方は「明日、迎えに行くから」って言ってた。
それからいつものように美亜ちゃんを送って行った。今日はなんかいつもと違って2人ともまだ顔が真っ赤だったよ。
早く正式に付き合っちゃえばいいのになぁ。
振替休日当日……
英子Side
私と直くんは駅前で待ち合わせ。
いつもならうちで集合してから出かけるんだけど、「デート」というからにはマンガやアニメなんかでよくある待ち合わせをしてみたい。それで今は1人駅前で直くんを待ってる。
七分袖の薄手のパーカーにショートパンツ、ニーソにして、ちょっとボーイッシュなセレクトにしてみた。
もう初夏になろうかって時期だし、動きやすいかと思って。
「直くん、まだかなぁ」
そんなに早く来たわけじゃないけど、まだ直くんは来ていない。
いつもうちに集まってから出かけるからこんな風に外で待ったことはない。こういうのがデートらしくていいかも。
パパやママもあまり外で待ち合わせしたことがないって言ってた。いつもうちから出かけてたって。
しかも、付き合い始めて半年ぐらいしてからずっと同居してたらしい……って普通にないよね?
ちょっと考え込んでたら知らない男の人達が私の前に近付いてきた。誰だろ?やっぱり知らない人だ。
なんだろう?ナンパってやつ?
「ねぇ、君、独り?可愛いね。俺達と遊びに行かない?」
「今は独りですけど、この後来ますよ。それより、私って可愛いんですか?」
「「「ヘっ?」」」
学校でも女子には可愛いって言われたりするけど、モテてないんだけどなぁ。告られたこともないし。
「可愛いって男子に言われたことないし、モテないですよ?」
「嘘だろ?」
「いえいえ、本当ですよ。告られたことないし」
「他の男は見る目がないのか?」
「さあ?」
とか、話してたら向こうから直くんが走ってきた。
多分私のことが心配だったんだと思う、随分慌てた顔をしてる。
普段男子から声かけられるようなことはないもんなぁ。
「直くんが来たみたいなのでこれで終わりに」
「直くん?それって友達?それとも彼氏?」
「許婚ですけど?」
「はぁ?君いくつ?まだ高校生か少なくとも中3だよね?お金持ちだったりとか?」
そんなにおかしいかな?特別何かすごいことがあるわけじゃないよ?
普段から一緒にはいるけど。
「高校生ですけど、お金持ちではないですよ?普通くらい。
許婚がいるのはおかしいですか?親同士が親友で仲が良いし、私達も仲が良いので」
「「「へえ〜」」」
「直くん!こっち、こっち」
直くんが到着して両手を繋いでブンブン振って喜んでる、他の人達を無視して。
直くんと2人だけの世界を作ってて、気に入らなかったのかな?
「ちょっと、君。直くんだっけ?ちょっとこっちに来てくれない?」
「なんでしょう?映画の時間があるんです。手短にお願いします」
なんだろう?直くんが呼ばれていっちゃった。なんかコソコソしてる。
『あの子、自分がかなり可愛いのに理解していないようだが、可愛いよな?』
『はい、すごく可愛いですよ。だから、他の人が寄って来ないようにしてるんですよ』
『だよな。でもな、あの理解してなさはヤバいだろ。目を離さないようにしとけよ。危ないだろ』
『今日は特別だったんですよ。本当なら一緒に来るつもりだったのに』
『そうか。ま、気を付けてやんな。じゃあな』
直くんと話がついたみたい。知らない人達は手を振ってどこかに行っちゃった。
これでやっと直くんと2人になれた。早く映画館に行こう。
いつもなら手を繋いで歩くけど今日は腕を組んで歩く。
直くんの顔が真っ赤になってる。多分、腕に胸が当たってるのが分かるからかな?私もちょっと恥ずかしい。
咲良ちゃんもママもこうすれば直くんが喜ぶって言ってたからしたんだけど。
### 続く ###