第06話-9 文化祭9 後夜祭
練習試合もしてくれた強豪校のキャプテン達の協力もあって、女バスのコスプレバスケはなかなか好評だった。
中学性や小学生の女子が結構な人数参加してくれて、バスケやってみたいって言ってくれるようになって嬉しかった。
ただ、男バスの招待した練習試合の相手チームの男子が試合もそっちのけで覗いてたのが嫌だったけど。
一応男バスの顧問の先生が叱ってはくれたけど、女バスの顧問の先生からクレームは入れて問題にしてくれることになった。直くんも問題にしてくれるだろうけど。
コスプレ衣装を着替えて、ボールや仕切りのネットを片付けて女バスの出し物は終了になった。
「今年の女バスの出し物は服部の大叔父さんの協力のおかげで大成功だ。
服部、悪いけどお礼を言っておいてくれ。それに後で何かお土産を送るからって」
「お土産はいらないと思いますけど、お礼は伝えておきます」
「今回もいつものあいつらが来てくれて盛り上げてくれたから、あいつらの文化祭には都合のいい奴は行ってやってくれ。
同じことをするらしいから笑ってやるように」
「「「「「「「はい!」」」」」」
これで部活の方は終わり教室の方に戻る。ちょうど直くんの方も終わったみたいなので一緒に教室に……
「英子ちゃん、三条さん、ごめんね。こっちの男子が覗いてて」
「ある程度は分かってたからスパッツは履いてたけどね。でも、見られたくはないよね」
「そうよね。もうちょっと男子にはデリカシーを理解して欲しいわね」
「ごめん。反省会がまたあるから、その時にはその時にはしっかりクレームを入れておくよ。最悪覗き問題で廃部にするくらいに」
「「そこまでではないからね?」」
私のも見られちゃうと直くんは思ってたからなんだろうね。容赦が無い。
私のことを大事に思ってくれてるからなんだけど、部活より私の方が大事すぎるというのもちょっとね。少しは悩んでもいいと思うんだけど。
教室に入るとまだ喫茶店の方は営業中。
でも、そろそろ終わりの時間なのでメイド服に着替えて接客というわけにもいかないし、家庭科室の方の調理ももうしないだろうし。
とりあえず裏方でカレーライスやサンドウィッチを盛り付けるのを手伝うことに。
「オムライスの方はどうだった?」
「卵の方もなんとか問題なく出来て好評だったよ。もっと作って言われたくらい。
これなら本当に家でもお店のっぽいオムライスが出来るよ。いい方法教えてくれてありがとう」
「オムレツの部分は元々レシピサイトにもあるやり方だからお礼を言われるほどでもないよ。こういうお手軽に作れるように考えるのは面白かったしね」
「他の料理でもこんな風に作りやすい方法があったら教えて欲しいなぁ」
「いいよ。どんな料理が作りたいか言ってくれれば相談にのるよ」
うちは料理好きが多いからね。こういう相談は大歓迎。
大ちゃんも直くんも知恵を貸してくれるだろうしね。それにパパもこういうの好きだし。
本当に相談にのるよ。
戻って来たばかりだけど、もうそろそろ終わりの時間。今盛り付けてるこれで終わりかな。
残り物も一気に盛り付けて打ち上げ用に準備して、直くんの方は家庭科室の方で残りの材料で料理を作ってる。多分カレーの具材で肉じゃがを作ってそう。美亜ちゃんも大ちゃんとサンドウィッチを作ってる。
他にスーパーでお菓子をいっぱいもらって来てるから、それで打ち上げは足りるかな。
『本日はご来校いただきありがとうございました。文化祭は終了となりました。速やかに退校していただきますようよろしくお願いします』
「さあ、終わった終わった。みんな片付けだ。
片付けが終わったら後夜祭までの間打ち上げだ。服部達が残りの食材で準備してくれてるし、仕入れ先のスーパーのご厚意でお菓子や飲み物があるからな」
「さっさと終わらせようぜ」
「服部くん達の料理楽しみ」
教室の飾り付けを取り外し、テーブルクロスの布を外して机をまとめてお菓子や飲み物を置いていった。
家庭科室から出来上がった料理を大ちゃん達調理班が教室に持ってきた。
肉じゃがやサンドウィッチを各机に分けて配り、残り物のチキンライスとカレーライスは各自適当に取っていった。
「これで文化祭のメインは終わった。明日はステージでの出し物だけだ。
早いけど今日後夜祭があるから残りは好きに楽しもう。
じゃあ乾杯!」
委員長の河合くんの音頭で打ち上げがスタートした。みんな飲んだり食べたり。
廊下から別のクラスの人達が羨ましそうに中を見てるけど分けてあげない。もしかしたらメイド服を期待してたのかな?それももうみんな着替えちゃったからいないけどね。
「潤、売上はどうだった?」
「予定よりは多かったよ。午後に大輝達がいなくなってもそれほどお客さんは減らなかったからね」
「そうか。女子が俺や直樹の方に付いてきてたから、かなり減ってるかと思ったよ」
「普通に食事に来た大人や家族連れが料理が美味しいって聞いて来たから、思ったほど減らなかったよ」
「なら良かった」
やっぱり料理が美味しくないとね。メイドや執事だけじゃあ大人や子供は来ないから。大ちゃんや直くんがそこはきっちり考えてくれたもん。
『なるべく手間がかからず美味しい料理』が今回のコンセプト。それが上手く出来るかでお客さんの来る数が変わるってパパに課題にされた。
でも上手くいったってことでいいよね?
「英子、美亜、女バスの方はどうだった?」
「前に練習試合に来た強豪校のキャプテン達が来て、コスプレして試合したりして盛り上がったわ。男バスの部員達が嫌らしい目で見てて嫌だったけど」
「小学生や中学生の子達と遊べて楽しかったよ。ジャンプシュートの時にスカートがめくれるのを男バスの練習試合に来た学校の部員も嫌らしい目で期待してるのが嫌だったけど」
「英子ちゃん、三条さん。後でそいつら締めとくから」
「あははは、宮崎くんは大変だったようだね」
わざと美亜ちゃんと男バスのことを言ってみたけど、ちゃんと対策はしてたからね。でも、普通に見えてしまうのとそういうのを期待して見られるのとはこちらの気分が違うから。
直くんの背後に黒い炎が上がってるように見えるから、相当怒ってくれてるのが分かる。昔から私を守ってくれる騎士だったけど、聖人君子ってわけじゃなくて意外に黒いところもあるから無茶しないといいけど。
その後も見に来てくれた他の女子達からコスプレ衣装のこととかの話になった。古めの作品の衣装だったけど可愛い可愛いって興奮してたりした。漫研に入ってる子とかもいて衣装を見せてほしいとか頼まれちゃった。
文化祭で違う学校から来た子とも仲良くなれたかな。これまで部活の部員と咲良ちゃんの知り合いくらいだった女子の友達がまた増えて楽しいな。
空がもうオレンジ色から紺色へと変わり、グラウンドも暗くなってきた。
グラウンドの中央にファイヤーストームの準備がされてる。
これから後夜祭なんだけど、本当はまだ明日も文化祭はある。ただステージ上の出し物だけ。だからいつも通り夕方には下校となるから、今日後夜祭が行われる。
ちなみに、ステージの出し物を観ない人は自由に教室とかでゆっくりしているんだとか。うちのママはその日にパパに告って付き合い始めたらしい。
私達は教室でゆっくりしつつ、普段行かない学食で文化祭特別メニューを食べる予定である。
私や美亜ちゃん、大ちゃん、直くんと咲良ちゃん達クラスの子達とグラウンドに降りてきた。
後夜祭はパートナーとダンスを踊る事になっていて、付き合ってる人がいるとそのまま踊るんだけど、いない人はこのタイミングで告ったりするみたい。ママは何でこのタイミングで告らなかったのか不思議だけど。
私は直くんと、美亜ちゃんは大ちゃんと踊る予定。美亜ちゃんと大ちゃんはまだ付き合ってはいないけど、「踊らないの?」って言ったら2人とも顔を真っ赤にしながら踊ることにしたみたい。
大ちゃんも早く告っちゃいなよ。
組み上げられたファイヤーストームに火が付けられ徐々に燃え上がっていった。こういうのは小学校のキャンプファイヤー以来かな。
ファイヤーストームの火が大きくなり、その回りでダンスをする人も増えていった。
「直くん、踊りに行こ!」
「うん、英子ちゃん行こうか」
私と直くんが手を繋いでファイヤーストームに近づいて行く。直くんを狙ってたみたいな女子が項垂れてるのが見えた。ごめんね。
「三条さん、俺達も行こうか」
「うん。よろしくね」
大ちゃんと美亜ちゃんの2人も手を繋いでこちらに近付いてきた。やっぱり2人とも顔が真っ赤になってる。
直くんが「大輝も早く告ればいいのにな。断られないのに」って言ってた。直くんにもバレてるのよね。
大ちゃんと美亜ちゃんが手を繋いでるのを見て、回りにいた女子が更に「あああぁぁぁ」って言いながら項垂れてるのが見えた。大ちゃんも人気があるからなぁ。
でも、私としては美亜ちゃんとくっついて欲しいんで、皆さん諦めてください。
今のところ大ちゃんや直くんに無理に迫ってくる子はいないからいいけどね。2人ともそういう子は好きじゃないから。
そのまま私は直くんと楽しく踊る、くるくると。大ちゃんと美亜ちゃんはちょっとぎこちないけど、美亜ちゃんは嬉しそう。
でも、ダンスに混ざってない男子も女子もちょっと悔しそうかも。自分が……って思ってる人が結構いそう。流石にハンカチを噛み締めくぅ~とかって人はいないけど。
そんな人達は放っておいて、せっかくの直くんとのダンスを楽しもう。
この物語はフィクションです。
文化祭回でした。体育館の幽霊さん以外オカルト要素はありません。
ほぼほぼ日常生活の回も今後もありますのでお楽しみください。