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第01話-2 こっくりさん2

 私と美亜ちゃんが一緒にこっくりさんを始めて最初の問いかけは終わった。 けど……直くんのことについては私の名前が出てきたから、あとで追及されるんだよね?困るなぁ。


 ひとまずそのままにしておいてくれるみたいで、次の大ちゃんの事について問いかけを始めた。


「その件は後にしよう。次は服部 大輝くんで」

「「「「「それな」」」」」


 ふぅ~、とりあえず時間が出来た。でも、全部言わされそうです。

 ヤバイなぁ。


「1年3組服部 大樹くんの好きな人を教えてください!」


 さっきと同じように動くのかと思ったら……1文字目に行くまでにブルブル、ブルブル震えてなかなか進まない。

 マズイかな、これ?って思ってたらやっぱり起きた。


 まだ夕方で今日は晴れてるから明るいはずなのに、教室内がいきなり暗くなった。その上教室内で突然非常に大きい台風のような暴風が吹き荒れた。

 何これ?せっかく綺麗に並んでいた机や椅子がバラバラに飛ばされちゃった。教室に残っていた人達も巻き込まれて慌ててる。あははは。

 後で直さないと怒られるよ、きっと。


 突然の超常現象にこっくりさんをやってるメンバー以外に教室に残っていた何人かの人達は何で起きたかよく分からなかったみたい。


「服部くんはキャンセルしよう」

「う〜、聞きたかったのに」


 結局大ちゃんの想い人についてはキャンセルすることにして、他の人気のある男子の好きな人を問いかけてみた。

 他の男子については特に問題は起きなかった。

 やっぱり、あれだよね。


「何だったんだろうね?服部くんの事を聞くのはアウトなのかな?」

「タブーなの?聞きたいよぉ」

「またそのうち試してみよう。その時は服部さんと三条さんまた協力してくれる?」

「う〜ん、止めた方がいいんじゃないかな?ね、美亜ちゃん」

「そうかもしれないね」

「「「「「そう?」」」」」


 諦めてくれるかは分からないけど、とりあえずみんなの判断に任せるしかないかな。


 その後は私と美亜ちゃんは外れて、先に始めてたメンバーでこっくりさんを始めた。その内容が総合英語の小テストの問題について。

 カンニングみたいだよね?いいの?

 こっくりさんに問いかけてたら、いくつか教科書の問題が出る所が提示された。全てではないけど出る所が分かれば点数の底上げが出来そうで、他の女子がそれで喜んでこっくりさんが終わった。私と美亜は普段から成績がいいからそんなのには頼らない。


「さて、服部さん。いや英子でいい?私は橋本 咲良。咲良って呼んでくれると嬉しいかな」

「いいよ。咲良ちゃん」

「三条さんも美亜でいい?」

「ええ、いいわ」


 友達が増えた、しかもオカルト好き。パパと話が合うかなぁ。


「さて、英子。さっきのこっくりさんの結果について聞きたいんだけど?」

「直くんの想い人の話?」

「「「「「「うんうん」」」」」」


 こっくりさんではっきり出ちゃったもんね。誤魔化す方が面倒だし後々直くんに誰かが手を出してくるのも困るしなぁ。

 しっかり話して牽制しておこう。


「実はね、直くんは私の婚約者なの」

「「「「「「へ?」」」」」」

「正式にじゃないんだけどね。

 うちの両親と直くんの両親が親友で、私と直くんがお互い大好きって言ってるからみんな私達を結婚させるつもりでいるの。私も直くんと結婚するつもり」


 でも、直くんもまだ私の事を好きで良かった。知ってたけど。


「でも、男親って娘を結婚させたがらないって聞くけど?」

「直くんはパパの弟子だし、信頼されてるから問題ないよ」

「弟子って何?英子のお父さんって何か芸術とかやってる人?」

「違うよ。でも料理が美味しいの。それを教えてるの、大ちゃんにも。

 男でも料理位できないとモテないぞって言ってる」

「英子のお父さんの料理は超美味しいよ」

「美亜も英子のお父さんのこと、知ってるんだ。でも2人なら料理が出来なくてもモテるんじゃ……」


 美亜ちゃんはもううちのパパに胃袋を掴まれてます。

 うちのパパはママだけじゃなく、ママの方のおじいちゃん達の胃袋を掴んで結婚をもぎ取ったらしいよ?

 だから、息子達に料理を教えてるって。


「でも、うちはパパが料理でママの胃袋を掴んで高校卒業した日に結婚したって。おじいちゃん達も胃袋を掴まれて結婚に大賛成だったって聞いた。

 だから料理くらい作れるようになっておけって」

「服部家の旦那になる人は料理スキル必須?

 でも、高校卒業してすぐ結婚かぁ。凄いな」

「どうなんだろうね?」


 別に家訓とかじゃないよ?始まりは大伯父さんらしいけど。

 でも真琴おばさんの旦那さんはパティシエなんだよね。料理じゃないけどケーキとかスイーツが美味しくてとろけちゃいそうになるほどだよ。


 これで一段落するかなぁと思ってたけど、終わりじゃなかったよ。


「もしかして……もうしちゃてるとか?」

「してないよっ!……でもキスだけは……」

「「「「「「ひゅ〜ひゅ〜」」」」」」


 その後もいろいろと直くんとのことでイジられて、美亜ちゃんは私のパパのことや大ちゃんと直くんの料理を食べたことがあるのか問い詰められていた。

 大ちゃんの料理を食べたことがあると答えたら、他の女子にもみくちゃにされるように詰め寄られて困ってたよ。


 これで直くんのことは諦めてくれる人が増えそうね。良かった。




 教室の後片付けをして美亜ちゃんと教室を出て帰ることにした。

 美亜ちゃんがうちに寄ることを咲良ちゃん達が知ったら、また大ちゃんの料理を食べるのかと詰め寄られたり。今日友達がまた増えた気がする。今年1年楽しくなりそうだ。


 学校の校門を出て歩いて帰る。私の家までは徒歩通学圏内。美亜ちゃんの家は徒歩通学圏内だけど途中に私の家があるからいつも寄って帰る。


「今日のこっくりさんだけど……」

「うん、たぶん私のせいだと思う。大輝くんの好きな人の事を聞きたくなかったから」

「だよね~本人以外から聞きたくないよね。気持ちは分かるよ」

「ごめんね。ホントはみんなにも謝らなきゃなんだけど」

「いいんじゃないかな、ケガもなかったし。超常現象だって喜んでる子も多かったし」


 美亜ちゃんがやっぱり教室内が暴風が吹いて荒れたことが気にしてた。前に美亜ちゃんが原因で回りに迷惑をかけたことがあったからね。

 そうでなくても好きな大ちゃんの想い人の話を美亜ちゃんが聞きたくなかったから、拒絶反応からああなったのは仕方がないって。はっきりとした確証はないけど、私達はなんとなく分かってる。

 でも美亜ちゃんは優しいから気にしちゃうんだよね。

 その事を今神ちゃんに聞くわけにはいかないよね。こんな人通りのある所では聞いたらべらべら独り言を言う変な娘に見えちゃう。だから帰ってから聞こう。


 その前に……いつものスーパーで買い物をしないとね。ママに夕飯の買い物を頼まれてるんだった。


### 続く ###


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