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第06話-5 文化祭5 文化祭前日

 もう明日は文化祭当日になりました。


 今日は私達が午後から仕入れに行って、調理班が食材の仕込みをする事になってます。

 接客班は衣装や席順やオーダーの取り方の再確認。内装班は事前に準備してあった飾りを付けつつ、机を並べ替えテーブルクロス代わりの布を被せていく。

 接客班のメンバーがメイド服や執事服に着替えて衣装の最終確認もするけど、これは外から見えないようにしっかりガードされている。外では今なら美亜ちゃんのメイド服姿が見れるだろうって集まって来てるみたい。

 美亜ちゃんは英子を見に来てるって言ってるけど、美亜ちゃんの方が綺麗だから。


「英子、美亜、メイド服は大丈夫だよね?」

「うん、明日はこれでいけるよね、美亜ちゃん」

「そうね。調理の方もしなきゃいけないけど大丈夫でしょう」

「よし。服部くんのギャルソン姿と宮崎くんの執事姿も確認できたし、これなら明日は繁盛しそうだよ」

「でも、午前中だけだよ?私達が接客出来るの。期待してもダメだよ?」

「え〜、やっぱり、午後もやろうよ〜」


 無茶言わないでよ。女バスの方の担当が午後なんだから。

 他の女子達も咲良ちゃんと一緒になって「お願いしま〜す」とか言ってくる。無理なんだから、もう。


「英子、三条さん、仕入れの方に行くから早く着替えろよ」

「大ちゃん、すぐ着替えるから待ってて。美亜ちゃん、着替えよう」

「うん、分かった」

「英子、美亜、逃げるなぁ」


 さっさと仕切りの中に入って着替えよう。

 流石に咲良ちゃんも着替えを邪魔しには来なかった。だから落ち着いて着替えて教室を出る。その時にはまた追いかけて来たけどね。


 そのまま一旦家に帰り、パパに車を出してもらってスーパーに向かう。

 すぐに店長さんの所に行って、注文しておいた食材を受け取った。


「これで全部のはずだけど確認してくれるかな?後、これサービスだから持ってきな」

「いいんですか?」

「店長、いいのかい?こんなに飲み物やお菓子をもらって」

「服部さん、いいんですよ。親父からもサービスするように頼まれてますから」

「悪いな」


 予定より飲み物が多く仕入れられて助かります。それにお菓子なんかも入れてくれていたので、打ち上げにちょうどいいね。

 店長さんに挨拶して、レジでレジのおばさんに頑張ってねって声援をもらって学校に戻る。


 飲み物は教室に、食材は家庭科室に持っていく。パパも手伝ってくれてる。

 運び込もうとして車から降ろしてたら男子バスケ部の顧問がこっちに来た。直くんは部活や体育の授業でよく知ってるけど、私はよく知らない。


「服部、久しぶりだな、子供の手伝いか?」

「仕入れの荷物が多いんで送ってきたんですよ。どうもご無沙汰してます」

「お互いもういい年になったもんだな。岡田とは仲良くやってるよな?」

「ええ、仲良くやってますけど、2人の後子供が出来ないんですよね」

「2人いるんだからいいだろうに。まあ、仲良くしてるならいいか」

「鈴木の兄ちゃんのとこも仲良くやってましたよ。たまに会いますけど」

「こっちも相変わらず手紙をもらってるよ。子供も元気だってな」


 後で聞いたけど、男子バスケ部の顧問の先生はパパとママ、直くんのお母さんの高校の時の担任だったんだって。パパが迷惑をかけたとか言ってた。

 鈴木のお兄ちゃんのお父さんの担任でもあったとか。先生だけにいろいろつながりがあるんだね。


 荷物を運び込んだらパパはすぐに帰っていった。

 調理班の女子が「パパ、かっこいいね」って言ってくれたから、ドヤ顔でそうでしょう?って返しちゃった。


 さて食材も運び込んだし仕込みをしてしまおう。

 皮を剥いて切り分けていく。

 直くんと大ちゃんの皮剥きが異様に速いって、女子だけでなく男子にも驚かれた。私もそこそこ速いけど2人ほどじゃない。美亜ちゃんは普通の人よりは全然速いくらい。


「三条さんも皮剥きとか速いけど普段から料理してるんだよね?料理をどこかで習ってるの?」

「英子のお母さんに教わってるの。うちの事情で中学時代からお世話になってて、料理くらい出来ないとと思って教わってるの」

「服部さんや服部くんや宮崎くんも?あの3人は更に上手いよね?」

「英子達は美亜のお父さんに習ってたのよ。土日やこの間釣りに行ったけどそんな時は美亜のお父さんが作るんだけどすごく美味しいの」

「「「へぇ~」」」


 美亜ちゃんが他の調理班の女子と話してる。

 人見知りとは言わないけど、あまり親しくないとなかなか話をしなかったのが最近は変わってきた。

 咲良ちゃんの影響かな。いい方向に変わってきてる。


「宮崎くんも服部さんに家にいつもいるって話だけど……ほんと?」

「うん。宮崎くんも両親が忙しいからだって。弟の秀樹くんも来てる。

 元々英子の両親と宮崎くんの両親が親友で、0歳の頃から時々預かってたからもう家族同様なんだって。

 それに英子の許婚として約束もしてるって、英子のお母さんが言ってたよ」

「「え~、そうなの?狙ってる子多いのに」」

「私も狙ってたのに」

「英子も宮崎くんも仲いいからね。英子のお父さんからも信頼されてるし、宮崎くんの方が特に英子を好きみたいな感じなんだけどね」

「……そうなんだ。他の子を探そ」


 いつの間にか話が私と直くんのことに変わってたみたい。

 中学の時もそうだったけど直くんは人気があるなぁ。高校でも先輩とかがよく直くんのことを見ていくんだよね。

 でも、直くんは渡さないからね、どんなにいい人でも。


 野菜の皮を剥いてカットしたら、鍋1杯分ずつに分けてトレイに乗せてラップをかけて冷蔵庫に。

 お肉もカットするけど今回使うお肉が鶏肉なんで、最後に切り分けてトレイに乗せて保管しました。鶏肉は食中毒になる菌を持ってるから最後に切った方が安全なんだって。

 鶏肉も野菜もしっかり加熱はするけど、文化祭だからしっかり衛生管理は考えて作業しないとね。




 カットした食材でオムライスやカレーライス、サンドウィッチを大ちゃんや直くん、私と美亜ちゃんが作る。

 直くんが担当するオムライスについては、卵の部分の作り方をおさらいするのにみんなが回りに集まって確認してる。

 夕飯前だからそんなにたくさんは作らないけど、味の確認と内装班への差し入れだって。接客班もちゃんと味が分かってないとお客さんに勧められないしね。

 それでもそれなりの量を作って教室に持っていってもらう。その間にこっちは後片付け。


「明日はなんとかなりそうだよな?」

「大輝、大丈夫だよ。オムライスの卵も僕達以外でも9割の確率で出来るようになったのは確認しただろ。家でもふわトロオムライスが出来るって」

「そうだよね。みんな熱心にやってたから大丈夫だと思うよ、大輝くん」

「そうそう、もう明日なんだからあんまりいろいろ言っちゃう方が気にして失敗しちゃうって」

「そうだな。俺達だけでやれるわけじゃないしな。信用しないとな」


 大ちゃんも心配性なんだよね。その辺はパパに似なかったみたいだから遺伝で似るわけじゃないんだなぁ。

 私は逆にそんなに心配しない。これまで大ちゃんと直くんが大体仕切ってくれててたから心配事がなかったからね。


 さて、片付けも終えて教室に行くともうみんな食べ始めてた。美味しそうに食べてるので一安心。


「服部、もう食べてるぞ」

「味はどうだ?」

「「「「「「「美味しい!」」」」」」

「そうか、なら良かった。明日も大体こんな味になるから、接客のメンバーはお客さんの対応はよろしくな」

「「「は~い」」」


 大ちゃんも言うことは言ってサンドウィッチを食べ始めた。一口サイズで作ったからあまりお腹いっぱいにならないしね。

 私達も少量ずつ、カレーライスやオムライスを取り食べる。私達もお腹をいっぱいにするわけにはいかないんだよ。残すとママが泣いちゃうから。

 先生も摘みに来て、「やっぱり美味いな。服部先輩の家の料理は」って言ってた。どこかでパパの料理を食べたのかな?


「先生はどこで食べたんですか?」

「高校の時に文化祭でスープカレー食った。別の時だけどパウンドケーキも食べたぞ、争奪戦だったけどな」

「パパのパウンドケーキ、美味しいですよね」

「服部さんのパパってお菓子も作るの?」


 えへへ、パパはすごいんだよ。


### 続く ###


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