第06話-2 文化祭2 メニューは?
直くんと合流して帰ることにする。いつも通りスーパーに寄って行く。
教室で残ってる人に声をかけるとこっそりと「服部くんと三条さんって本当のとこどうなの?」って聞かれた。
ホームルームの時のことが気になってるんだろうな。「たぶんお姉ちゃんになると思うよ」って言ったらきゃあきゃあ言って盛り上がってた。
帰る道の途中、部活の方の衣装の話を美亜ちゃんとする。
「美亜ちゃん、咲良ちゃんの知り合いが何か衣装を持ってたりしないかな?」
「コンカフェの人から借りたりは出来そうだけど迷惑になりそうだね。やっぱり別ルートからなんとか出来ればいいんだけど」
「巫女服なんかは?古い処分するようなのがあれば……」
「裾を踏んで転んじゃいそうだけどね」
「素人相手のハンデにはいいんじゃない?」
「そうね。聞いてみるわ」
直くんが何か気になるのか私に質問してきた。何だろ?
「女バスは何かコスプレするの?」
「そうなる予定。キャプテンがメイド服がうらやましいっていうから、コスプレして1on1とか3on3をお客さんとするの。ね、美亜ちゃん」
「まだ衣装は決まってないから巫女服とか借りれたらっていう話」
「へぇ~。でも、露出が高い衣装はダメだよ。英子ちゃんが他の野郎共にモテちゃうから」
「あははは、私なんかモテないって。でも、クラスの方もスカートが長い方がいいかなぁって思うんだけど。咲良ちゃん、クラシカルメイドの衣装を持ってきてくれるといいなぁ」
美亜ちゃんと直くんがなんか「分かってないんじゃない?」って顔してお互い見合わせてるけど、なんで?
こういうモテるとかって話になるといつもこう。私はモテたことないけどなぁ。
その後はクラスで出すメニューの話をする。私達が部活で抜けた後でも問題なく出せるように、なるべく手のかからないメニューにしたい。大ちゃんもそんな話をしてた。
でもオムレツはメイド喫茶の定番だからなんとかしたいよね。後は、サンドウィッチとかカレーとかある程度先に仕込んでおける料理がいい。
問題はどのくらいの量を作るかだけどね。
近所のスーパーまで来たので、今日の買い出しついでに文化祭の仕入れについてちょっと事前に確認しておこうかと思う。
「やあ、英子ちゃんに直くん、いらっしゃい。今日は何買ってく?」
「店長さん、今度文化祭があるんですけど、食材とかの仕入れをお願いできればなぁって思ってるんですけど、どうです?」
「いいよ。食材や数量とか決まったら教えて。価格もしっかりお安くさせてもらうよ」
「いいんですか?」
文化祭で食材とかの仕入れの話を始めてしたので、実際どうなのか分からなかったのでちょっとびっくり。
美亜ちゃんも直くんも同じ感じで、こんなに簡単に話が進んでいいのかって感じ。
「英子ちゃんのお父さんの時から文化祭で仕入れの相談に来た子にはよくしてあげるようにしてるんだよ。
英子ちゃんのお父さんの時は凄く売れたからかなりの量になったんだけどね」
「そうなんですか?すごかったような話は聞いたけど」
「文化祭で外部の人が来る日曜日はお昼に混むんだよ、食事系の所が。
英子ちゃんのお父さんのところはカレーショップで始めからかなり人が多かったみたいなんだ。当然お昼になると更に混むわけで、事前に空いてる教室を確保してそこで対応したから混んでて入れなかったお客も取り込んで一人勝ちだったったんだよ。
先輩はいろいろ人気があったからな。料理も勉強もスポーツも出来て」
「店長もうちの高校の生徒だったんですか?」
「そうそう。それもあって文化祭は応援してるんだよ、うちのスーパー」
先輩だったんだ、店長。それもあって後輩の応援をしてくれるんだ。
嬉しいね。
でも、パパがそんなにすごいことしてたって、河合くんがそんな感じのことを言ってたけど本当だったんだね。しかも、人気があったなんて。
よくママがパパと結婚出来たね。他の人に取られたりしなかったのかな?
他にもいい話が聞けたけど、途中で店長が店員さんに注意されて終了になりました。
仕方ないしそろそろ時間なので、今日の夕飯の買い物をして帰る。
「「「ただいま」」」
「おかえり〜。おやつは冷蔵庫にあるからね」
「「「は〜い」」」
ママがおやつの在り処を教えてくれたので、先ずは美亜ちゃんと直くんとおやつを。
帰る途中に話してた文化祭のメニューの話を紙に書き留めながら、他の料理なんかも話しながら考える。どうすれば簡単に作れるかも。
これが問題なくなれば部活の方に行っても安心して任せられるんだけどなぁ。でも、これがなかなか難しい。手順も考えないといけないしね。
おやつも食べ終わったから、夕飯の食材をカットして準備しておく。今日のメインは生姜焼き。味噌汁や副菜も食材を切り分けておいた。後はママが調理してくれる。忙しかったら私達でやるけど。
準備が終わったから部屋で、みんなで宿題をして予習復習をしておく。
直くんや美亜ちゃんに教えてもらったりしながら勉強を進めてると、大ちゃんが帰ってきた。
大ちゃんはおやつを食べつつ宿題を始めた。
美亜ちゃんが大ちゃんに恐る恐る質問してる。勉強のことじゃないけど。
「大輝くん、サッカー部は文化祭何をするの?」
「うちは練習試合かな。恒例だって」
「女バスはコスプレしてお客さんと1on1とか3on3するよ。直くんとこは?」
「うちも練習試合かな。つまらないって他の1年が言ってたけど、来年自分達で企画しろって」
「女バスはキャプテンの企画ですけど、やっぱりつまらないからコスプレって言ってましたよ」
「そうそう、メイド服が着たかったとかって駄々こねてたもんね」
うちのキャプテンはお祭り好きみたいだからガマン出来ないんだよ。
嫌われてないからみんなついて行ってるし。
そういう点ではキャプテンとして合格な人だと思うよ。
「こっちは試合するだけだから準備することもないしな。その分クラスの準備に時間が取れる」
「あ、そうだ。さっき3人でメニューを考えておいたよ。私達が抜けてもなんとかなりそうなの。ね、美亜ちゃん」
「オムライスは外せないよねって」
「そうだな。あの喫茶店でオムライス抜きはいろいろ言われそうだな。
作り方次第でどうにかできるだろ。電気の使用量も考えないといけないけどな」
「なんで?」
「ブレーカーが落ちるだろ。教室で調理するのは最小限にして、出来れば教室だと温める程度にしたい」
いくらでも電気を使えるんだって思ってたけどダメみたい。
カレーは温めるだけでいいとしても、オムライスはどうすればいいの?1皿分ずつ作らないとダメだと思うけど。
「チキンライスは炊飯器で作るとして、卵は一つずつ作ってられないよな?
俺達は作れるにしてもみんなは無理だろ」
「それなら『茹でる』ようにすればいいんじゃない?これならいくつかまとめて作れるよ」
「直樹、それいいな。形は二の次になるけど、温度と時間が決まれば誰でも出来るだろ」
オムレツなのに『茹でる』?
「大輝くん、オムレツだけど茹でるってどういうこと?」
「フライパンで一つずつ作ってたら時間もかかるし、他の奴らも無理だろ?」
「たぶん私も上手く作れないと思う」
「『茹でる』なら大鍋でいくつかまとめて作れるんだよ。ビニール袋に卵液を入れて鍋に放り込めばいいからな。
それをチキンライスの上に乗っけて開けば、トロトロ卵のオムライスになる」
「結構テストしないといけないと思うけどね」
ああ、そういうことか。それならなんとかなるかもね、確かに形は二の次になるけど。
お湯を沸かした後温度を保つだけだし、数も作れば電気の使用量も少なく出来るかも。そうやっていけば調理は大丈夫そうだね。
ある程度メニューと調理方法の話をした後、勉強に戻った……
### 続く ###